がん治療による外見の変化をどうカバーする?

化粧品ニュースから
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がん治療による外見の変化を気にせず社会に出たい

今や日本人の2人に1人が、生涯に一度はがんを経験するといわれる時代です。がんはもはや、一部の人だけがかかるような珍しい病気ではなくなっているのです。

しかも、治療法の急速な進歩により、抗がん剤などによる薬物治療はもとより放射線治療も、多くの場合、外来通院で行われるようになっています。

手術の場合も、以前に比べると入院期間は格段に短くなっていて、感染症などの合併症がなければ、術後の早い時期に通院治療に切り変えられます。

このようにがん治療の中心が入院治療から通院治療へと移るのに伴い、がん治療中の方々の生活は、自宅と病院を行き来するだけのものではなく、積極的に社会参加をするようになっています。

それだけに、がんの患者さん、とりわけがん治療中の女性には、がん治療に伴う外見上の変化をいかにカバーして、人目を気にすることなく社会に出て行けるかが、クリアすべき深刻な課題となっています。

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乳がんの治療を受けながら仕事を続ける友人

がん治療を受けながらこれまでどおり出社して仕事をしたいし、馴染みのレストランに行って家族との、あるいは友人たちとの食事も楽しみたい――。

そんなふうに考え、それを積極的に実行するがん患者さんが増えつつあります。

乳がんの術後、通院で予防的化学療法を受けながら、会社の重役秘書という重責を担う仕事に復帰した友人も、そんなたくましいがん患者の一人です。

予防的化学療法とは、手術や放射線治療が終わったあと、全身のどこかに小さながんが潜んでいるかもしれないという前提のもとに、再発予防の目的で行われる化学療法のことです。

彼女の場合は、主治医から「乳がんは転移しやすいですから、あなたの場合は化学療法をやっておいた方が安心でしょう」との説明を受け、予防的化学療法を受けることに決めたと言います。

化学療法を受ける旨の意思を主治医に伝えると、同席していた看護師さんからは、予測される副作用として「治療開始から2週間もすると、髪が抜ける、いわゆる脱毛が始まるかもしれません」との説明があったそうです。

抗がん剤による脱毛に備えて医療用ウイッグを購入

その日の夕方、彼女から私に電話があり、「どうせ抜けるんならと思い、病院の帰りにいつもの美容院に寄って髪をバッサリ切ってもらった」と話す彼女の踏ん切りのよさに、感服させられたものです。

乳がんの診断を受けたときから、「治療と仕事を両立させていくつもりだ」と話していた彼女です。

そのことを思い出し、「最近はおしゃれなデザインの医療用帽子がたくさんあるから、通勤用にいくつか用意しておけば……」と話してみました。

これに彼女は、「帽子はもちろんだけど、職場用に医療用ウイッグも買おうと思っている」との返事。

そこで「だったら」と紹介したのが、取材でがんセンターの看護師さんから自宅で無料にて試着することができると聞いていた「アンベリール」の医療用ウイッグでした。

数日後、値段が手ごろな既製品で、病気になる前のヘアスタイルを維持しようと思い、ナチュラルボブのウイッグを購入*した旨、連絡が入りました。

*医療ウイッグの購入に関しては、「がん患者の治療と仕事の両立&社会参加」を応援しようと、購入費用を助成する自治体が増えています。申請手続きに必要な書類や助成を受けられる金額等は各自治体により異なるため、お住まいの自治体に問い合わせを。
この助成制度を用意している自治体のリストはコチラ*¹を参照してください。

がん治療による肌の乾燥を防ぐスキンケア

通院による化学療法がスタートしてしばらくしてから、今度は肌の悩みで、彼女から電話が入りました。

重役の秘書という立場上、会社にとって大切な方をおもてなしする場に同席する機会が多く、相手の方に病気のことを悟られて気を使わせないように配慮しているとのこと。

「私なりにできることはやっているのですが、抗がん剤の影響で肌全体、特に目の周りがくすみがちで、疲れた印象を与えないか気になっている。何かいい方法はないかしら」というのが悩みの主旨でした。

最近は、各化粧品メーカーが、がん治療中の女性のためのメイクアップ講座などを各地で開催しています。
「でも、仕事と治療でいっぱいいっぱいで、出掛けていられない」と、彼女。

