太っていないのに生活習慣病になりやすい「やせメタボ」

太りすぎ体調が悪い?

メタボのリスクは体型だけでは判断できない

「メタボ」という通称でお馴染みの「メタボリックシンドローム」には、
「肥満」「ポッコリお腹」といったイメージがすっかり定着してます。

このイメージから、太っていない方、どちらかと言えばやせ型の方の多くは、
「自分はメタボの心配はないから安心」
と思い込んでいるのではないでしょうか。

ところが、この思い込みが見事にくつがえされた40代の友人(女性)がいます。

40歳以上の方なら、メタボ健診を一度ならず受けたことがあるのではないでしょうか。

友人はこの健診を、「私は問題ないと思うけど、一度試しに受けておこう」
といった軽い気持ちで受けたところ、メタボのリスクがあると診断されたというのです。

「誤診ではないかしら」
「もう一度調べ直してもらおうかしら」
と訴える彼女ですが、どうも誤診とは言い切れないようです。

そこで今回は、友人のこの体験をきっかけに、メタボは体型だけでは判断できない、やせていてもメタボのリスクはゼロではなく、太っていないからといって油断は禁物という話を書いておきたいと思います。

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メタボ健診ではまず腹囲を測定するのですが

メタボリックシンドローム(メタボリック症候群)は、「内臓脂肪症候群」とも呼ばれるように、内臓の周囲に脂肪が蓄積するのが特徴です。

この状態に高血圧や高血糖、脂質異常が複数加わると、動脈硬化が進行して、脳卒中や心筋梗塞といった生命に直接かかわる深刻な病気のリスクを高めることがわかっています。

そこで国は、2008(平成20)年4月から、40歳~74歳の方を対象に「メタボ健診」、正確には「特定健康診査(特定健診)」を無料で実施しています。

メタボのリスクがある人をスクリーニングし、該当者に食事や運動面からメタボ予防のための保健指導を行うことにより、脳卒中や心筋梗塞、糖尿病といった生活習慣病の早期発見、早期治療につなげようというわけです。

メタボの診断では、内臓脂肪の蓄積具合を判断する目安として、腹囲(おへその周り)を最も重視します。

したがってメタボ健診では、まず腹囲測定により、基準値(男性85㎝、女性90㎝)を上回っていないかどうかがチェックされます。

そのうえで、腹囲が基準値以上であることを前提に、次の3つの危険因子のうち2つ以上当てはまると、メタボと診断されることになります。

  • 高血圧 :最高血圧130㎜Hg以上、または最低血圧85㎜Hg以上
  • 高血糖 :空腹時血糖110㎎/dl以上、またはHbA1c*6.0%以上
  • 脂質異常:中性脂肪150㎎/dl以上、HDL(悪玉)コレステロール40㎎/dl未満のいずれか、または両方
*HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)とは、赤血球の中にあるヘモグロビンにブドウ糖が結合したもの。血液中にブドウ糖が多い、いわゆる「高血糖」の状態では、この結合が起きやすいため、HbA1cも高値となる。
気になる方は、血糖値やHbA1cを街の「ゆびさきセルフ測定室」でチェックを!!
詳しくはこちら。
→ 体重を気にするように血糖値も薬局でセルフチェック

成人女性の約8人に1人は「やせメタボ」とのデータが

メタボの診断で腹囲が重視されることからも、メタボには、太った人の病気という印象が根強くあります。

ところが、厚生労働省の研究班が2016年に行った調査結果を見ると、やせていて腹囲が基準値以下、つまり男性は85㎝以下、女性は90㎝以下でも、メタボと診断される「やせメタボ」の人が、全国で914万人いると推計されています。

加えてこの調査で「メタボ」と診断された人の数は、やせメタボの人とほぼ同数の971万人と推計されたことから、メタボは必ずしも体型だけでは判断できないことがアピールされるようになったのです。

