ピーナッツの摂取量が多いと脳卒中になりにくい

ピーナッツ食と健康

研究グループがピーナッツの健康効果を確認

ナッツ類というと「おつまみ」や「おやつ」の印象が強いという方が多いのではないでしょうか。

ナッツのなかでも「ピーナッツ」、あるいは殻のままの落花生(らっかせい)には、
「食べ過ぎるとニキビが出る」「カロリーが高いから太りやすい」など……。

とりわけ女性には美容的にマイナスイメージが強いのですが、実はなかなかの健康食材であることが、
国立がん研究センターなどでつくる「多目的コホート研究*(JPHC研究)」グループにより確認され、9月10日(2021年)に公表されています*¹。

「ピーナッツの摂取量が多いほど、脳卒中、とくに脳梗塞(のうこうそく)や循環器疾患の発症リスクが低下する」というのです。

ピーナッツには、不飽和脂肪酸やミネラル、ビタミン、食物繊維などが多く含まれています。

欧米諸国で行われた調査では、これら栄養素の健康効果により、ピーナッツの摂取が循環器疾患の予防に有効であることが報告されています。

日本人に関しては、ピーナッツの摂取量は欧米人に比べて少ないことから、これまでに循環器疾患の発症との関連性を調べた研究報告はなく、よくわかっていませんでした。

しかし今回の研究により、日本人も同様の健康効果が期待できることが確認されたことになります。

*コホート研究とは、疫学研究の手法の1つ。
「ある共通点を持つグループ」と「その共通点を持たないグループ」を設定し、それぞれのグループにおける病気の発生率や死亡率を比較、研究することをいう。
スポンサーリンク

ピーナッツ摂取量と脳卒中・虚血性心疾患発症との関連性

研究グループは、45~74歳の日本人で、食事などの生活習慣に関するアンケート調査に回答し、調査開始時に循環器疾患(高血圧・心疾患・脳卒中など)やがんになっていなかった約7万5000人を対象に、さまざまな生活習慣と循環器疾患やがんの発症との関係を、約15年間にわたり追跡調査を行っています。

今回の研究では、食事に関するアンケート調査で明らかにされたピーナッツ・落花生の摂取状況から1日の摂取量を算出し、摂取量から4グループに分けて、その後の脳卒中(脳出血、脳梗塞)、心筋梗塞などの虚血性心疾患の発症との関連性を調査しています。

この15年に及ぶ追跡期間中、3,599人が脳卒中(うち2,223人は脳梗塞)を、849人が心筋梗塞などの虚血性心疾患を発症しています。

この結果をグループ別に分析したところ、ピーナッツの摂取量が多いほど、脳卒中、脳梗塞、循環器疾患の発症リスクが低いことが確認されています。

なかでもピーナッツ摂取量が最も多いグループ(1日当たり摂取量の中央値4.3グラム、約5~6粒)は最も少ないグループ(1日摂取量の中央値0グラム)に比べ、脳卒中全体で16%、脳梗塞に限ると20%、発症リスクが低下していることが確認されたそうです。

なお、同じ脳卒中でも脳出血と、心筋梗塞などの虚血性心疾患とピーナッツ摂取量との関連性は見られなかったとのこと。一方で、脳卒中と虚血性心疾患を合わせた循環器疾患全体では、脳卒中の発症リスク低下により、13%が低下していることがわかったそうです。

脳梗塞の発症リスクを下げるピーナッツの不飽和脂肪酸

ピーナッツに多く含まれる不飽和脂肪酸、ミネラル、ビタミン(特にビタミンE)、食物繊維などの栄養素は、血圧の低下や血中の脂質異常、つまりLDLコレステロール(いわゆる「悪玉コレステロール」)やHDLコレステロール(善玉コレステロール)、トリグリセライド(中性脂肪)の血中濃度の改善、脳卒中の発症リスクの低下と関連していることがすでに確認されています。

今回の研究でピーナッツの摂取量が多いグループにおいて、脳卒中、とりわけ脳梗塞の発症リスクの低下がより顕著に認められたのは、不飽和脂肪酸などの効果によるものと、研究グループは考察しています。

ところで、私たちが毎日の食事で摂っている油には、常温で固まる性質をもつ飽和脂肪酸と、常温では固まらない不飽和脂肪酸があることはご承知のことと思います。

バターやラードに代表される飽和脂肪酸については、1960年代に循環器疾患につながる動脈硬化の危険因子というレッテルが貼られて以来、すっかり敬遠されています。

これに対し、オレイン酸が多いことで知られるオリーブオイルや亜麻仁油(アマニ油)、ごま油などの植物性油、さらにはDHAやEPAで知られる魚の油に代表される不飽和脂肪酸は、血液中の脂質異常を改善して動脈硬化性疾患の発症リスクを下げることがわかっています。

ピーナッツに多く含まれている油は、この不飽和脂肪酸です。

スポンサーリンク

ピーナッツの過剰摂取は禁物 無理なく食生活に取り入れる

ところで今回の研究では、欧米における研究で確認されているピーナッツの摂取量と虚血性心疾患の発症リスク低下との関連性は確認されませんでした。

この点について研究グループは、欧米人と比べ日本人のピーナッツ摂取量が少ないことや、もともと日本人には虚血性心疾患の発症者が欧米人に比べて少ないことが考えられると説明しています。

そこで、ではピーナッツをもっと食べたら心筋梗塞のような虚血性心疾患の予防にもつながるのではないかと考えがちですが、話はそう簡単ではないようです。

ピーナッツに含まれる油は不飽和脂肪酸ですから健康的です。
しかしカロリーは、1粒(0.8~1.2グラム)で約5~6Kcalと高めです。

ピーナッツは1日約20~30粒程度が適量とされていますが、この程度の量ならおよそ100~180Kcalですから安心でしょう。しかし、この量を超えるとカロリーオーバーになってしまいます。

どんな食品にも言えることですが、過ぎたるは及ばざるがごとしで、過剰摂取は禁物です。

また、ピーナッツだけを食べるのではなく、たとえば「ほうれん草のピーナッツ和え」のように、いろいろな食材と一緒に栄養バランスよく摂ることをおススメします。

クラッシュミルサーなどで5秒ほどクラッシュしたピーナッツをサラダや野菜の煮物などに振りかけるようにすると、難なく摂取量を増やすことができます。

なお、市販されているピーナッツには食塩が添加されたものがあります。
高血圧などで塩分制限をしている方は食塩無添加のピーナッツを選ぶようにしましょう。

参考資料*¹:JPHC研究「ピーナッツ摂取と脳卒中および虚血性心疾患発症との関連」概要版