副作用について説明してくれた外来の看護師さんが渡してくれたというパンフレットには、「スキンケアで一番大切なことは、乾燥を防ぐ保湿です」と、「化粧品は、アルコールフリー、無香料、無着色などの表記がある低刺激性の商品を」の2点が書いてあったそうです。

この2つの条件を満たす化粧品として、持田ヘルスケア株式会社の コラージュ リペア ローションなど、コラージュリペアシリーズの商品を使用していて、幸い乾燥肌などの心配はないとのこと。

ただ、「問題は肌のくすみが、相手の方に暗い印象を与えてしまうのではないか心配だ」と言うのです。

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がん治療による肌のくすみをメイクアップでカバー

がんセンターなどがん医療の現場には、「アピアランスケア」と言って、がん治療による肌のくすみや傷跡など、外見上の変化に対するケアを専門にしている看護師さんがいることをご存知でしょうか。

そんな看護師さんの1人を取材したことがあります。

その際に、通常のファンデーションではカバーできない肌のくすみやシミなどを、厚ぼったくならず、自然にカバーできるファンデーションがあることを聞いていました。

すぐにそれを紹介したところ、彼女の肌のくすみの問題は難なくクリアできたようです。

そのファンデーションとは、資生堂の外見ケア専用のパーフェクトカバー ファンデーション MVで、ご自分の肌色に合わせてカラーを選ぶことができます。

資生堂では、がん治療によって起こりやすい美容上の悩みに対応した、ハンドケア、スキンケア、メイクアップ、ヘアケアなどを掲載したリーフレット、「がん患者さんのためのBeauty Book」を用意しています。

Webサイト*²からダウンロードできますので、参考にされてはいかがでょうか。

なお、男性がん患者の治療に伴う外見変化については、こちらの記事がお役に立てると思います。

男性がん患者も「外見ケア」が欠かせない
脱毛や肌色の変化、あるいは爪の変化、手術跡など、がん治療による外見の変化は女性同様、男性がん患者にも気になるもの。「仕事の評価に影響する」と悩む患者も多いことを受け、がん患者向けに作成されたアピアランスケア、つまり外見ケアのガイドブックや動画を紹介する。

また、がんに関連した悩み全般の相談は、全国の「がん診療連携拠点病院」に設置されている「がん相談支援センター」が対応してくれます。誰でも無料で受けられます。

こちらの記事で詳しく紹介していますのでお役立てください。

誰でも無料で利用できる「がん相談支援センター」
日本人の2人に1人が生涯に一度は経験するといわれるほど、がんはもはや珍しい病気ではないし、不治の病でもない。しかし、何かと悩むことの多いこの病気に関することならなんでも相談できる「がん相談支援センター」についてまとめた。ときには匿名での相談もOKとのこと。

ここで紹介した友人は、抗がん剤の副作用として口内炎にも悩まされましたが、なんとか適宜対処して乗り越えています。その際彼女がとった対策をこちらで紹介していますので、同じ悩みを抱えておられる方に参考にしていただけましたら幸いです。

抗がん剤治療中にできてしまった口内炎対策
乳がんの術後に通院しながら予防的化学療法を受けている友人が、抗がん剤による口内炎に悩まされたが、なんとかピークを超えることができた。そこに至るまでに彼女が取り組んできたことを紹介する。ポイントは口腔内の清潔と保湿、および食事の工夫にあったようだ。

乳がん術後に人工乳房も

なお、最近は65歳を過ぎて、いわゆる高齢者と呼ばれる年代になって乳がんを発症し、乳房の部分切除や摘出術を受け、術後の外見ケアとして、人工乳房を装着する方も多いようです。詳しくはこちらを。

増えている高齢者の乳がんと術後の外見ケア
高齢者の増加に伴い乳がん患者のピークは閉経後の60代後半に移っている。高齢者の乳がんも最善の治療は手術で、術後には失った乳房を代替する一つの選択肢として人工乳房が使われる。この着脱可能な人工乳房を医療用ウイッグの会社が開発し、外見ケアに生かしている。

参考資料*¹:医療用ウイッグの購入費 費用助成をしている自治体リスト

参考資料*²:資生堂「がん患者さんのためのBeauty Book」