目が乾いたりゴロゴロするときは「ドライアイ」の可能性が
パソコンやスマートフォン、あるいはテレビの画面を長く見続けていると、こんな症状を経験することはないでしょうか。
- 目が乾いた感じがしてショボショボしてくる」
- ゴロゴロした異物感が出てくる」
- 物がかすんで見えてくる」
このような症状を自覚したときは、10秒間まばたきをせずに目を開けていられるかどうかセルフチェックしてみてください。
「10秒の間、目を開け続けていられずついまばたきをしてしまうようなら、あなたはドライアイの可能性がありますね」
目の乾燥感を訴えて受診した私に、かかりつけの眼科医はそう断言しました。
ドライアイは加齢現象の一つとも言われています。
それだけに、「えっ、まだそんな歳でもないのに……」と気落ちする私を慰めるように、最近のドライアイ事情や対処法について、ていねいに説明してくれましたので、今回はその話を紹介しておきたいと思います。
マスクドライアイなら早めの眼科受診を
なお、このところ「マスクドライアイ」という言葉が生まれるほど、コロナ対策で長時間着用するマスクが原因でドライアイになる人が増えていることが指摘されています。
マスクの上部から漏れる自分の息が、呼吸をするたびに目に当り、目の水分を奪って乾燥させることが原因でドライアイになるリスクがあると聞きます。
是非一度、以下で紹介しているドライアイチェックをしてみてください。
そして、異常があれば早めの眼科受診をおススメします。
ドライアイは目の表面を潤している「涙の病気」
ドライアイとは、目の表面を潤している涙の分泌そのものが少なかったり、量は十分でも涙の質が低下して涙が目の表面に均等に行き渡らなくなっている状態です。
「ドライアイは涙の病気」と言われるゆえんです。
涙の量の減少や質の低下は加齢に伴い起こるため、ドライアイは当然高齢者により多く見られるようになります。
ところが最近は、むしろ若者やオフィスワーカーを中心にドライアイに悩む人が増えており、国内のドライアイ潜在患者は2000万人を優に超えると推計されています。
加齢現象だけでは説明できない世代にもドライアイが増えているわけです。
その背景には、仕事でパソコンなどのディスプレイを使う作業を長時間続けている人や、ゲームなどでスマートフォンが手放せなくなっている人が増えていることがあるようです。
また、エアコンにより室内の環境が乾燥しがちであること、さらにはコンタクトレンズ、特にソフトコンタクンズの装用者が増えていることもドライアイの増加に影響しているようです。
このような要因が思い当たる方で、目を開けた状態で10秒間まばたきを我慢できないうえに、目の疲れや乾燥感、見えにくさを感じるようなら、ドライアイを疑ってみる必要がありそうです。
「ドライアイチェックリスト」でセルフチェックを
ドライアイに関する研究を進める臨床医の集まりである「ドライアイ研究会」は、患者のセルフチェックに役立ててもらおうと、次のような「ドライアイチェックリスト」を作成しています。
症状を順次チェックしていき、5項目以上にチェックが入るようなら、ドライアイの可能性がありますから、早めに眼科受診を!!
こんな症状はありませんか? ~ ドライアイチェック !~
□ 目が疲れる
□ 目が重たい感じがする
□ 目がゴロゴロする
□ 目が乾いた感じがする
□ 目に不快感がある
□ 目がヒリヒリ痛い
□ 目が赤くなりやすい
□ 目がかゆい
□ 朝、目が開けにくい
□ 光をまぶしく感じやすい
□ 白っぽい目ヤニが出る
□ なんとなく見えづらい
□ 時々かすんで見える
□ 最近少し視力が低下したようだ(引用元:ドライアイ研究会Webサイト*²)
ドライアイの悪化防止にディスプレイを長時間見続けない
「ドライアイは涙の病気」と言われますが、そもそも涙には脂分(あぶらぶん)やムチン(粘液)が含まれていて、目の表面を潤して保護すると同時に、角膜や結膜の細胞に栄養分を送り届けるという非常に重要な役割を担っています。
ドライアイによりこの涙の量が少なくなったり、涙の質が低下していると、目の表面が傷つきやすくなります。
その状態を放置していると、失明するほどの深刻な事態に陥ることはないものの、結膜や角膜が炎症を起こしたり傷ついたりして、視力が低下することもあるようです。
ドライアイを予防、あるいはさらに進行させないためには、パソコンやスマートフォン、タブレットといった情報機器のディスプレイを眺めているときは、「1時間に少なくとも10分ほどはディスプレイから目を離すように」と、かかりつけ眼科医からアドバイスを受けました。
さらに、その10分間には、軽く目を閉じたり、窓の外に目を向けて遠くを眺めるなどして目をリフレッシュさせるようにも言われました。
厚生労働省もガイドラインで注意を喚起
なお、厚生労働省は、パソコンなどの情報機器を使用して働く労働者に向けて注意点をまとめたガイドラインを2019年に大幅にリニューアルしています。
そこでは、ディスプレイを長時間見続けないよう、作業時間と小休止の基準を次のように定めています*²。
- 1回の連続作業が1時間を超えないようにする
- 1時間を超える場合には、次の連続作業までの間に10~15分の作業休止時間を設ける
- 1連続作業時間内に1~2回程度の小休止を設ける
室内の乾燥はドライアイの悪化要因
ドライアイはその名の通り「ドライ(dry)」、つまり乾燥していることが悪化要因ですから、目の保湿を図ることも大切です。
特に、冷房にしても暖房にしても、エアコンを使用しているときは、どうしても室内が乾燥しがちです(最近は、乾燥しないエアコンも開発されているようですが……)。
加湿器を設置して室内全体を加湿することに加え、卓上アロマ加湿器などをパソコンの脇に置くと、加湿に加えてアロマによるリラックス効果も目を癒してくれます。
また最近は、ドライアイに悩む方が増えているのを受けてでしょうか、目の保湿を図ることを目的につくられたドライアイ専用のメガネも各種市販されています。
なお、加湿器を使用する際には、レジオネラ感染に気をつけて!!
ホットアイマスクや市販の目薬の使用は眼科医に相談を
目の疲れ対策にホットアイマスクを使っている方もいるようです。
しかし、「目が痛い・かゆい・赤い」といった炎症を疑わせる症状があるときは、温めることによって炎症を悪化させてしまう可能性がありますから、眼科医の診察を受けて問題ないことを確認してから使用することをおススメします。
同様に、市販の「ドライアイ用」目薬についても、混入してある防腐剤がかえって刺激となり、症状が悪化することがありますから、眼科医に相談してから使うなり、別に処方してもらうなりしたほうが安心です。
診察の結果、目薬の処方を受けたときは、コンタクトレンズをつけているときの目薬のさし方をこちらで詳しく紹介していますので、参考にしていただけたらうれしいです。
引用・参考資料*¹:ドライアイ研究会Webサイト「ドライアイチェック」