便秘にいい排便姿勢は「ロダンの考える人」

考える人体調が悪い?
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便がスッキリ出きらないときは排便姿勢の見直しを

このところ、テレビ画面に便秘関連のコマーシャルが流れない日はなく、なかには、「そこまであからさまにしなくても……」と、目をそむけたくなるようなものもありますが、頑固な便秘に悩まされている方がそれほど多いということなのでしょう。

実際のところ、便秘人口は1000万人を優に超えると推計されていますから、わが国の総人口から考えると、少なく見積もっても8人に1人が、程度の差はあるものの便秘の悩みを抱えている計算になります。

一口に「便秘」といっても、何日も続けて排便がないこともあれば、1日1回は排便があるものの量が少ないということもあり、そんなときは、「残便感(ざんべんかん)」といって、便が固くてなかなか出きらずに便が残ってしまい、スッキリ出きった感じがしない不快な状態が続くことになりがちです。

今回はその、残便感が強く、「いつも便が出きらないような気がする」といったときの対策として、排便しているときの姿勢を見直してみてはどうかという話を中心に、薬や健康食品の類に頼らなくても自分でできる排便のコントロール方法について書いてみたいと思います。

便秘と認知症にただならぬ関係が

なお、排便頻度が少なく、便が硬くなりがちで便秘気味の人ほど、将来、認知症になるリスクが高いことが国立がん研究センターの調査で明らかになっています。認知症予防には脳活だけでなく腸活も大事ということです。詳しくはこちらを読んでみてください。

認知症予防には「脳活」に併せて「腸活」も
認知症予防と言えば「脳活」だ。しかし、国立がん研究センター研究チームの最近の報告によれば、便通の改善、つまり「腸活」も大事だと実感させられる。排便習慣と認知症の発症にただならぬ関係があることが、大規模な疫学調査で実証されている。その紹介を。
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排便しやすい姿勢は「考える人」の前かがみ35度

腸にたまっている便が排出される経路を解剖学的に見てみると、いきんで腹圧をかけやすく、いちばん排便しやすいのは、和式トイレで私たちが自然にとる、あの「しゃがんだ姿勢」だと言われています。

たとえて言えば、ロダンのブロンズ像「考える人」がとっている、あの前かがみ35度の姿勢です。この前傾姿勢になると、排便する前の便が蓄えられている直腸から肛門へとつながる便の通り道がまっすぐになりますから、便を出しやすくなります。

同時に、肛門を閉じている「肛門括約筋(こうもんかつやくきん)」と呼ばれる筋肉も緩みやすく、スムーズに排便できるというわけです。

ところが、最近多くのトイレが採用しているのは洋式です。この洋式便器に坐ると、背筋がスッと伸びた90度の姿勢になるのですが、この姿勢では、便を押し出すのに必要な腹圧をかけにくくなります。特に、お子さんや背の低い方は便器に坐ったときに足がブラブラしがちですから腹圧をかけにくく、スムーズな排便というわけにはいかなくなります。

腹圧をかけにくい洋式便器には踏み台を

そこで、熊本市で大腸肛門センター病院を開業する医師らは、便秘で悩む患者さんを対象に、排便に理想とされる姿勢を洋式便器でとる方法について実験を行いました。その結果、洋式便器の足元に踏み台を置くことを考えついたのです。この踏み台は、トイレ 踏み台などとして売り出されています。

洋式便器に坐って踏み台に足を乗せ、両肘を膝の近くに置くと、ほどよい前傾姿勢、まさに「考える人」の姿勢になりますから、直腸と肛門の間が真っ直ぐになり、肛門括約筋も緩みます。

