「乳がん検診無料クーポン券」を活用しよう

ピンクリボン保険の話
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乳がん検診を受けて乳がんの早期発見、早期治療を

乳がんは女性に最も多いがんです。日本人女性が一生のうちに乳がんになる確率は、統計上は約11%、つまり9人に1人が生涯に一度は乳がんを経験していることになります。

女性であれば誰もが「私は大丈夫かしら」と心配になる数値ですが、幸いなことに乳がんは、無症状のうちに検診を受けて初期段階で発見できれば、適切な治療により治癒する確率がかなり高くなるのです。

しかも、この乳がん検診は、自治体(市区町村)が一定の年齢の女性を対象に発行する「無料クーポン券」を使えば、費用を気にすることなく受けることができます。あるいは無料とはいかないまでも、自治体が実施している乳がん検診には、検診費用の自己負担分を補助する制度もあります。

そこで今回は、乳がん検診にかかる費用の話を中心に書いておきたいと思います。

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女性は40歳を過ぎたら2年に1回、乳がん検診を

国の指針では、女性は40歳の誕生日以降は、2年に1回、乳がん検診を受診することを勧めています。この場合の検診は、乳がん検診の「一次検診」と呼ばれ、「問診(もんしん)」と「マンモグラフィ」と呼ばれる乳房のエックス線検査が基本になっています。

このうち「問診」では、担当医から検診時の体調や病気の有無等の質問を受けます。自治体によって質問内容は微妙に異なりますが、おおむね以下となります。検診を受ける前に振り返って書き留めておき、検診時にそのメモを持参すると問診がスムーズに進みます。

  • 生理の周期など、月経の状況(すでに閉経している方は閉経時の年齢)
  • 今まで経験してきた妊娠、分娩、授乳(出産している方は出産回数や最終の授乳は何年前か。なお、妊娠中や断乳後6カ月未満の方は検診の対象外となります)
  • 自己触診で乳房にしこりや痛みを感じたことがあるかどうか(自覚症状がある方は医療機関の受診をすすめられることがあります)
  • 家族にがん(特に乳がん)になった人がいるかどうか
  • これまでにがん検診(特に乳がん検診や子宮がん検診)を受けたことがあるかどうか、受けていた場合はその時期、そのときの判定や診断

問診に続いて行われる「マンモグラフィ」*とは、乳房専用のエックス線撮影です。撮影台の上に乳房を載せ、プラスチック製の透明な板で乳房を軽く圧迫して平たくし、乳房全体を上下や斜めの2方向から撮影します。50歳以上の方は、1方向のみの撮影で終わることもあります。

*マンモグラフィによる検診は、乳房を圧迫することによる痛みを嫌って検診を避ける方がいますが、最近は、「無痛MRI」といって、痛みのない最新式撮影装置の導入も進んでいます。

なお、「心臓ペースメーカー」を装着している方や過去に「豊胸手術」を受けている方は、マンモグラフィを受ける前の問診で、その旨を伝えることをお忘れなく*。

以上の流れで行われる一次検診は、通常1時間ほどで終わります。自治体が発行する「乳がん検診無料クーポン券」が使えるのは、この一次検診です。

*心臓ペースメーカーを装着している方はマンモグラフィに代えて超音波検査が行われるか、専門の医療機関で検診を受けることになります。
過去に豊胸手術を受けている方は、豊胸素材(シリコン注入、シリコンバック、ヒアルロン酸注入など)に応じた検診法が必要になるため、検査前に必ず報告する必要があります。

乳がん検診無料クーポン券を受け取れるのは?

