便秘薬「酸化マグネシウム」の副作用に注意して!!

薬体調が悪い?

広く使われている酸化マグネシウム便秘薬にも副作用が

酸化マグネシウムを主成分とする「酸化マグネシウム製剤」が便秘薬として広く使われるようになったのは、200年以上前の江戸時代からだと聞きます。

当初は散薬、いわゆる「粉薬(こなぐすり)」でしたが、最近は錠剤が主流で大変飲みやすくなっています。この「飲みやすさ」もあってのことでしょう、現在日本では、年間延べにして約4500万人が利用している薬です。

腎機能が正常に機能していることが前提となりますが、決められた用量をきちんと守ってさえいれば、深刻な副作用に見舞われることなく、安心して服用できるとされています。

ところが、「便秘がいっこうに改善されないから」などと素人判断で、決められた量を超えて服用し続けていると、まれに「高マグネシウム血症」という副作用に見舞われることがあります。

それでもなお飲み続けていると、高マグネシウム血症がひどくなり、血圧の低下や徐脈(脈が遅くなる)、意識レベルが低下するなど深刻な状態に陥ることがあります。

どんな薬にも副作用はあります。

便秘薬としての酸化マグネシウム製剤は数ある薬のなかでも作用はマイルドだとされていますが、使い方を一歩間違えると重篤な副作用に見舞われるリスクがあるのです。

このリスクを回避する方法について、ここでは以下の3点を中心に書いておきたいと思います。
⑴ 副作用「高マグネシウム血症」にはどのような初期症状があるのか
⑵ どんな人が高マグネシウム血症を起こしやすいのか
⑶ 高マグネシウム血症の初期症状に気づいたときの対処法は

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酸化マグネシウム便秘薬による副作用の初期症状は?

便秘薬以外にも胃炎や胃・十二指腸潰瘍等の制酸薬(胃酸を中和させて症状を和らげる薬)として広く利用されている酸化マグネシウム製剤については、2020年8月、この製剤を製造・販売する企業17社が共同で、医療機関に向けてある文書をWebサイト上で公開しています。

使用方法について注意を喚起するこの文書「酸化マグネシウム製剤 適正使用に関するお願い」*¹には、患者指導用のリーフレットとして、
「酸化マグネシウム製剤を服用中の患者さん・ご家族の方へ」*²が添えられています。

そこでは、酸化マグネシウム製剤を服用していると、血液中のマグネシウム濃度が高まり「高マグネシウム血症」を起こすリスクのあることが指摘されています。

そのうえで、酸化マグネシウム製剤を服用中に次のような症状を自覚した場合は、高マグネシウム血症の初期症状と受け止め、直ちに服用を中止し、その薬を持参して処方医やかかりつけ医、あるいは最寄りの医療機関を受診するよう促しています。

  • 吐き気や嘔吐(吐く)
  • 立ちくらみやめまい
  • 徐脈(脈が遅くなる)
  • 皮膚が赤くなる
  • 脱力感(力が入りにくくなる)や倦怠感(からだがだるい)
  • 傾眠(眠気でぼんやりする、ウトウトする)
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酸化マグネシウム便秘薬で副作用が起きやすい方は?

医療機関向けの「適正使用のお願い」では、次のような方(患者)は、酸化マグネシウム製剤により高マグネシウム血症を起こしやすいと説明しています。

  • 酸化マグネシウム製剤を長期にわたり服用している方
  • (腎不全など)腎機能障害のある方
  • 高齢者(寝たきりの方を含む)
  • 便秘症*の方

このうち「便秘症の方」については、腎機能が正常であっても、また服用している量が通常の用量以下であっても、高マグネシウム血症を起こすリスクがあるとして、ことさら強く注意を促しています。

*日本内科学会は「便秘症」を「3日以上排便がない状態、または毎日排便があっても残便感(便がスッキリ出きっていない感じ)がある状態」と説明している
副作用ではないが、酸化マグネシウム便秘薬には、骨粗鬆症の薬(ビスフォスフォネート製剤)や抗菌薬(テトラサイクリン系やニューキノロン系)などの吸収を悪くし、治療効果を弱める可能性があるため、同時に服用するのは避けること。
ただし、数時間あけて服用すれば問題ないとされている。

副作用の初期症状を自覚したら直ちに服薬を中止する

その注意点として、医療機関向けの文書では、上記の高マグネシウム血症を起こしやすい患者に酸化マグネシウム製剤を処方する際には、以下の3点を徹底して実施するよう求めています。

  1. 定期的に血清マグネシウム値(濃度)を測定する
  2. 漫然とした処方を避け、必要最小限にとどめる
  3. 服用中に高マグネシウム血症のサインを自覚したら、直ちに服薬を中止し、その旨を連絡、あるいは受診するよう患者に指導しておく

このうち「1」の血清マグネシウム値は、血液検査で調べることになります。
この値の正常範囲(基準値)は、1.8~2.6㎎/dlとされています。

これが2.6㎎/dlを上回った状態が高マグネシウム血症で、全身の神経や筋肉、消化管、循環器などに機能障害を引き起こし、そのためさまざまな症状が出現します。

具体的な目安として「適正使用に関するお願い」では、血清マグネシウム値が4.9㎎/dl以上になると、吐き気や嘔吐といった高マグネシウム血症の初期症状が現れると説明しています。

酸化マグネシウム製剤服用中は、血液検査の結果について自らしっかり確認し、高マグネシウム血症の予防や早期発見につなげるようにしたいものです。

酸化マグネシウム便秘薬で改善されないときは受診を

なお、便秘で悩んでいる方のなかには、マグネシウムが豊富な食事を心がけたり、「ゆずちゃんゼリー」を試したり、あるいは市販薬の酸化マグネシウム便秘薬や漢方薬、あるいはサプリメントで便通改善を試みている方が少なくないようです。

しかし、「便が出にくく、強くいきむ必要がある」「残便感がある」「下剤などを使用しない自発的な排便回数が、週に3回未満である」などの症状があり、日常生活に支障をきたしているような方は、まずは一度消化器内科などを受診することをおススメします。

→ 頑固な便秘、すぐに受診したほうがいいときは?

参考資料*¹:酸化マグネシウム製剤 適正使用に関するお願い

参考資料*²:酸化マグネシウム製剤を服用中の患者さん・ご家族の方へ