失業手当(失業保険)をもらえる人、もらえない人

賃金保険の話

退職や解雇により職を失った人の生活を守る「失業手当」

会社などと雇用関係を結んで仕事をし生活の糧(かて)を得ている人には、二つのリスクがあります。

病気やケガによる休職と会社の倒産あるいは解雇による失業です。

一つ目のリスク、業務中のケガや病気が原因で仕事を続けることができなくなったときの補償としては、労働者の生活を守るための労災保険が用意されています。

この労災保険からもらえる給付金については、先にこちらの記事で詳しく紹介しました。
→ すべての労働者が受けられる「労災保険給付金」

二つ目のリスクへの対処法としては、一般には「失業保険」としてお馴染みの「雇用保険」があります。

雇用保険は、会社などを退職あるいは解雇されて仕事を失った人が、失業中も日々の生活のことを心配をすることなく就職活動に励み、1日でも早く再就職できるように用意されている公的保険制度の一つです。

雇用保険から給付金として「失業手当」、正確には「基本手当」が支給されます。

失業手当は失業したら必ず受けられるわけではない

ただ、失業している人なら誰でも失業手当を受け取ることができるのかというと、そうではありません。

失業手当を受け取ることができるのはどんな人で、受給できる期間はどのくらいなのか、またもらえる金額はどのくらいになるのか、といったことがやはり気になります。

一方で、失業しても失業手当をもらえない人は、失業といった事態に追い込まれたときの備えとしてどんな手を打っておいたらいいのかよくよく考えておきたいところです。

コロナ禍による不景気で失業者が増加する一方のご時世にあっては、失業という事態がいつどんなかたちで自分に降りかかってくるか予想だにできません。

そんなときの備えとして、知っておきたいこと、考えておきたいことをまとめておきたいと思います。

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失業手当をもらうためには「失業の状態」にあること

失業して失業手当をもらうには、「失業の状態」にあり、ハローワークに休職の申し込みを行っていることが大前提となります。

ここでいう「失業の状態」とは、次の条件をすべて満たす場合のことをいいます。

  • 就職しようという積極的な意思があること
  • いつでも就職できる能力(健康状態、環境など)があること
  • 積極的に求職活動をしているにもかかわらず、職業に就くことができないでいること

ですから、「退職した時点ですでに再就職先が決まっている」とか「退職はしたものの働く意思がなく、しばらくは旅でもしてのんびり暮らしたい」、あるいは「家事に専念したい」「学業に専念したい」といった方は失業手当をもらうことはできません。

また、「ケガや病気、あるいは妊娠・出産・育児ですぐに就職するのは難しい」というような方も、失業手当の対象から外れます。

なお、妊娠・出産には妊婦健診の助成や「出産育児一時金」「出産手当金」の支給を受けることができます。
詳しくはこちらを。
→ 妊娠・出産の助成は不妊治療だけではない

一定期間雇用保険の被保険者であったことも失業手当の受給条件

加えて、離職する前の勤務先で雇用保険に被保険者として一定期間加入していたことも条件となります。

雇用保険は労災保険同様、加入手続きは事業主である会社側が行います。

そのため、会社などの事業主に雇用されて仕事をしている方は、本人が希望しなくても基本的に雇用保険に加入し、被保険者となっているはずです。

失業手当受給の条件にある「被保険者として一定期間加入」の「一定期間」は、失業した理由が「自己都合」なのか「会社側の都合」なのかによって違ってきます。

「仕事の内容が自分のやりたいことと違うから」とか「給料が安いから」など、退職理由が自分の都合であれば、離職前の2年間に、雇用保険の被保険者であった期間が通算して12カ月以上あることが条件となります。

