収入が途絶えるリスクに備える「就業不能保険」は必要?

家族を守る保険保険の話

働けなくなって収入が途絶えたらどうする?

リバウンド(感染再拡大)の危機感が日増しに強まる新型コロナウイルス――。

今のこの状況は、多くの働く人たちに、
「もし自分が感染して仕事ができなくなったら、この先の生活はどうなるのだろう」
といった深刻な不安を抱かせます。

30代で、夫を病気で亡くした後、2人の子どもを育てる友人もその一人です。

自分が働けなくなり収入が途絶えることなど、これまで一度も考えたことがなかったという彼女。

しかし、コロナ禍が予想を超えて長引き、身近に感染者が出たといううわさを聞くにつけ、
「感染して入院なんてことになったら、給料はこれまでどおりもらえるのだろうか。さほど蓄えもないし、子どもたちの生活はどうなってしまうのかと、心配になってきた」

そこで考えついたのが、
「働けなくなって収入が途絶えるリスクに対応した保険があると聞き、今からでも入っておこうと考えているのですが、無駄になることってないかしら?」

そんなメールを受け取りましたので、いい機会と思い、「就業不能保険」について調べてみました。

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働けなくなったときの生活費をサポートする「就業不能保険」

友人が言うところの、
「働けなくなって収入が途絶えるリスクに対応した保険」とは、
保険会社が提供している「就業不能保険」のことです。

同じ保険会社でも、生命保険会社が提供しているのは「就業不能保険」、「損保(そんぽ)」として知られる損害保険会社が提供しているのは「所得補償保険」と呼ばれているようです。

名称は違いますが、保険内容はほぼ同じです。

事前にこの保険に加入し、月々の保険料を支払っていると、病気やケガなどで働けなくなって収入が途絶えたり、大幅な収入減状態に陥ってしまったときなどに、生活費をサポートするかたちで、給料のように毎月保険金を受け取ることができます。

病気やケガで長期間にわたって治療や入院が必要になれば、検査や薬代などの医療費もかかりますが、幸いなことにわが国は国民皆保険(こくみんかいほけん)です。

すべての国民が必ず公的な医療保険*に加入することになっていますから、毎月の保険料を支払っていて保険証さえあれば、1割、2割、あるいは3割の自己負担金はあるものの、医療費の大半は公的医療保険でなんとかまかなうことができます。

したがって、毎月支払われる就業不能保険金は、日々の生活費としてまるごと使うことができるというわけです。

*公的医療保険は、働き方や年齢などで加入する制度が異なる。主なものは以下の5つ。
1.国民健康保険:医師、弁護士等の自営業者、専業主婦、退職者、無職の人が加入
2.全国健康保険協会(協会けんぽ):中小企業に勤めるサラリーマンとその扶養者が加入
3.健康保険組合(組合保険):大企業に勤めるサラリーマンとその扶養者が加入
4.各種共済組合:国家・地方公務員や私立学校の教職員とその扶養者が加入
5.後期高齢者医療制度:75歳以上の人および65~74歳で一定の障害の状態にある人が加入

就業不能時の公的保障としての傷病手当金と労災保険給付金

そのほかわが国には、病気やケガで仕事ができなくなったときの公的保障制度もあります。
その一つが、「傷病手当金」です。

傷病手当金とは、会社等の組織で働いている人(協会けんぽ・組合保険・共済組合の加入者)が、業務外の理由による病気やケガの療養のために仕事を休んだりした際に生活を保障する制度です。

連続して3日間仕事を休み、さらに4日目以降も仕事を休んで給料が受け取れない場合に、加入している健康保険から、その4日目から最長1年6カ月にわたって給料の一部、通常は3分の2が支給されます。
詳しくはこちらを。

→ 健康保険加入者が受けられる「傷病手当金」とは?

