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「ホワイトノイズ」が安眠環境をつくりだす
私たちの耳に届く「音」は、音源によってはリラックス効果があるものの、騒音となると、ただわけもなくイライラさせられるだけの深刻なストレス源となります。
たとえば、深夜になると決まって大音量で音楽をかけるという迷惑行為により、近隣住民が「眠りたいのに眠れない」と訴え出たという報道が時折流れます。これはまさに騒音トラブルですが、この手の問題は国の内外を問わず、どこに暮らしていても大なり小なり直面させられるようです。
少し前になりますが、ニューヨークでアパート暮らしをしている友人から、現地では睡眠時の騒音対策として「音のカーテン」なるものが人気だと聞いたことがあります。とりたてて騒音に悩まされていなくても、「音のカーテン」を活用して安眠環境を作り出し、睡眠の質を高めている方も多いという話でした。
ホワイトノイズで音のカーテンを
「音のカーテン」と聞いて、とっさに超厚手の防音シートのようなもので作られたカーテンをイメージした方が多いのではないでしょうか。私もそうでしたが、実際はまったくの別ものです。
「ホワイトノイズマシン」と呼ばれる音響装置から流れる「ホワイトノイズ(White noise)」が、「音のカーテン」と呼ばれる心地よい睡眠空間を作り出してくれる正体なのです。
今回はこの「ホワイトノイズ」を、周囲からの騒音や昼間のストレスによるイライラなどが原因で「眠りたいのに眠れない」時に活用してはどうだろうか、という話を書いてみたいと思います。
なお、最近はリラックス効果をより高めることが期待できるとして「ピンクノイズ」も注目されています。たとえば、ザーッという雨の音や滝の音ですが、「ホワイト」でも「ピンク」でも、ご自分で心地よいと感じる音を選ぶといいようです。
ホワイトノイズが耳障りな音をかき消して深い眠りへ
電車やバスに乗ってその走行音に身をまかせていたら睡魔に襲われてウトウトしてしまった、あるいは静かな雨音や小川のせせらぎを聴いていたら不思議と気持ちが落ち着いてきた、という経験はないでしょうか。いずれも「調和の音」とも呼ばれる「ホワイトノイズ」がもたらす集中効果やリラックス効果によるものだそうです。
ホワイトノイズとは、私たちの耳が聴き取ることのできるさまざまな周波数の音を、低い周波数から高い周波数までほぼ同じ強さでミックスし、再生した音として説明されています。小川のせせらぎや草原の草が風に揺れる音、あるいは「ザー」といった砂嵐の音に例えられるように、ホワイトノイズは特定の周波数の音だけが突出することがありません。
そのため、たとえばピアノの音色とかドアを開け閉めする音、あるいは人の話し声のようなイメージが湧きやすい独特な音色がないのが特徴です。
このような音の構造から、ホワイトノイズには、耳障りな音をかき消して集中力を高めたり、リラックスさせる効果が期待できるのです。一説には、ホワイトノイズは赤ちゃんが母親の胎内で聞いていた母親の血流の音によく似ているから、リラックスできるし安眠もできるとも言われています。
ホワイトノイズマシンは音を試聴してから購入を
ホワイトノイズは、次のような睡眠トラブルを抱えている方に適していると考えられています。
- 夜間も車や人通りの多い場所に住んでいて外からの騒音で床についても寝つけない
- パートナーのいびきで夜中に起こされ、その後なかなか眠れない
- アパートやマンションの上階や隣室からの生活音が気になって寝つけない
- 仕事上のストレスが原因で眠りが浅く、なかなか熟睡できない
このうち「1」や「3」のように寝つきが悪いものの、いったん眠りについたら後は朝までよく眠れるという方は、ホワイトノイズマシンを1~2時間だけ作動するようにセットして床に就くといいでしょう。
ホワイトノイズマシンにはいろいろなタイプのものがありますから、購入する際には、実際にどんな音なのか一度試聴して、ご自分の使用目的にフィットする音を選んで購入することをおススメします。
たとえば、最近売り出された「Dreamegg ホワイトノイズマシン 」のように、ホワイトノイズ以外に小鳥のさえずりや川のせせらぎ、海の浪打、母の胎内音など29の音源も内蔵されていて、睡眠時以外に仕事場などで集中力を高める環境音としても使えるものもあります。
ホワイトノイズにはメリットもあればデメリットも
耳鼻科医によれば、ホワイトノイズは、このところ高齢者に増えている「耳鳴り」を軽くすることを目的に行われる音響療法にも活用されて効果をあげているそうです*。
ただ、その一方でホワイトノイズにはリスクもあります。
ホワイトノイズで集中力が高まる効果を試験勉強や仕事の効率アップに活用しようと、最近ではホワイトノイズの各種発信器やアプリまで開発、市販されています。YouTubeなどでも「勉強用」などと称して、ホワイトノイズが聴けるようになっています。
近年、これらをフル活用し、ヘッドフォンを介して長時間にわたりホワイトノイズを聴き続ける人が、若者世代を中心に増えていると聞きます。
しかし、ホワイトノイズの聴きすぎが脳にマイナスの影響を与える可能性のあることが、最近のアメリカにおける研究で明らかにされています。そのエビデンス(科学的根拠)はまだ弱く、睡眠のための騒音対策として、寝室にホワイトノイズを流す程度であれば問題はないようです。
「過ぎたるは及ばざるがごとし」、つまり何ごともほどほどにといった先人の教えを念頭に、睡眠時の騒音対策としてホワイトノイズを活用してみてはいかがでしょうか。
睡眠環境の改善についてはこちらも参考に!!
なお、快眠をもたらす睡眠環境に関しては、寝室に木製の家具が置いてあったり、ドアや窓枠などの建具類、さらには壁に木材や木質の材料が多く使われていると、木のぬくもりで精神的やすらぎが得られ、睡眠の質を高めるという研究結果をこちらで紹介していますので是非読んでみてください。
また、パートナーのいびきが気になって眠れない、あるいは途中で目が覚めてしまうという悩みを抱えている方は、こちらがお役に立てると思います。