脳が疲れる前にブドウ糖でエネルギーチャージ

疑問食と健康
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ブドウ糖は脳のエネルギー源となる主要な栄養素

今や棋界(きかい)最高位に昇段している藤井聡太(ふじい・そうた)名人ですが、彼がまだ若干15歳の少年棋士で破竹の勢いで勝ち進んでいた当時は、アイドル並みの人気を集めていました。テレビのワイドショーは、藤井棋士が試合の途中にとる食事をそのまま映像で紹介したりもしていました。

たまたまそのお盆に並べられた品々を見たときは、麺類やご飯ものなどの炭水化物、つまり糖質の量があまりに多いことに違和感を覚えたものです。そこで、脳神経内科医を取材した折に、その違和感を話してみました。

彼はずっと坐ったまま将棋を打っているだけで体は動かしていないのだから、糖質はあんなにとらない方がいいのではないかと思うのですが、と――。すると、こんな答えが返ってきたのです。

「藤井君は脳をフル稼働させて次に打つ手を考えているわけですから、脳にエネルギーをたっぷり補給してあげないといけないでしょう。だから彼は糖質を人一倍多くとっているんだと思いますよ」

脳細胞がエネルギー源として利用できる代表的な栄養素はブドウ糖です。食事として摂取した糖質は、体内に入って代謝、つまり消化吸収されると、最終的にブドウ糖になります。

だから彼は、脳にエネルギーをしっかり送り込んで脳の機能を活性化させて存分に働かせようと、意識して糖質をたくさんとっているのだろう、ということでした。

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脳に十分量のブドウ糖を備蓄することはできない

脳の働きを活性化させる栄養素として広く一般にアピールされているのは、DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)、ARA(アラキドン酸)に代表される「オメガ脂肪酸(「オメガ系オイル」とも言う)」と呼ばれる必須脂肪酸です。

これらの栄養素はイワシやサバ、サンマといった青魚の脂(あぶら)やくるみ、卵黄、豚レバーなどに多く含まれています。ですから、食事からオメガ脂肪酸をとることもできるのですが、むしろサプリメントでこれらの栄養素を補っている方が少なくないようです。

しかし、先の脳神経内科医によれば、脳にいいからとその種のサプリメントを飲んでいても、サプリメントに含まれているDHAやEPA、ARAがしっかり脳に取り込まれて期待される健康効果を発揮するためには、その取り込みに必要なブドウ糖(グルコース)が欠かせないのだそうです。

このように、脳細胞や脳内の神経伝達系にしっかり働いてもらうには、ブドウ糖が必須なのですが、残念なことに、脳はもちろん体内に蓄えておけるブドウ糖はごく少量に限られるという問題があります(1日分しか蓄えられないとの説もあります)。

そのため、糖質を食事やおやつで補給してブドウ糖をコンスタントに送り込んであげないと、脳がエネルギー不足に陥り、思うように働いてくれなくなってしまうというわけです。

脳を疲れさせないためには適宜ブドウ糖補給を

実際のところ、仕事や勉強に熱中するあまり糖分を補給し忘れていると、脳が疲れて思考力が低下し、仕事も勉強もはかどらなくなってくるものです。集中力や注意力が途切れ、やる気がなくなり、イライラして、やがて眠気が襲ってくるといったことは誰もが日常的に経験していることではないでしょうか。

ただ、糖質をとりすぎると、エネルギーとして消費されなかった糖質は体内で中性脂肪として蓄えられますから、肥満につながりやすいというリスクがあります。そのため「糖質オフダイエット」なるものが流行ったりするわけです。

肥満リスクの高い果糖や砂糖ではなくブドウ糖を

しかし、肥満につながりやすいリスクが高いとされている糖質は、果糖(フルクトース)やショ糖(砂糖)です。ですから果糖やショ糖が多く含まれている清涼飲料水やスナック菓子類、そして果物類をとりすぎないようにすれば、糖質のとりすぎによる肥満の問題は極力避けることができます。

特に果物の缶詰やゼリーで固めた果物類は糖分の高いシロップを使っていますから、その分だけ肥満につながるリスクが高くなり、要注意です。

ただし、だからといって、糖質のすべてを毛嫌いしないこと。ブドウ糖を適宜補給してあげることが、脳を疲れさせずに目いっぱい働いてもらう最善策なのですから。

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肥満の心配がなく脳のためになる糖分は?

これは大学病院の看護師長さんからうかがった話ですが、夜勤中のナースが適宜糖分を補給して脳をリフレッシュできるように、彼女の病棟のナースステーションの休憩室にはラムネ菓子を常備してあるとのこと――。

この話をうかがって以来、私も、やさしい口どけ ブドウ糖 100% ラムネをデスクの上に常備し、随時口に入れて、仕事中の脳にエネルギーをチャージしています。一粒ずつ包装されていますので、衛生的で、外出時も携帯できて便利です。

最寄りのコンビニなどでも簡単に手に入る「森永製菓 大粒ラムネ」を脳のエネルギー源として愛用している友人も、私の身近にも何人かいます。

仕事中の脳の栄養補給にはチョコレートがいいという話もよく耳にします。確かにチョコレートを食べると脳がすっきりしたような気分になりますが、チョコレートの種類にもよるものの、あの甘さはショ糖、つまり砂糖です。

砂糖は果糖とブドウ糖が結合したものですから、ブドウ糖の補給にもなりますが、食べ過ぎると、やはり肥満につながるリスクが避けられませんのでご注意ください。

糖質カットは食物繊維不足から便秘の悪化に

なお、糖質をカットしていると、脳のエネルギー不足に陥るだけでなく、食物繊維不足から便秘の悪化にもつながります。便秘もちの方は特にご注意を!!

「糖質オフ」「糖質カット」で気をつけたいこと
「糖質オフ」「糖質カット」「糖質ゼロ」などの商品が増え続けている。糖質制限や炭水化物制限ダイエットに取り組む人も増えている。しかし、炭水化物にはダイエットに不可欠な食物繊維が含まれているし、糖質のなかのブドウ糖は脳の働きに必須だ。この点をどうクリアするか。