さらに、この調査で「やせメタボ」と推計された914万人の性別内訳を見ると、男性の380万人に対し女性は534万人と、女性が圧倒的に多くなっていました。

推計値から概算すると、成人女性のほぼ8人に1人が「やせメタボ」、つまり肥満体ではないものの高血圧や高血糖、脂質異常が起こり動脈硬化が進行して生活習慣病になりやすい状態にあるのだそうです。

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極端な減食ダイエットが「やせメタボ」の主因

このように「やせメタボ」が女性に多い原因はいろいろあげられるのですが、主因として考えられているのは、極端な減食によるダイエットです。

効果が期待できるとして多くの女性の関心を集めるダイエット法は、次の3つに分けられると思います。

  • 食事の回数を減らす(欠食)
  • 食べる量を減らす(減食)
  • 特定の食品を限定して摂る

このうち、たとえば欠食する、つまり1食抜いてしまうと、食事と食事の間隔、つまり絶食している時間が長くなり、その間は生命を維持していくうえで必須のエネルギー補給が途絶えることになります。

すると体は、自らが飢餓状態にあると判断して体内の環境をなんとかして守ろうとしますから、さまざまな生体反応が起こります。

具体的には、筋肉や脂肪組織を分解してエネルギーに代え、体内にエネルギーをため込むようになります。

その結果起こる代謝の乱れにより、ブドウ糖を効率よく利用するうえで必須のホルモン、インスリンが働きにくくなり、血糖コントロールに変調をきたすようになります。

血糖値が上昇して動脈硬化のリスクが高くなるわけですが、まさにこれがやせメタボ現象であり、減食の場合も同様の流れでメタボへと進み、さらに生活習慣病へとつながってしまうというわけです。

「やせメタボ」を防ぐには1日3食を規則正しく摂ることから

やせメタボへの流れを食い止めるには、食事と食事の間が最長でも8時間を超えないこと、つまり日本人が伝統的に続けてきた1日3食を規則正しく摂るという食生活に戻すことです。

仕事の影響などで、どうしても食事と食事の間隔が長く空いてしまうこともあるでしょう。

そんなときは、いつも飲んでいるコーヒーをココアやミルクなどに代え、少しでもエネルギー源となるものを体内に送り込んであげるといいでしょう。

たとえば「今日はスケジュールが詰まっていてランチの時間がとれそうもない」というときは、小さなおにぎりを持参するとか、簡単にエネルギーなどを補給できる栄養補助食品や完全栄養食を活用するのもいいでしょう。

それと、体に栄養を補給するには、栄養バランスのよい食事を摂ることが重要なのは言うまでもありません。

バランスのよい食事をする目安としては、こちらの記事で「まごたち食」を紹介しています。
是非参考にしてください。

→ 栄養バランスのよい食事は「まごたち食」で

活動的な生活を心がけることも「やせメタボ」対策に

なお、血液中の糖分は体を動かすと消費されますから、血糖コントロールをよくしてやせメタボへの流れを食い止めるには、適度な運動がおススメです。

それには、ウォーキングや軽いジョギング、あるいは階段の昇り降りなどの有酸素運動が適しています。

運動が苦手という方は、無理して運動をしなくても、通勤の際に早歩きをするとか、電車やバスの中では積極的に立つ、家事などでこまめに体を動かすなど活動的な生活を心がけるだけでも筋肉はほどよく鍛えられますから効果はそれなりに期待できます。

活動的な生活の目安として、厚生労働省は、以下の2点を推奨しています。

  • 歩行またはそれと同等以上の、強度が3メッツ以上の身体活動を毎日60分行う
  • 毎日60分の身体活動のなかに、息がはずみ汗をかく程度の運動が1週間に60分程度含まれるようにする

この具体的な方法については、こちらの記事のなかで紹介しています。
参考にしてみてください。

→ 体をよく動かしているとうつ病になりにくいって本当?