40歳になったら公的介護保険料が徴収されます

サポート保険の話
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40歳になると公的介護保険への加入が義務づけられる

かつての日本では、高齢になり介護が必要になったら、
「親の面倒は子どもや家族が見るのが当然」とされていました。

この風潮を改め、日々の生活に介護が必要な高齢者は社会全体で支えていこうということで、
2000年(平成12)の4月1日より公的介護保険制度がスタートしています。

20代の方は言うまでもなく、30代、40代の方たちは、
とかく「自分は、高齢者と呼ばれる歳まではまだまだだから介護保険は関係ない」
と考えがちでしょう。

しかし、公的介護保険制度とのかかわりは、日本人なら誰でも40歳から始まることになります。

40歳になったら否応なく公的介護保険への加入が義務づけられるのです。

そのため40歳からは毎月の給料、正確には健康保険料から介護保険料が徴収されることになります。
しかもそれが生涯続くということだけでも、まずは頭に入れておきたいものです。

もう1点、是非覚えておきたいことがあります。

公的介護保険のサービスを利用できるのは概ね65歳になってからですが、40~64歳の方も、介護保険サービスを利用できる場合があるのです。

今回はこの2点を中心に、公的介護保険制度のあらましをまとめておきたいと思います。

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40歳以上の国民すべてが介護保険料を支払う

わが国には高齢者のためのさまざまな福祉サービスがあります。

従来、この福祉サービスにかかる費用はすべてを税金(公費)で賄われてきました。

そのため、サービスを利用できる人や受けられるサービス内容には、何かと限界がありました。

そこで、サービスを必要としている人がその状態に見合うだけの十分なサービスが受けられるようにしようと、公的介護保険制度が誕生したわけです。

この新制度では、介護を社会全体で引き受けていくために、サービスの提供にかかる費用の一部を、社会保険として介護保険料で集める方式がとられています。

具体的には、介護保険制度を運営していくうえで必要な財源の半分は、介護サービスを受ける方が利用料として支払う自己負担金によって賄います。

残り半分の財源については、公費(国税と都道府県税、市区町村税)と介護保険料とが折半で賄っていくことになっているのです。

この介護保険料として、40歳以上のすべての国民に、介護保険の「被保険者」の義務として、収入に応じた保険料の支払いが求められるというわけです。

介護保険の世話にならないつもりでも保険料は徴収される

なお、40歳になって新たに介護保険の被験者になった方のなかには、
「自分は介護の世話にはならずに人生をまっとうするつもりだから、保険料は払わないつもりだ」
と考える方が少なからずいるようです。

40歳代では心身ともに健康でバリバリ仕事に趣味にと忙しい毎日を送っていることでしょう。
そんな方が、「介護の世話にはならない」と考えるのは、ある意味当然なのかもしれません。

しかし公的介護保険制度は、強制加入を原則とする制度です。
本人の意思に関係なく、また改めて加入手続きをする必要もなく、40歳の誕生日と同時に、自動的に被保険者として登録され、相応の保険料が徴収されます。

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毎月の介護保険料はどう決まりどう支払うのか

そこで気になるのは、介護保険料の額はどのようにして決まり、どう徴収されるのかということでしょう。

介護保険の被保険者は、年齢によって、65歳以上の被保険者(第1号被保険者)と40~64歳までの被保険者(第2号被保険者)の2つのグループに分けられ、保険料の額や納付方法はそれぞれ異なります。

このうち40~64歳の被保険者の場合は、加入している公的医療保険の健康保険組合が定めた算定方法により、所得に応じて算定されることになります。

民間企業のサラリーマンや公務員の場合

たとえば、民間企業のサラリーマンや公務員とその扶養者が加入する「協会けんぽ」や「職場の組合保険」、「共済組合保険」の加入者の場合は、給与額(標準報酬月額)に組合が決めた介護保険料率を掛けて算出した額が、毎月の介護保険料となります。

ただしこの保険料は、公的医療保険同様に労使が折半することになっています。
つまり半分を事業主が負担しますから、介護保険料として実際に毎月の給料から天引きされる額は、毎月徴収されている健康保険料の1割前後となるようです。

自営業者やフリーランサーの場合

一方の、国民健康保険に加入している自営業者やフリーランスの方の場合も、標準報酬月額などに応じて介護保険料が算定されるのですが、その介護保険料率は自治体の財政状況により微妙に異なっているようです。

算出された保険料の半額は国庫負担となりますから、実際の保険料の目安は、月額平均で2500~3000円程度となり、この額を国民健康保険の保険料に上乗せするかたちで納付することになります。

40~64歳でも介護サービスを利用できる16の特定疾患

公的介護保険制度では、65歳以上の人なら誰でも要援護状態、つまり介護や支援が必要な状態であることが認定されれば、その原因が何であれ、サービスを利用することができます。

加えて、40~64歳であっても、脳血管疾患(脳卒中)や初老期における認知症、あるいは糖尿病性合併症(神経障害や網膜症、腎症)など、老化に伴う疾病(16の特定疾病*)により介護や支援を必要とする状態にあるときは、介護保険サービスが利用できるようになっています。

*16の特定疾患とは、以下をいう。
①がん(末期)、②関節リウマチ、③筋萎縮性側索硬化症(ALS)、④後縦靭帯骨化症、⑤骨折を伴う骨粗鬆症、⑥初老期における認知症(アルツハイマー病、脳血管性認知症、クロイツフェルト・ヤコブ病)、⑦進行性核上性麻痺・大脳皮質基底核変性症・パーキンソン病、⑧脊髄小脳変性症、⑨脊柱管狭窄症、⑩早老症、⑪多系統萎縮症、⑫糖尿病性神経障害・糖尿病性腎症・糖尿病性網膜症、⑬脳血管疾患(脳出血・脳梗塞など)、⑭閉塞性動脈硬化症、⑮慢性閉塞性肺疾患(COPD)、⑯両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

なお、ご自身やご家族が上記に該当する疾患で介護や支援が必要となり、介護サービスの利用を希望する場合は、65歳以上の高齢者の場合同様、市区町村の窓口で「要介護(要支援)認定」の申請をして改めて認定を受ける必要があります。

この手続き等については、回を改めてまとめてみたいと思います。