生理前のつらい時期を基礎体温から予測する
毎月、生理(月経)が始まる3~10日前になると「イライラする」「軽い頭痛が続く」など、心身の不調に悩まされる女性は少なくないと思います。
PMS、つまり「Premenstrual Syndrome」、日本語では「月経前症候群(げっけいぜんしょうこうぐん)」と呼ばれる女性の生理につきもののトラブルです。
毎月やってくる生理の前のこの時期には、気持ちが落ち込んだり、わけもなく不安な気持ちになったり、涙もろくなることもあるでしょう。
身体面では胸(乳房)の軽い痛みや緊満感(きんまんかん)と呼ばれる風船が膨らんだような突っ張った感じ、腹部の重い感じや張った感じ(膨満感)、四肢、とくに足のむくみ、場合によっては片頭痛(へんずつう)に悩まされることもあるかもしれません。
不思議なことにこれらの症状は、生理が始まればすぐに和らぐか消えてしまうのですが、生理の前の一時期とはいえ、心身に不調を抱えながら仕事や家事などをするのはつらいものです。
不安定な精神状態から、ついカッとなってしまい、家族や友人、職場の同僚などとの関係に支障をきたすようなことがないともかぎりません。
そこで今回は、排卵がある方なら誰もが経験する月経前症候群(PMS)対策として、基礎体温を継続的に測定、記録し、グラフ化することから始めることをおすすめしたいと思います。
基礎体温表に現れる波型から自らの体のリズムを知り、月経前症候群(PMS)が起こる時期を予測して事前策を打つことができれば、よりよい状態でこの時期を乗り切ることができるはずです。
月経時の体調管理に基礎体温管理アプリを活用
こころと体が一日のうちで最も安定した状態にあるときの体温を「基礎体温」と呼ぶことはご承知でしょう。通常は、早朝、目覚めたときに測定した体温を基礎体温としています。
交代制勤務に就いていて、起きる時間が必ずしも一定でない方の場合は、6時間ほどの睡眠をとって目覚めたときに測定した体温が基礎体温となります。
基礎体温を測定していると、風邪などによる発熱などの症状がないことが条件になりますが、体温が二相性を示す、つまり低いときと高いときがあることがわかります。
排卵が起きて卵巣にできた黄体から黄体ホルモン(プロゲステロン)と呼ばれる女性ホルモンが分泌されると、体温がわずかに上がりますが、その高温が続く時期は、おおむね15~16日間と決まっています。
その時期が過ぎて体温が下がると、生理になり、生理から次の排卵までは黄体ホルモンが分泌されませんから、体温は低いままです。
基礎体温を毎日測定し、記録してグラフ化していくと、月経や排卵など、あなたの体をコントロールしている女性ホルモンの動きを確認することができます。
当然、そのグラフから、月経前症候群(PMS)が起こる時期を、いとも簡単に把握することができるのです。
基礎体温を測定、記録し、グラフ化する習慣を
ただ、この基礎体温を毎日測定して記録し、グラフ化していくことは、目覚めて起床する前の作業としては結構負担で、つい怠けてしまうという方も少なくないんだろうと思います。
そんな方向けに、たとえばTDKは、口内で約40秒で基礎体温をスピード測定し、その測定データをボタン操作ひとつでスマートフォンに転送、専用アプリ(月経管理アプリ「ルナルナ」)との連動で測定データを基礎体温グラフとして表示できるできるようにしたTDK基礎体温計(口中専用)を開発しています。
これを活用すれば、表示された基礎体温グラフに示されるあなたの体のリズムから生理予測日を一目で知ることができますから、月経前症候群(PMS)に備えることもでき、同時に公私両面のさまざまなスケジュールも調整しやすくなります。
また、周期的に訪れる生理は、あなたの健康を知るバロメーターでもあります。周期の変動が体の思わぬ不調を教えてくれることもあり、仮に子宮内膜症や子宮筋腫などのトラブルがあれば、その早期発見にもつながります。
なお、同様の体温計として、たとえばオムロン 婦人用電子体温計 もあります。
こちらは起床前の10秒で検温し、スマホやPCで自分の体のリズムを確認できるうえに、「うっかり測り忘れ」を防ぐアラーム機能がついているのが特徴です。
生理前のつらい症状は血行促進で軽減する
生理前に現れる症状は人それぞれですから、その改善策は、自分が楽だと思える方法でセルフケアを行うのがいちばんです。
軽い運動を習慣化して血のめぐりをよくする
滞りがちな血行を促して血の「めぐり」をよくするためには、軽い運動をするといいでしょう。
日頃運動をする習慣のない人と定期的にスポーツをしている人とでは得られる効果も違ってくるでしょうが、自分にとって無理のない範囲で体を動かすことは、気分転換にもなり、また抑うつ的な気分の改善にも効果があります。