「乳がん検診無料クーポン券」は、お住まいの市区町村の「がん検診担当窓口」が取り扱っています。各自治体のがん検診窓口の問合せ先などは、日本医師会のWebサイトにある「がん検診窓口マップ」で検索することができます

無料クーポン券の発行を受けられる年齢は自治体により多少の違いがありますが、おおむね40歳、45歳と5歳ごと60歳までとしている自治体が多いようです。

また、対象年齢の方へ無料クーポン券を自動的に発行、送付してくれる自治体もありますが、多くの自治体はホームページや広報などで告知し、それを見た該当者が「がん検診担当窓口」に申し込んでクーポン券の発行を受ける方法がとられているようです。

前者の場合は対象年齢であるにもかかわらず、無料クーポン券が届かないことがあります。後者では申し込んだものの無料クーポン券が届かないまま検診日を迎えてしまうこともあるでしょう。

いずれの場合も、検診を受けた医療機関にいったんは自己負担額(概ね1万円前後)を支払うことになりますが、後日払い戻しを受けることができます。

また、無料クーポン券には有効期限が明記してあります。期限を過ぎてしまうと、いかなる理由があろうとクーポン券は無効となりますのでご注意ください。

無料クーポン券を紛失した、あるいは棄損したときは、自治体の「がん検診担当窓口」に電話でその旨を伝えると、対応してもらえるはずです。

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乳がん検診で異常が見つかったときの追加検査の費用は

無料クーポン券で受けた乳がん検診(一次検診)の検査結果は、検査後早くて10日、最長でも1カ月後には、主に文書で通知されます。

その結果が「異状なし」であれば、ひとまず安心ですが、それで終わりではありません。その後も定期的(2年毎)に検診を受けることが大切です。

一方、一次検診の結果が「異常あり」の場合は、乳がんの可能性があるかもしれませんから、追加として精密検査(二次検診)を受け、本当に乳がんかどうか確かめておく必要があります。

その結果、「異状なし」、あるいは「良性の病変」であることが確認されれば安心ですが、油断することなく、引き続き2年に1回の定期検診を欠かさず受ける必要があります。

精密検査の結果、「乳がん」と診断(確定診断)されることもあるでしょう。その場合は、速やかに医療機関(外科、乳腺外科、乳腺科)を受診して治療を受けることになります。

乳がんの自覚症状があり受診すれば健康保険が使える

一次検診により、「しこりがある」などの異常が確認されると、追加検査や医師による診察、さらには治療を受けることになれば、無料クーポン券は使えませんから、別途費用がかかります。

また、乳房の自己触診でしこりや痛みなどの異常を感じて受診し、検査を受ける場合は、保険診療の対象となりますから、医療保険(健康保険)を使うことができます(3割負担)。

いずれの場合も、各自治体の助成金を活用することができます。

特に乳がんの治療費が高額になり、自己負担額が一定の額(年齢や所得に応じて「限度額」が決められている)を超えた場合は、「高額療養費制度」を活用すれば、自己負担分を低く抑えることができます。この「高額療養費制度」は自分で申請しないと給付(払い戻し)を受けられません。その辺の詳細についてはこちらを参照してください。

医療費が一定額を超えたら「高額療養費」の申請を
医療費が高額になり家計に過度の負担を強いることを避けようと「高額療養費制度」が運用されている。自己負担分が一定の額を超えると、そのオーバーした分が払い戻されるという仕組みだ。本人が申請することが前提条件だが、やや複雑なその申請上の注意点をまとめた。

また、治療のために仕事を休まなくてはならないこともあるでしょう。その場合、連続する3日間を含み4日以上休み、給料がもらえない場合は、「傷病手当金(しょうびょうてあてきん)」を受け取れる制度もあります。

病気やケガで会社を休んだら「傷病手当金」を
病気やケガで就労できなくなり収入が途絶えたときに備え、公的医療保険には「傷病手当金」が用意されている。健康保険に加入している会社員や公務員が最長で1年6か月間、給料の一部を受けとることができる制度だ。業務中以外の病気やケガであることなどの条件をまとめた。

参考資料*¹:日本医師会「知っておきたいがん検診 各自治体のがん検診窓口」

参考資料:日本対がん協会 乳がんの検診について