気をつけたい女性のアルコール依存症

アルコール食と健康
スポンサーリンク

お酒の「家飲み」が習慣となりアルコール依存症へ

コロナ禍で、いわゆるお酒の「家飲み」が増え、つい飲み過ぎになってはいないでしょうか。

国内で新型コロナウイルスの感染第2波が始まったちょうど1年ほど前のことです。

アルコール依存などの問題に取り組む「日本アルコール関連問題学会」が、
「コロナウイルスの感染拡大に伴う依存症のリスクに関する注意事項」を、
学会声明のかたちでWebサイト上に公表しています*¹。

このなかで、ステイホームやテレワークの導入などで在宅時間が長くなるなか、孤独感を紛らわす手段としてつい飲酒量が増えてしまい、そのためアルコール依存症のような飲酒問題が生じる懸念があると警告しています。

この「アルコール依存症」という言葉(正確には病名ですが……)に、
「自分のアルコールの飲み方は大丈夫だろうか」と心配になる方も結構いるのではないでしょうか。

とりわけ女性の場合は、男性より少ない飲酒量で、しかもより短期間でアルコール依存症やアルコール性の肝臓障害になりやすいことが指摘されています。

そこで今回は、女性の「家飲み」が悪しき習慣となりアルコール依存症へとつながらないためにはどうしたらいいか、いくつか留意点をまとめておきたいと思います。

スポンサーリンク

コロナ禍のさなかに飲酒する際の留意点

日本アルコール関連問題学会は先に発表した声明のなかで、コロナ禍にあるこの時期に飲酒する際には、下記の点に特に留意するよう呼びかけています。

  1. 節度ある適度な飲酒を心がける
  2. 飲み過ぎの人は減酒を検討する
  3. 今まで飲酒する習慣のなかった人が、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う不安の解消や退屈しのぎに飲酒を始めるようなことはしない
  4. 飲酒に感染の予防効果はなく、むしろ酩酊(めいてい)して手洗いや3密回避などの感染対策が疎かになり感染リスクを高めることを念頭に、飲酒する際にはいつも以上に感染対策を徹底する
  5. 妊婦や未成年者、運転する人は飲酒しない
  6. 日中の飲酒は、飲酒量の増加につながりやすく、酩酊に伴う転倒などのリスクも高くなるため避ける。
    また、在宅勤務者は仕事の効率の低下やミスにもつながりやすいため、日中の飲酒は避ける。
  7. アルコールの分解速度には個人差がある。飲酒した翌日に運転する際は、アルコール呼気チェッカーなども利用して、飲酒運転にならないように注意する

上記留意点の「1」にある「節度ある適度な飲酒」と「2」の「飲み過ぎ」については、アルコール健康医学協会が推奨している「適正飲酒の10か条」が参考になります。
詳しくはこちらの記事を参照してください。

純アルコール量を知って飲み過ぎを防ぐ!!
厚労省は適正飲酒として1日のアルコール量を20gまでと推奨している。このアルコール量の目安がわかりにくかったのだが、政府は容器にアルコール量をグラム表示するよう酒類業界に求める方針を打ち出した。これにより、飲み過ぎや二日酔いの防止効果が期待されるが……。

アルコール依存症の予防につながる「週に2日の休肝日」

「適正飲酒の10ヵ条」のなかでとりわけ励行したいのが、「第4条」です。

ここでは、「つくろうよ週に2日は休肝日」を掲げています。

この「休肝日」には、文字どおり「(アルコールの代謝を担っている)肝臓を休ませてあげよう」という意味が込められています。

加えて、自ら休肝日を決め、それを継続して実行していくことは、お酒を飲まずにはいられなくなる、いわゆる「アルコール依存」、さらにはその先にある「アルコール依存症」の予防にもつながりますから、是非とも習慣化したいものです。

なお、ここでいうところの「週に2日」は、飲酒の「週休2日」とはちょっと違います。

2、3日続けてお酒を飲んだら1日休むというサイクルで、結果として週に2日肝臓を休ませてあげるという意味ですので間違いのないように!!

