野菜嫌いを防ぐ幼少時の野菜栽培収穫体験

野菜の収穫食と健康

野菜嫌いや野菜を苦手とする人が増えている

オリンピック4大会に出場し、個人総合2連覇を含む金メダル3個を獲得、世界選手権では前人未到の6連覇を果たした体操の内村航平選手を知らない人はまずいないでしょう。

先日、同選手の引退記者会見が開かれましたが、実は彼は子どもの頃、大の野菜嫌いだったという話をどこかのテレビ番組でやっているのを耳にし、「えっ、市村選手も?」と少々驚きました。

というのは、フィギュアスケート界で今や世界一、二を争う宇野昌磨選手や、メジャーリーグで超人的な活躍を続けたイチロー選手、さらにはちょっと前の話になりますが、サッカーの中田英寿氏など、スーパーアスリートの彼らもまた、大の野菜嫌いで有名だと聞いていたからです。

彼らのような著名なアスリートには、専属の管理栄養士がついていて、野菜嫌いで補えないような栄養素も、別の形できちんと摂れるように工夫していればこそあれだけの活躍ができていたのでしょう。

しかし、野菜嫌い、あるいは野菜は苦手という人が最近増えていると聞くにつれ、体の健康だけでなく心の健康にもいろいろとマイナスの影響が出るんだろうなと、他人事ながらいささか気になります。

そんなことを考えていたところへ、飲料・食品メーカー「カゴメ」から、野菜好きになるきっかけづくりに一つの重要なヒントが報じられました。

子どもの頃に野菜の栽培や収穫を経験していると、野菜を好きになることが調査で確認されたというのです。

今回はその話を紹介してみたいと思います。

野菜好きの約7割が野菜の栽培や収穫を体験している

厚生労働省は、糖尿病や肥満などの生活習慣病を予防して健康的を維持していくための食生活における目標値の一つとして、「野菜を1日350g以上食べましょう」と奨励しています。

しかし、私たち日本人はどの世代も共通して、1日の野菜摂取量が目標値に達していないことが、毎年実施されている「国民健康・栄養調査」で確認されています。

とりわけ20~30代の世代は男女ともに、目標値の1日350gに100gほど不足した状態が続いています。

このような事態を深刻に受け止めた「カゴメ」は、「ニッポンの野菜不足をゼロにする」を目指し、2017(平成29)年から毎年1回、野菜摂取の実態と野菜不足になる要因を明らかにするため「野菜定点調査」を実施しています。

2021(令和3)年10月に実施された第5回調査では、「野菜を積極的に摂取している人」にフォーカスし、野菜好きになったきっかけを調査結果から探っています。

その結果、1日に350g以上の野菜を摂取している人の69%が「野菜好き」と答えており、その野菜好きの約7割(66.9%)の人が、子どもの頃に野菜の栽培や収穫を経験するなど、野菜と直接的な接点を持っていたことが明らかになったというのです*¹。

野菜の成長過程を直接目にして野菜好きに

この調査では、全国の15~69歳の男女計4680人(男性2340名、女性2340名)から、インターネットを通じて回答を得ています。

「野菜好き」と答え、子どもの頃に野菜の栽培(種植え・水やり)や実った野菜の収穫などを経験して野菜と接点を持っていた人に、複数回答で具体的な接点を聞いてみたところ、多い順に以下の回答が得られたというのです。

  • 親族や親戚、知り合いの畑の手伝い(81.8%)
  • 地域の行事(81.8%)
  • 家庭菜園(81.7%)
  • 保育園・幼稚園や学校の行事(78.4%)
  • 農家主催の体験会(74.8%)
  • 食品・飲料系の企業主催の体験会(66.2%)

また、野菜好きの人が実際に栽培から収穫まで携わったことがある野菜の第1位は「トマト」で、第2位が「きゅうり」、さらに第3位「なす」、第4位「ピーマン」と続いています。

これらの野菜はいずれも、「草丈が伸びる」「花が咲く」「実がなる」「色が変わる」といった野菜の成長の変化がわかりやすく、「成長していく過程の楽しさがより感じられるため、野菜好きになる効果的なきっかけになっていると考えられる」と、調査担当者は説明しています。

さらに、「子どもの頃の経験が大人になっても影響を与えていることから、食育の重要性も感じられる結果となった」と分析しています。

野菜嫌いを克服する食育のヒントに

大学病院で管理栄養士として勤務している友人によれば、「子どもが野菜を食べてくれなくて困る」と相談に訪れる母親がこのところ特に増えているそうです。

そんなときは、神経質になりすぎないようにと話し、視覚的に野菜とわからないようなスープやジュースなどにして、そっとテーブルに出してみてはどうかといった提案をしたりしているそうですが、今回の調査結果を受け、「野菜嫌いを克服する食育の新たなヒントを得た」と話しています。

なお、野菜不足が招く現代型栄養失調の話をこちらで書いています。一度読んでみてください。

野菜不足の方は「現代型栄養失調」に注意して
高齢者が低栄養に陥りやすいことは知られている。しかし最近は、若者に「食事をしているのに元気が出ない」という「現代型栄養失調」が増えていると聞く。原因は、糖質や脂肪に偏った野菜不足の食事だ。厚労省が勧める「1日350gの野菜」を摂るためにできることは……。

参考資料*¹:第5回 カゴメ野菜定点調査 2021