一方で、倒産や突然の解雇といった会社側の都合により、再就職の準備をするだけの時間的余裕のないまま離職を余儀なくされた方は、「特定受給資格者」となります。

この特定受給資格者の場合、離職前の1年間に雇用保険の被保険者期間が通算して6カ月以上あれば、失業手当を受け取ることができます。

なお、「両親の介護など家庭の事情」とか「配偶者との別居生活を続けることが困難になった」、あるいは「人員整理のため」などの理由で離職を余儀なくされた方は、「特定理由離職者」として、特定受給資格者と同じ条件で失業手当を受け取ることができます。

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失業手当をもらうまでには待期期間がある

失業手当金をもらうには、最寄りのハローワーク*の窓口で求職を申し込み、離職の際に会社から発行してもらった「雇用保険被保険者離職票」を提出する必要があります。

一通りの手続きを終えたらすぐにも失業手当を受け取りたいところですが、ハローワークに求職を申し込んだ日から約7日間は「待期期間」となり、この間は離職理由に関係なく、失業手当は受給できません。

自己都合で退職した場合は、この待機期間終了の翌日から3か月間は給付制限期間となり、結局失業手当を受け取ることができるのは、ハローワークで手続きをしてから約3カ月後となります。

逆を言えばこの3か月間は無収入となります。

なお、失業手当をもらえる期間、つまり受給期間は、離職時の年齢や雇用保険の被保険者だった期間などによって違ってきますが、原則、離職した日の翌日から約1年間です。

ただしこの間に病気やケガ、妊娠・出産などの理由で引き続き30日以上働けなくなった場合は、その日数分だけ受給期間が最長で3年間延長されます。

*全国のハローワークの所在地は厚生労働省のWebサイト*¹で確認できる。
ハローワークの利用時間は8:30~17:15(平日)

失業手当は離職時賃金の45~80%だが上限・下限がある

失業手当でもらえる金額(日額)は、離職した日の直前6カ月間の賃金(給与)日額のおよそ45~80%の給付率で、これは離職時の年齢や賃金により異なり、賃金の低い方ほど高率になります。

もらえる失業手当日額には上限と下限が設定されていて、上限額は年齢により異なりますが、下限額は年齢に関係なく日額2,000円です(2020年3月1日より)。

1カ月に受け取ることのできる失業手当の金額(概算)として、厚生労働省は以下を紹介しています*²。

  1. 平均して月額15万円程度の場合:受給額は月額11万円程度
  2. 平均して月額20万円程度の場合:受給額は月額13.5万円程度
  3. 平均して月額30万円程度の場合:受給額は月額16.5万円程度

なお、離職時の年齢が60歳以上65歳未満の方は、上記「2」の場合で月額13万円程度、「3」の場合は13.5万円程度となります。

失業による無収入・収入減に「就業不能保険」の備えも

失業手当をもらえる方でも、自分の都合で退職した場合は、3か月間は給付制限期間となります。

この間に次の就職先が決まればいいのですが、決まらなければこの間は無収入となります。

給付制限期間が過ぎて失業手当をもらえることになっても、その額は、退職前の給与収入より少ない額です。

また、離職はしたもののすぐに職に就く意思がないなどの理由で失業手当をもらえない方もいます。

したがって、失業の理由や状況には関係なく、やはり失業により収入が途絶えたり、減収になったりしたときの生活を守るためには、民間の保険会社が提供している「就業不能保険」も、備えの一つとして検討しておくべきではないでしょうか。

この保険の詳細はこちらで紹介しています。お役に立てたら幸いです。

収入が途絶えるリスクに備える「就業不能保険」は必要?
新型コロナウイルスの脅威は、「感染して働けなくなり収入が途絶える」不安を抱かせる。2人の子どものシングルマザーである友人から、「就業不能保険に加入すべきか否か」の相談を受け、「働けなくなったとき」の公的保障制度と「就業不能保険」について調べてみた。

参考資料*¹:厚生労働省「全国のハローワーク所在地案内」

参考資料*²:厚生労働省「Q&A~労働者の皆さまへ(基本手当、再就職手当)」