たとえば、外に出て家の周りをゆっくり散歩するだけでも、血行が促進されて気分転換が図られます。
戸外に出る気になれないようなら、ベランダに出て、あるいは部屋の中でも窓を大きく開け、背筋を伸ばしてゆっくり大きく腹式の深呼吸をするのもいいでしょう。
腹式呼吸では、胸腔と腹腔を仕切っている横隔膜(おうかくまく)と呼ばれる薄い板のような筋肉が上下に動きますから、肺でのガス交換が完璧に行われ、体の隅々まで酸素が十分行き渡ります。
結果として全身の血のめぐりがよくなりますから、全身の筋肉の緊張がほぐれて体が軽くなり、気分も落ち着いて、明るい気持ちになってきます。
むくみがあるようなら塩分と水分は控えめに
栄養面では、栄養バランスのよい食事が基本であることはいうまでもありません。
ただ、この時期はホルモンバランスの乱れから水分代謝に異変を来たしやすく、顔が何となくはれぼったく感じたり、長時間立ち仕事をすることの多い方では、足にむくみ(浮腫)が出ることもあるでしょう。
その場合は、塩分と水分を控えめの食事にした方がいいようです。
外食やコンビニなどの持ち帰り弁当などは、美味しく食べてもらおうという意図から、塩分がやや多めになっています。1日の食事を振り返って、「今日は塩分を摂りすぎたかも……」というときは、カリウムの多い野菜や果物類を少し多めに摂ることをおすすめします。
甘いものは控えめにして蜂蜜入りのハーブティーを
また、この時期は血糖値が下がりやすいうえに、イライラや不安感を解消しようと、つい甘いものを無茶食いしてしまいがちです。
ただし、一気に糖分をとって血糖値を急激に上げてしまうと、気持ち的には落ち着いても体としてはかえって疲れてしまいます。
甘いものはほどほどにして、たとえば血行促進やリラックス効果を期待できるenherb ハーブティー ティーバッグ 「女性リズムを笑顔で過ごしたい時に」 に蜂蜜を少し加えて飲むのもいいでしょう。
自分が甘いものを摂りすぎているかどうかは、血糖値をチェックして見ればすぐにわかります。
最近は、街の薬局などで血糖値を手軽にセルフチェックできます。詳しくはこちらで紹介していますので参考にしてください。
→ 体重を気にするように血糖値も薬局でセルフチェック
生理前の体調不良が重症なら産婦人科医に相談を
生理前のつらい症状が重く、薬を使ってでもなんとか症状を和らげたいこともあるでしょう。
そのような場合は、産婦人科医などに相談して、生理痛や偏頭痛には鎮痛薬、足のむくみには利尿薬、イライラや不安感が強いときは精神安定薬と、症状に合った薬を処方してもらうといいでしょう。
また、低用量ピル(低用量経口避妊薬)が処方されることもあります。
生理前の体調不良、つまり月経前症候群は女性ホルモンの急激な変動が原因ですから、卵胞ホルモン薬である低用量ピルを使って排卵を止めることによりその変動の波を緩やかにし、症状を和らげようというわけです。
この時使用する低用量ピルは、服用している期間だけ一時的に排卵を止めるもので、将来の妊娠に影響を与えるものではありませんから、安心して使うことができます。
なお、月経管理アプリ「ルナルナ」に記録した月経周期や基礎体温などの情報は、希望すれば受診先の産婦人科でも閲覧し、担当医と情報を共有できるようになっていますから、より確かな診断に、よりスピーディーにつながるというメリットがあります。
漢方薬は漢方に精通した医師か薬剤師に相談を
月経前症候群の症状緩和には漢方薬が処方されることもあります。
ただ漢方薬は通常の西洋薬と違い、個人の「証(しょう)」といって、現れている症状だけでなくその人の体質に合わせて使用するのが原則ですから、薬の選択にはことさら慎重さが求められます。
漢方に精通した医師に処方してもらうのがいちばんですが、市販のものを購入する場合は、漢方に明るい薬剤師が常勤している薬局で購入することをおススメします。
一般論で言えば、PMSには加味逍遥散(かみしょうようさん)、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、抑肝散(よくかんさん)、桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)などがよく使用されているようです。
なお、漢方薬にも副作用があるという話をこちらで書いています。是非目を通してみてください。
→ 「漢方薬だけでダイエット」は可能なの?
なお、月経中の過ごし方や月経に関連する心身のトラブルについては、こちらで紹介しているハンドブックの「月経編」も参考にしていただけると思います。
→ 高校生の性の悩みに答える「つながるBOOK」