女性の飲酒とアルコール依存症

アルコール健康医学協会はWebサイトの「お酒と健康」のなかで、「女性とお酒」について次のように説明しています。

女性は、男性に比べてより少ない飲酒量、より短期間(男性の半分)でアルコールの害を受け、アルコール依存症や肝臓障害、すい臓障害など、アルコール性の内臓疾患になってしまいます

(引用元:アルコール健康医学協会「お酒と健康 女性と飲酒」*²)

「女性は男性に比べてより少ない飲酒量、より短期間でアルコールの害を受けやすい」理由として、次の2点をあげたうえで、「女性にとっての適量は、男性よりも少量であるという認識をもつ」よう促しています。

⑴ 体が小さいのに比例して肝臓が小さい
⑵ 体脂肪が男性より多く、そのぶん水分が少ないため飲酒時の血中アルコール濃度が高くなりやすい

また、妊娠中は胎盤を通じて胎児に、また授乳中は母乳を通じて乳児にアルコールが移行し、胎児や乳児の脳や体の発育に影響を及ぼす可能性があることを指摘。

妊娠の可能性があるとわかった段階から、授乳期間を終えるまでは飲酒をしないよう呼びかけています。

なお、これは女性に限ったことではないのですが、寝酒の習慣もアルコール依存症につながるリスクが高いといっていいでしょう。詳しくはこちらを。

睡眠薬代わりに飲む「寝酒」は睡眠の質を落とす
「ナイトキャップ」とも呼ばれる「寝酒」は寝つきをよくしてくれるが、脳の疲労回復に欠かせないノンレムの深い眠りを浅くし、アルコールの利尿作用によりトイレのために中途覚醒を余儀なくされる。加えて、アルコール依存やアルコール性肝臓障害のリスクも。

アルコール依存症が心配ならセルフチェックを

「アルコール類は飲むなら適量を」ということは、おそらく誰もが百も承知のはずです。

しかし、わかつているつもりでも、いったん飲み始めると、ついほどほどを忘れてしまい、一緒に飲んでいる人や家族に悪態をつくなどの迷惑をかけたり、すっかり性格が変わってしまうような人もいます。

あるいは飲む量はそれほど多くはないものの、アルコールを口にしないと生きている張り合いや喜びがない、だから毎日飲まずにはいられないと、「飲酒が悪しき習慣」になってしまう人もいます。

もっと極端な例では、アルコールなしには生きていけないという人さえいます。

新久里浜式アルコール症スクリーニングテスト

これらのいずれかに思い当たるふしがあるという方は、こちらの「新久里浜式アルコール症スクリーニングテスト」で、一度セルフチェックして見てはいかがでしょうか。

なお、「久里浜式」とは、アルコール依存症をはじめ薬物やギャンブルなどの依存症の専門治療を中心に、心の病気全般を実施している国立の久里浜医療センターで作成されたスクリーニングテストのことです。

なお、こちらは女性版です。パートナーなどのために男性版が必要な方はこちらを*³。

 
最近6カ月の間に、以下のようなことがありましたかはいいいえ
1酒を飲まないと寝つけないことが多い1点0点
2医師からアルコールを控えるように言われたことがある1点0点
3せめて今日だけは酒を飲むまいと思っていても、つい飲んでしまうことが多い1点0点
4酒の量を減らそうとしたり、酒を止めようと試みたことがある1点0点
5飲酒しながら、仕事、家事、育児をすることがある1点0点
6私のしていた仕事をまわりの人がするようになった1点0点
7酒を飲まなければいい人だとよく言われる1点0点
8自分の飲酒についてうしろめたさを感じたことがある1点0点
合計点   点

判定方法は、
1.合計点が3点以上は「アルコール依存症の疑い群」
アルコール依存症の疑いが高い群です。専門医療の受診をおすすめします。
2.合計点が1~2点は「要注意群」
飲酒量を減らしたり、一定期間禁酒をしたりする必要があります。
医療者と相談してください。
ただし、質問項目6番のみ「はい」の場合には正常群とします。
3.合計点が0点は「正常群」

(引用元:新久里浜式アルコール症スクリーニングテスト:女性版*⁴)

アルコール依存症の疑い群なら専門医療機関の受診を

上記スクリーニングテストの判定結果から「アルコール依存症の疑い群」とわかり、専門医療機関の受診をすすめられている方は、こちらで最寄りのアルコール依存症の相談ができる病院や行政機関(保健所、精神保健福祉センターなど)を検索してみてください。

また、アルコール薬物問題全国市民協会(ASK)のWebサイトでも、相談窓口一覧を掲載しています(コチラ)。

なお、アルコール依存症の治療にかかる費用には、公的医療保険(いわゆる「健康保険」)が使えます。

また、健康保険の自己負担分が高額になった場合は「高額療養費制度」を、さらには「自立支援医療費制度」による公費負担制度を利用できる場合もありますので、受診した病院等の窓口などで相談してみてください。

→ 医療費が一定額を超えたら「高額療養費」の申請を

参考資料*¹:日本アルコール関連問題学会「コロナウイルスの感染拡大に伴う依存症のリスクに関する注意事項」

引用・参考資料*²:アルコール健康医学協会「お酒と健康 女性とお酒」

参考資料*³:新久里浜式アルコール症スクリーニングテスト:男性版

参考資料*⁴:新久里浜式アルコール症スクリーニングテスト:女性版