カラーコンタクトは危険性を知って正しく使う

コンタクトレンズニュースから
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カラーコンタクトレンズには危険な落とし穴が

コロナ禍でマスクを外せない日が長く続き、「目元」で個性をアピールしようと、目ヂカラをアップする方法として「カラコン」、つまり色がついていて度の入っていない「カラーコンタクトレンズ」に若者を中心に注目が集まった時期がありました。

コロナの感染拡大が落ち着いてマスクを外せる日がやって来ればこのブームも静まるだろうと、その時は思っていたのですが……。予想は大きく外れ、今やカラーコンタクトレンズは10~20代を中心に、女性のみならず美意識の高い男性の間でも、目元のコスメアイテムとしてすっかり定着しています。

報道によれば、カラーコンタクトレンズの市場はこのところ急拡大し、国内の市場規模は約900億円と試算され、1000億円に到達するのも目前との説もあります。しかしそのファッション性はともかく、このタイプのカラーコンタクトレンズには非常に危険な落とし穴が潜んでいます。

アイメイクをする感覚で使っていると、目のトラブルを招きます。角膜(黒目部分)が炎症を起こして失明したケースも報告されているのです。そのようなリスクを避けるには購入の段階から、どのような点に注意すべきでしょうか。今回は、そのポイントをまとめておきたいと思います。

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カラコン購入時は「高度管理医療機器承認番号」をチェック

カラーコンタクトレンズは、装用するだけで目(虹彩)の色だけでなく目元の印象を大きく変えることができるファッションアイテムとして、実はコロナ禍以前から、若い女性を中心に人気が高まっていました。

最近では、瞳がくっきりと際立つよう、黒目の周りを縁どるように着色されたカラーコンタクトレンズ(サークルレンズ)が「キリっとりりしいまなざしになる」として、アイメイクをする習慣のなかったビジネスマンなど男性愛用者も増えていると聞きます。

カラーコンタクトレンズは、視力補正用の度付きコンタクトレンズ同様に、安全な製品を、正しく使用していれば目にとって危険なものではありません。しかし、眼科医の診察を受けずにインターネット販売や通信販売、ドラッグストアなどで購入する人が増えるのに伴い、目のトラブルに悩まされる人が増えているようです。

そのトラブルのなかには、「色落ちする」「酸素透過性(さんそとうかせい;酸素を通す力)が低い」など、カラーコンタクトレンズ自体の品質が原因で起きている例が少なくないそうです。

度の入っていないおしゃれ用カラーコンタクトレンズは、安全上のリスクなどから、2011年2月に、人工呼吸器や心臓のペースメーカーなどと同じ「高度管理医療機器」に定められています。これにより、カラーコンタクトレンズの製造・輸入には厚生労働大臣の承認が義務づけられていて、この承認を受けた製品には、パッケージのどこかに「高度管理医療機器承認番号」が記載されています。

カラーコンタクトレンズを購入するときは、この承認番号を忘れずにチェックして、粗悪な製品を購入しないことが、目の健康を守る第一歩です。

カラーコンタクト購入前に眼科医の診察を受ける

ただし、その購入前に気をつけたいこともあります。カラーコンタクトレンズを目のトラブルを避けて安全に使用する最低限のルールとして、厚生労働省は以下の「適正使用7ヵ条」をあげています

  1. 購入前は、眼科へ行こう
  2. (製品に同封されている)添付文書をよく読んで正しく使おう
  3. (添付文書に明記してある)装用時間(つけている時間)を守ろう
  4. 異常があったら、すぐに眼科へ行こう
  5. 友人との貸し借りはやめよう
  6. (製品に同封されている添付文書が指定する)ケア用品を使ってケアしよう
  7. 目の状態をチェックする定期検査は必ず受けよう(購入後1週間目、1カ月後、3カ月後、6カ月後、以降は3カ月毎に)

このうち「1」については、「視力を補正するためのコンタクトではないのに、なぜ受診が必要なのか」と疑問に思つ方が多いのではないでしょうか。この疑問に厚生労働省は次のように答えています。

「コンタクトレンズは角膜に直接のせて使用します。そのため、必ず眼科医の診察を受け、涙の量やアレルギー体質、目の病気など、コンタクトレンズを装用するうえで妨げとなる問題がないかどうかを事前にチェックしてもらう必要があるのです」

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カラーコンタクトを安全に装用するために

カラーコンタクトレンズに使われているカラー色素は、酸化チタンや酸化鉄など金属由来のものが多いため、製品によっては「色落ち」して目のトラブルを招く例があります。そのため金属アレルギーの方は、レンズが色落ちすると、結膜(白目)にアレルギー反応を起こすリスクがあるため、カラーコンタクトレンズの使用は控えたほうがいいとされています。

また、コンタクトレンズの酸素透過性、つまり酸素を通す力が低いレンズを装用していると、角膜が酸欠状態に陥り、違和感や炎症などのトラブルにつながりやすくなります。もともと涙の量が少なく、ドライアイ気味で目が乾燥しやすい方はこのトラブルが起きやすく、重症化しやすいことがわかっています。

カラーコンタクトレンズ購入前の眼科受診は、このような目のトラブルを防ぐうえで、またあなたの目に適したレンズの素材やカーブ(レンズの曲がり具合)、サイズを処方してもらうためにも必須です。なお、この眼科受診には健康保険が使えますから、費用は自己負担分(1~3割)だけの費用ですみます。

かかりつけの眼科医がいない方は、最寄りの眼科へ事前に連絡をしてカラーコンタクトレンズを使用したいことを伝えておけば、スムーズに診察や検査を受けることができます。

カラーコンタクト装用中のこんな異変はすぐ受診を

カラーコンタクトレンズ適正使用7ヵ条の「4」には、「異常があったら、すぐに眼科に行こう」とあります。この「異常」に早く気づくには、毎朝、以下の3点を自分でチェックするといいようです。

  1. カラーコンタクトレンズを入れる前に、見え方がいつもと同じかどうか、左右を片目ずつチェックする
  2. 結膜(白目)が充血していないかどうかチェックする
  3. レンズを入れたときにゴロゴロしないかチェックする

また、レンズ装用中に、以下の異常に気づいたときはコンタクトレンズを外して、そのコンタクトレンズを持参し、早めに眼科医の診察を受けることをおススメします。

  • 目が痛い、異物感がある
  • 充血している
  • 涙が増える
  • 物がかすんで見える
  • 物がだぶって見える
  • 視力が急に低下した気がする
  • 光をまぶしく感じる
  • 周りが暗く見える

なお、診察の結果、目薬(点眼薬)の処方を受けることもあるでしょう。その場合の目薬のさし方については、こちらで詳しく書いていますので、参考にしていただけたら嬉しいです。

コンタクトレンズをしているときの目薬の使い方
コンタクトレンズにはソフト、ハード、酸素透過性ハードの3種類がある。コンタクトをしたまま点眼できるのはハードだが、その他のタイプは、防腐剤なしの人工涙液以外の目薬なら、レンズを外してから点眼しているだろうか。また、確実に点眼するには1回1滴を「げんこつ法」で。

参考資料*¹:厚生労働省 おしゃれ用カラーコンタクトレンズについて