フリーズドライ食品は栄養的にどうなのかしら

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フリーズドライ食品は長期保存が可能だが……

新型コロナウイルスは今のところ沈静化してはいるものの、12月から感染第6波が始まり、来年早々にはピークに達すると、人工知能の予測が報じられています。

否応なしに共存を余儀なくされる「ウイズ(with)コロナ」の生活では、食材の買い出しにも自粛が求められる日々ですが、食生活の充実は、免疫力を低下させないためにも重要です。

そこで、長期保存が可能な缶詰類や冷凍食品、乾物類の利用が自ずと多くなるのですが……。

その活用法をめぐり友人と電話でおしゃべりをするなかで、
「フリーズドライの食品は栄養的にどうなのかしら」という話になりました。

水やお湯を注いで混ぜるだけ、あるいは料理にそのまま加えるだけで食品が元の状態に戻り、簡単に食べられるフリーズドライ食品としては、味噌汁や卵スープなどのスープ類がお馴染みです。

加えて最近のフリーズドライ食品には、カレーやパスタ類もあれば、親子丼や中華丼といったご飯ものもあり、驚くほど多彩になってきています。

長期保存が可能で便利な食品ですが、利用するからには、やはり栄養的にどうなのかが気になります。

そこで、ちょっと調べてみましたので、わかったことを書いておきたいと思います。

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フリーズドライ製法により栄養分はそのまま凝縮される

フリーズドライ食品の製法「フリーズドライ」とは、文字どおり食品を「フリーズ」、つまり冷凍したままの状態で乾燥させる方法です。

具体的には、前処理や調理した食材や食品を、まずはマイナス30℃以下の超低温で急速凍結させます。

この凍結させたままの食品を真空凍結乾燥機と呼ばれる機械に24時間入れて減圧し、真空に近い状態で乾燥させた食品が「フリーズドライ食品」です。

先に、ホームフリージングによる「ベジ冷凍」と市販の「冷凍食品」の違いについてまとめた記事のなかでも書きましたが、食材を凍結するまでの時間がかかりすぎると栄養分の損失が免れません。

しかし、専用の急速凍結機によりいっきに凍結してしまえば栄養分をまるごと封じ込めることができます。
→ “ベジ冷凍”の栄養価は落ちていないって本当なの?

また、フリーズドライ製法では、凍結したものを乾燥させる工程で、熱風をかけるなど、食品に高い温度を付加するわけではありません。

そのため、急速凍結により封じ込められた栄養分は、加熱による影響を受けないまま真空乾燥により凝縮されますから、食材の香りや風味も、そして栄養的にも、熱に弱いことで知られるビタミンCなども損なわれることなくそのままパッケージ(包装)に封じ込められます。

フリーズドライ食品は保存性が高く賞味期限が長い

製造工程で栄養分が失われていないことに加え、フリーズドライ食品には人工的な保存料が一切使われていないのに賞味期限が長いという点も大きな魅力です。

保存料が使われていないというよりも、フリーズドライという製法では、保存性を高めるために保存料を加える必要がないのです。

保存料を添付されていない食材、たとえば採りたての野菜や肉類などを常温で保存すると、時間が経過するにつれて腐敗やカビの発生が始まります。
これは、食材に水分が含まれているためです。

水分が、物を腐敗させる細菌やカビなどの微生物が食材内で生存するのを手助けするばかりか、増殖をも促進させて微生物を増やし、腐らせてしまうのです。

その点フリーズドライ食品は、乾燥させて水分を抜き取っています。
一般に、フリーズドライ食品の水分含有量は5%以下に抑えられているようです。

そのため、仮に食品に微生物が忍び込んでいても、水分が少なければ微生物は生存しにくく、また繁殖も抑えられます。

結果として、保存料が添付されない状態で常温で保存しても成分変化が起こりにくく、栄養価が落ちたり味が変わることもありません。
また腐敗する心配もありませんから、自ずと賞味期限が長くなるのです。

フリーズドライ食品の賞味期限、つまり風味も豊かにおいしく食べられる期限は、個々のパッケージに表示*されていますが、多くの場合数か月から数年と長めに設定されています。

*「食品表示法」で決められている食品のパッケージに表示すべき項目
名称・原材料名・アレルギー(卵、乳成分、落花生、そば、えび、かに)・添加物・原料原産地名・内容量・期限表示(賞味期限・消費期限)・保存方法(摂取するうえでの注意事項を含む)・食品関連業者・製造所。栄養成分表(熱量、たんぱく質、脂質、炭水化物、食塩相当量の5項目は必須)
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フリーズドライ食品のパッケージを一度開けたらそのまま放置しない

フリーズドライ食品には消費期限は設定されていません。
ただし、保存方法によっては、食品の劣化が進み栄養価も落ちることがありますから、保存管理には特に気をつける必要があります。

フリーズドライ食品を劣化させる一番の要因は、高温にさらされることです。
たとえば直射日光の当たる場所や高温の場所にフリーズドライ食品を放置しておくと、化学変化が起こって品質が劣化しがちです。

また、パッケージを一度開封したフリーズドライ食品をそのまま放置しておくと、空気中の水分を吸収して、食品の品質を下げ、カビが生えたり、栄養価が下がってしまう可能性もあります。

食べようと思ってパッケージを開けてしまったが、すぐには食べないというときは、密封できるジップロック フリーザーバッグ などに入れて保存すれば、品質の劣化を防ぐことができます。

宇宙食にも利用されているフリーズドライ食品

ご存知のように、フリーズドライ食品は、
「水やお湯を注いで混ぜるだけで食べられる」といった手軽さに加え、
⑴ 常温で長期保存しても品質の変化が少ないこと
⑵ 軽量であること
⑶ 栄養価が優れていること
⑷ 賞味期限が長いこと
等々が評価され、多くの宇宙食に採用されています。

この点からも、フリーズドライ食品は優れた食品と言えるのではないでしょうか。

なお、同じ長期保存が可能な食材としては、「乾物(かんぶつ)」があります。

こちらも栄養価の面でも申し分のない保存食ですが、水やお湯で戻してから調理するという手間が面倒だからと敬遠しがちではないでしょうか。

しかし最近では、その手間を簡略化した調理法が開発されています。
詳しくはこちらを参考に、乾物類も活用してみてはいかがでしょうか。

「乾物」を利用して「食べて痩せるダイエット」
保存食としてどこの家庭にもある「乾物」は、天日に干して乾燥することにより、うまみや香りだけでなく栄養価も増している。注目すべきは、健康的なダイエットに必須の栄養素である食物繊維が、生の状態に比べ大幅に増えていること。鉄分やカルシウム、ビタミンDも。