これとは別に、公的保障として「労災保険の給付金」もあります。

労災保険の給付金には、業務上の事故や通勤途上でのケガや病気のために仕事を休み、毎月の給料が受け取れない状態に陥ったときに、平均賃金の80%の保障が受けられるという、いわゆる休業給付や療養給付、障害が残ったときの障害給付などがあります。

→ 全ての労働者が受けられる「労災保険給付金」

傷病手当金や労災保険給付金について具体的に知りたいという方は、加入している健康保険の運営主体である「保険者」の相談窓口、あるいは病気やケガの治療を受けている医療機関の医療ソーシャルワーカー(通称「MSW」)などに相談するといいでしょう。

ご自分が加入している健康保険の保険者は、お持ちの健康保険証を見れば、下の方に「〇〇健康保険組合」あるいは「全国健康保険協会〇〇支部」などと明記されていますから、すぐにわかります。

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新型コロナウイルス感染症で労災保険給付を受けている人も

この時期で言えば、医療従事者や教育関係者、飲食サービス業者等が仕事中に新型コロナウイルスに感染して休業を余儀なくされた場合に、本人が申請して労災(労働災害)として認定されれば、国から治療費や生活費の補償を受けることができるというのが、この労災保険の療養給付や休業給付です。

実際、2021年4月2日時点で、全国で8504人(医療従事者等6584人、医療従事者以外1907人、海外出張者13人)が新型コロナウイルス感染症で労災補償を請求し、うち4322人(医療従事者3374人、医療従事者以外936人、海外出張者12人)に給付が行われています。

「就業不能保険で」公的保障では足りない生活費をカバー

上記のような公的保障制度があるとは言え、病気やケガでの休業が長期にわたれば、傷病手当金や労災補償といった公的保障だけでは毎月の生活費がまかないきれないことも想定されます。

このようなときに頼りになるサポートが、民間の就業不能保険というわけです。

そこでちょっと調べてみたのですが、就業不能保険には一定の「加入条件」があります。

就労状況、つまり現在仕事に就いている状況や健康状態によっては、加入できないこともあるようです。

保険金が支払われない免責期間がある

また、「免責期間」というのがあって、免責期間中は保険金を受け取ることができないことも事前に知っておく必要があるでしょう。

「免責期間」とは、保険金や給付金が支払われないと決められている期間のことです。

就業不能保険で言えば、働けない状態になってから保険金を受け取ることができるまでの期間となります。
60日(約2か月)や180日(約6カ月)が一般的です。

保険会社によっては、免責期間が1週間程度の短期間のものもあるようです。
ただ、そのぶん毎月の保険料は高く設定されています。

ストレス性疾患による休業が保障の対象外の商品も

加入条件と免責期間に加え、保険給付(支払い)の条件も保険会社によって大きく異なります。

なかには、うつ病などのストレス性疾患*や統合失調症などの精神疾患による休業、また妊娠・出産の場合も給付対象から外れる商品もあるようです。

また、最近増えている在宅療養の場合には、在宅療養を必要とする旨の医師の指示書があることや、「働けない状態」に細かな規定が設けられている商品もあります。

就業不能保険を選ぶ際には、加入条件や補償内容、毎月支払う保険料などをしっかり確認してから加入の手続きをとるようにしたいものです。

*ストレス性疾患には、①気分障害(うつ病等)、②神経症性障害、③摂食障害、④更年期障害、⑤非器質性睡眠障害、⑥胃潰瘍、⑦十二指腸潰瘍、⑧潰瘍性大腸炎、⑨過敏性腸症候群などが該当する。

働き盛り世代が発症する若年性認知症の場合

なお、若年性認知症は働き盛りの世代で発症する病気です。

そのため、治療や入院、在宅療養のために働くことが困難になった場合に保険金を受け取ることができる就業不能保険は、家族の日々の生活を保障するうえで心強い味方となります。

また、認知症保険の中にも、若年性認知症が加入対象になる商品もあります。
保険会社に問い合わせてみてはいかがでしょうか。

認知症保険については、こちらの記事がお役に立てると思います。
チェックしてみてください。

→ 「親が認知症」への備えに認知症保険は必要?