男性がん患者も「外見ケア」が欠かせない

化粧品ニュースから

男性がん患者も外見の変化を内心気にしている

コロナ禍の影響で化粧品市場は全体としてがた落ちという惨状ながら、男性向け化粧品は好調だった――。
そんなニュースが流れています。

外出自粛により在宅勤務でオンライン会議が増え、肌つやなどの見た目をコロナ前より気にするようになった男性陣が購入しているのだそうです。

この流れに先駆け、男性がん患者の「アピアランスケア」はこのところ急速に進歩、普及しています。

アピアランスケアとは、がんそのものや治療に伴うアピアランスの変化、つまり「外見上の変化」に対するケアのことを指します。

男性の場合、女性ほどは外見の変化を気にしていることを表に出さない傾向があります。

しかし、がん治療の副作用として起こる頭髪や眉毛の脱毛、顔や手足の肌色の変化、爪の変形、さらには手術後の傷跡や欠損、といった見た目の変化を、男性患者も内心では気にしているものです。

実際、外見が変わってしまったことを人一倍気に病んで、
「人と会うのが億劫で、同僚との付き合いも断ることが多くなった」
といった男性がん患者の悩みを、これまで幾度となく耳にしてきたものです。

今回は、そんな方々に是非役立てていただきたい「アピアランスケア」のガイドブックや動画に関する情報を紹介したいて思います。

スポンサーリンク

男性がん患者の6割が「外見が仕事の評価に影響」と回答

まず紹介したいのは、昨年(2020年)1月、国立がん研究ンターが発行した電子ガイドブック「NO HOW TO メンズのがん治療。髪とか爪とかプライドとか。」です。

このガイドブックは、国立がん研究センター中央病院(東京都・築地)の1階にある「アピアランス支援センター」のケアチームがまとめ、刊行しています。

がんそのものやがん治療により外見が変わることがあっても、本人が気にならなければそのまま従来どおりの生活を続けることができます。

ところが、本ガイドブックの10ページに外来通院中の男性がん患者823名を対象に実施した外見上の変化に関するアンケート調査の結果が紹介されているのですが、
「外見が男性の仕事における評価に影響を与えると思いますか?」
の質問に回答者の半数以上、ほぼ60%の人が肯定的な答えをしているのです。

その内訳は、「かなりそう思う」が19.4%、「どちらかといえばそう思う」が40.1%です。

このようなアンケート結果も踏まえ、「がん治療中の男性が自分らしい外見で生きることを支援したい」との思いから、このガイドブックがまとめられたようです。

外見変化によるつらさはHOW TOだけでは乗り越えられない

ところで、タイトルに「NO HOW TO」とあるように、「肌のくすみを隠す方法」とか「薄くなった眉毛の描き方」といったような「単なるハウツーを紹介する本ではない」のがこのガイドブックの特徴です。

先のアンケート結果が示すように、外見上の変化そのものによるマイナスの影響は確かにあるものの、多くの男性がん患者を悩ませているのは、どうもそれだけではないようです。

外見が変化したことで自信を失うとか、持ち前の自分らしさを出せなくなってしまうことで、仕事に向き合う姿勢が変わってしまい、結果として同僚や上司からの評価にもマイナスに働いてしまうのではないかといった懸念がぬぐい切れない――。

このようなつらさは、HOW TOだけで乗り越えられるものではなく、自分なりのライフスタイルや気持ちにフィットしたアピアランスケアの方法を自ら見出していくことが大切になってくるようです。

そのヒントになればと、多くの男性がん体験者たちが自ら創意工夫して編み出した外見上の変化とつき合っていく方法や考え方の切り替え方などが、本ガイドブックには数多く紹介されているのです。

もちろん、脱毛や皮膚の色素沈着や手術跡などに対する基本的な対処方法についても、医療スタッフによる解説と併せて紹介されています。

本ガイドブックの電子ブックは、国立がん研究センター中央病院、アピアランス支援センターのWebサイトで閲覧するか、PDF版をダウンロードして見ることができます*¹。

スポンサーリンク

男性がん患者向け外見ケアテクニックの動画も

もう1点、「やっぱり外見ケアのHOW TOを具体的に知りたい」という方もいるでしょう。

このような方には、大手化粧品メーカーの資生堂が配信しているがん患者の男性向け美容情報と、簡単にできる外見ケアのテクニック動画があります。

このテクニック動画では、たとえば「肌が乾燥して荒れていると感じたとき」や「ひげを剃ったあとにヒリヒリするとき」の肌ケアとして、化粧水や乳液のつけ方などが具体的に紹介されています。

また、メイクアップテクニックとして、以下について具体的な方法を知ることができます。

  • 強いくすみやシミが現れたときの指1本でできる肌色カバー
  • 眉がまばらになったときの指を使って眉を描く方法
  • 眉が脱毛したときの眉メイクの方法

また、動画の発信に先立ち、資生堂では外出時やビジネスシーンなどに役立つアピアランスケア情報をまとめた小冊子「男の整容本」も発行しています。

この小冊子では、動画では取り上げていない頭髪ケア、肌ケア、唇ケア、手指ケアなどについて、化粧に不慣れな男性でも抵抗なくできるように簡単でわかりやすいテクニックを紹介しています。

メイクアップテクニック動画と小冊子「男の整容本」は、いずれも資生堂の「LIFE QUALITY MAKEUP(ライフクオリティーメイクアップ)」サイトの「がん患者さんのための美容情報」のコーナーで閲覧およびダウンロードすることができます*²。

医療用ウイッグには購入費助成制度も

なお、外見の変化で最も多いと思われる頭髪の脱毛に対する医療ウイッグについては、購入費用を助成する自治体が増えています。

助成制度を用意している自治体のリストはこちら*³を参照してください。

また、外見の変化以外のがんに関連した悩み全般は、全国にある「がん診療拠点病院」に設置されている「がん相談支援センター」が対応してくれます。

誰でも無料で受けられますので、お役立てください。
センターのリストを含め、詳しくはこちらをどうぞ!!

→ 誰でも無料で利用できる「がん相談支援センター」

女性がん患者のアピアランスケアについてはこちらの記事をご覧ください。

がん治療による外見の変化をどうカバーする?
がん患者の就労支援に国が力を入れていることもあり、治療と仕事を両立しているがん患者が増えつつある。その際課題になる「がん治療による外見上の変化」にいかに対処するかにつき、友人の女性の体験を例にまとめた。幸い、社会的支援も充実してきた実態も紹介する。

参考資料*¹:国立がん研究センター中央病院 アピアランス支援センター「NO HOW TO」

参考資料*²:資生堂 LIFE QUALITY MAKUP「がん患者さんのための男の整容本」

参考資料*³:医療用ウイッグの購入費助成制度のある自治体リスト