こうすることで、強くりきまなくても直腸内に便を残すことなくスッキリ排便することができ、便が残っているような不快感も解消できるというわけです。

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排便姿勢の見直し以外にも自分でできる便秘対策

排便時の姿勢をちょっと工夫することで便秘を改善できるように、日々の生活習慣を見直してみると、薬や健康食品の類に頼らなくても自分でできる便秘対策が数多くあります。

「腸活」と呼ばれる、腸本来の蠕動運動(ぜんどううんどう)を促して腸内に溜まった老廃物、つまり便をすっかり排泄させる一般的な方法としては、おおむね次の7点があげられるでしょうか。

  1. 朝食を毎日摂るようにして、朝食後には便意の有る無しに関係なくトイレへ行き、排便を試みることで規則正しい排便習慣を身につける。また、便意があるときは時間に関係なく排便を試みる。
  2. 便の成分になり、腸の働きを活性化させる水溶性食物繊維を多く含む野菜(キャベツ、ニンジン、ゴボウ、きのこ類)や海藻類、みかんなどの柑橘類やりんごなどの果物類を意識して多くとる。
  3. 水分不足の状態が続けば便は固くなり出にくくなる。気象状況や運動量、汗のかき具合などにもよるが、1日にコップ7~8杯ほど(1.5ℓ前後)を目安に、十分な水分(みそ汁などの水分量も含む)をとる。
  4. 起床時など空腹時に、冷水や冷たい牛乳・果汁を飲む。また、朝起きぬけに飲む大さじ2杯ほどのオリーブオイルも、直接腸に届いて腸を刺激し、蠕動運動を促して排便効果をもたらすことが確認されている。
  5. 湯たんぽなどを使って腹部を温めると、腸の動きが活性化する。入浴もいい。
  6. 腹部をマッサージする。大腸は右側から左側に走行しているので、お臍(へそ)の周りを「の」の字を書くように時計回りにマッサージするといい。
  7. 「足裏マッサージ」あるいは「足ツボマッサージ」として知られる「リフレクソロジー*」も効果的。
*リフレクソロジーを日本語で言えば「反射療法」となる。
足の裏や手のひらには末梢神経が網の目のように走っている。その神経の「反射区」と呼ばれる部分を押すなどして刺激を与えることにより、血液やリンパの流れをよくしたり新陳代謝を活性化させるなどして症状の緩和を図り、体調を整えようというケア方法のこと。
便秘が癖になっている人は、テキスト本や通信講座などでその技をマスターしておけば、便秘の改善、解消に役立てることができる。

上記「2」にある柑橘類の一つである「ゆず」には、腸内の乳酸菌を増やして腸内環境を改善し、整腸効果を高めるという、ヨーグルトに匹敵する効果があることが実験で確認されている。このゆず果汁を使って便通改善効果をねらったゼリーも開発、商品化されています。

「ゆずちゃんゼリー」でおいしく便通改善
ゆずの産地として知られる高知県馬路村(うまじむら)農協が高知大学医学部と共同で、便通改善効果をねらった「ゆずちゃんゼリー」を開発。ゆず果汁に水溶性食物繊維のβ-グルカンを添加してあるのが特徴。携帯に便利で手軽に食べられるスティック包装になっているのが魅力。

便秘が長引くときは迷わず受診を

ところで、「便秘」は「症状」でも「病名」でもありません。排便の回数や排便する量が少なすぎて便が大腸内に滞っている状態、あるいは直腸内にある便をすっきり排出しきれていない状態を表す「状態名」と説明されています。

しかし、このような状態が長引くなどして日常生活に何らかの支障が出てくるようになったら、「便秘症」という病気と理解し、受診して医師による検査、治療を受ける必要があるとされています。このへんの話は、こちらで具体的な症状をあげて説明しています。是非一度読んでみてください。

頑固な便秘、すぐに受診したほうがいいときは?
長引く頑固な便秘に悩まされている人は少なくない。従来便秘は病気としてみなされず、個人がそれぞれ解消に取り組んできたが、便秘症の診療ガイドラインが作成され、「たかが便秘」と見過ごすことなく、すぐに受診する必要のある便秘が明らかにされている。そのポイントをまとめた。