納豆は朝食より夕食に、そのまま食べるのがいい

納豆食と健康

納豆の魅力は良質なたんぱく質とナットウキナーゼ

ご承知のように納豆は、蒸した大豆を納豆菌によって発酵させた発酵性大豆食品です。

原料となる大豆は、アミノ酸バランスのよい植物性たんぱく質が豊富に含まれています。

そのうえ大豆には、各種ビタミンやカリウム、鉄、カルシウム、マグネシウムといったミネラル類、さらには便秘もちの方には欠かせない食物繊維も多く含まれていて、「日本食のスーパーフード」と呼ばれるほど理想的な食品です。

このような大豆本来の豊富な栄養素に加え、納豆には、血栓を溶かして血液をサラサラにする「ナットウキナーゼ」という酵素が含まれています。

このナットウキナーゼに魅かれ、納豆かけご飯を朝食の定番にしているという方が多いのですが、血液サラサラ効果により心筋梗塞や脳卒中の予防を期待するなら、納豆はむしろ夕食に食べたほうがいい、しかも熱を加えずそのままを食べるのがいい、といった話を書いてみたいと思います。

併せて、冷え症の方が納豆を食べるなら、良質なたんぱく質により体温上昇をスムーズに進めることができることから、朝食で食べるのがいい、という話も……。

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納豆のネバネバに血液サラサラ効果のナットウキナーゼが

関西人には、「あの独特なニオイとネバネバ感がどうもねぇー」と、納豆を敬遠する方が少なくないと聞きますが、実はこの「ネバネバ」に、ナットウキナーゼが含まれているのです。

ナットウキナーゼには、「血栓(けっせん)」、つまり血の塊(かたまり)のもととなるたんぱく質を溶かして血液をサラサラにしてくれる働きがあります。

血栓は、出血を止める場面では重要な働きをしてくれます。

ところが、血管内にできた血栓が大きくなると、動脈硬化を進行させたり、血管を塞いで血流を止めてしまうリスクがあります。

具体的に言えば、血管内にできた血栓が血流に乗って、心臓の筋肉に酸素や栄養を送り込んでいる冠状動脈(かんじょうどうみゃく)と呼ばれる血管に移動すれば、心筋梗塞を引き起こす可能性があるのです。

血栓が脳の血流に入り込めば、脳卒中を引き起こすことにもなりかねません。

ナットウキナーゼには、このような深刻な事態を防ぐ効果を期待できることから、ニオイやネバネバ感が気になってもやめられないという方は多く、日本人の食卓から納豆が消えることはまずないでしょう。

納豆の摂取量が多いほど循環器疾患による死亡リスクが低下

実際、日本人の死因別に納豆の摂取状況との関連を分析した研究*¹で、がんによる死亡では関連性は認められなかったものの、心筋梗塞や脳卒中のような循環器疾患による死亡については、
「男女とも納豆の摂取量が多いほど、死亡リスクが低下する」ことが確認されています。

この結果から押して、
「では納豆を食べるとして一体どのくらい食べたら言われているような効果が出るのか」
が知りたくなります。

この点については、「納豆を最も多く食べているグループ(1日におよそ50グラム)は、最も少ないグループと比べて、男女ともに死亡率が約10%低かった」という結果が紹介されています。

納豆50グラムは、スーパーなどで売っている1パックほどに相当します。
納豆の1日摂取目安量は100グラムですから、1日2パックを限度と考えたらいいでしょう。

納豆の血液サラサラ効果を生かすには夕食に食べるといい

また、では納豆はいつ食べるのがいいのかですが、睡眠中は体内の水分が少なくなるため血栓ができやすく、早朝(午前6時から8時)と夜間(午後8時から10時)は心筋梗塞や脳卒中の発症率が高いことがわかっています。

ナットウキナーゼの効果は食後8時間以上持続することが複数の研究にて確認されていますから、どうせ納豆を食べるなら、朝食よりも睡眠に入る前の夕食で食べた方が、ナットウキナーゼの効用をフルに生かすことができるということになります。

冷え症なら朝食に納豆を食べて活動のエネルギー源に

なお、納豆を食べている人みんながみんなナットウキナーゼの血液サラサラ効果を期待して食べているというわけではありません。

なかには、1日の活動のエネルギー源として良質なたんぱく質を摂取したいと、朝食に納豆を食べている方も少なからずいるでしょう。

特に冷え症の方は、起床後の体温上昇をスムーズに進めるうえで、良質なたんぱく質が必要ですから、この場合は、夕食よりも朝食に納豆を食べた方がいいということになります。

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血液サラサラ効果をねらうなら納豆は加熱しない

ところで、ナットウキナーゼには「熱に弱い」という難点があります。

加熱されると納豆菌による発酵が繰り返されることになるのですが、その繰り返しがナットウキナーゼの血液サラサラ効果を低減させてしまうのです。

そのため、「血液サラサラ効果」を狙うなら、納豆レシピとして最近人気の高い「納豆オムレツ」や「納豆チャーハン」「納豆パスタ」といった加熱料理ではなく、手をあまりかけずにそのままを食べるのがいいということになります。

それと、炊きたての熱々のご飯に納豆を乗せて食べるスタイルを好む方は多いでしょうが、その際には、ご飯を少し冷まして粗熱をとってから納豆を乗せたほうがいいでしょう。

また、特に気温の上がるシーズンでは、冷蔵庫から出した納豆をそのまま室内に長時間放置しておくのも避けたほうがいいでしょう。

納豆を食べるなら腎機能と内服薬のチェックを

納豆に期待できる健康効果を紹介してきましたが、健康にいいからと言って何が何でも食べればいいというものではありません。

納豆は高たんぱく食品です。
たんぱく質は食べ過ぎると、その老廃物を処理するために腎臓に過分な負担を強いるリスクがあります。

納豆に限らず、たんぱく質を多く摂る際には、腎機能が正常に機能していることを確認しておく必要があります。この点はかかりつけ医に確認すれば安心でしょう。

あるいは病院などで渡される尿や血液検査の結果報告書で、「尿たんぱく」が陰性、または血液中の「尿素窒素」や「クレアチニン」の値がそこに示されている「基準値の範囲内」であれば、腎機能はまず正常に機能していると考えることができます。

納豆に含まれるビタミンKがワルファリンの薬効を弱める

納豆に関してもう一点気をつけていただきたいことがあります。
それは、内服薬との相性の問題です。

心房細動や深部静脈血栓症、肺塞栓症、脳塞栓症などの循環器疾患で治療中の方のなかには、血液を固まりにくくすることによって血管内に血栓が作られるのを予防する、いわゆる抗凝固薬の処方を受けて常用している方も少なからずいると思います。

「ワルファリン」はその代表ですが、納豆に多く含まれているビタミンKには、その薬効を弱める作用がありますから、ワルファリンの処方を服用している方は、納豆は控えたほうがいいでしょう。

なお、ワルファリンの処方を受けたもののどうしても納豆を食べたいという方もいるでしょう。

そのときは、処方医にその旨を話して、ワルファリンの代替薬である「ダビガトラン(商品名:プラザキサ)」などに薬を変更してもらうのも一法です。

参考資料*¹:国立がん研究センター「大豆食品、発酵性大豆食品の摂取量と死亡リスクの関連」