「親が認知症」への備えに認知症保険は必要?

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認知症保険の話

親が認知症になることを想定して必要な備えを

新型コロナウイルスの感染拡大により、外出を極力自粛してステイホームを続ける生活も、すでに1年半になろうとしています。

これだけ長く自宅に閉じこもる不活発な日々が続くと、とりわけ高齢の方は、身体機能が低下するにつれて認知機能もバランスを崩し、低下しがちです。

そこで、高齢の親を持つ方が心配になってくるのは、
「もし自分の親が認知症になったら」といったことではないでしょうか。

認知症とは、正常に発達して問題なく機能していた脳の知的機能、すなわち物事を考えたり判断したり、記憶したり学習したり、自分の置かれている状況を理解したりする「認知する能力」が低下した状態を言います。

結果として、認知症になった親は、つじつまの合わないことを言って意思の疎通が図れなくなったり、自分の子や孫たちが誰なのかわからなくなったり、昼夜の別なく徘徊(はいかい)して行方不明になったり……と、子どもとしては放っておけない状態になることが予想されます。

いずれも認知症に特有の精神症状や問題行動であり、面倒をみざるを得ない子どもにとっては、精神的にも肉体的にも、さらには経済的にも多大な負担となります。

そんな日がやがてやって来ることを想定し、そのときのために子どもとしてどう備えるかといったことを、今回はまとめておきたいと思います。

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閉じこもりがちな生活が招く認知症を予防する

認知症という病気は、ある日突然に発症するものではありません。
長い年月をかけて少しずつ進行していくものですから、本人の努力次第で予防も可能とされています。

また、確実に予防することはできないまでも、認知症になるリスクを下げることはできるし、認知症になる時期を遅らせることもできると考えられています。

しかし、新型コロナウイルスの感染から我が身を守ろうと自宅に閉じこもりがちになる生活は、
「認知症予防の観点からみると、最も悪い行動パターンです」
と警告する専門家がいます。

認知症の診断および予防の第一人者として知られる浦上克哉(うらかみ・かつや)医師(鳥取大学医学部保健学科生体防御学講座・教授)です。

浦上医師が理事長を務める「日本認知症予防学会」は、新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからない状況下では、感染対策と併行して認知症予防のために以下を心がけることをすすめています*¹。

  1. 体を動かす運動や体操を1日に30分以上行う
    ・3密(密集・密接・密閉)を避けた環境、できれば屋外で、散歩などを行う
    ・屋内でも、スクワットなど、下半身を中心に筋力アップの運動を行う
  2. 自分の好きなこと、楽しめることを日課に取り入れる
    頭を使って指を動かす知的活動が理想的
  3. 家族や友人との会話を楽しむ
    ・感染対策上直接会っての会話は難しいが、電話等の通信機器、できればビデオ通話などお互いの顔が見える機器を活用してコロナ禍以前より頻回に連絡を取り合う
    ・認知症予防には孫との会話が特に有効
    ・直接会って対面で会話する際は、フィジカルディスタンス(身体的距離)は1.5~2m確保しつつ、ソーシャルディスタンス(心理的距離)は極力密にする

上記「2」の「頭を使って指を動かす知的活動」については、こちらの記事を参照してください。

手や指を動かす脳トレでコロナ疲れの脳を元気に
コロナ禍により自宅に閉じこもる生活が続き、体はもとより脳も疲れている。このままでは「うっかり」や「物忘れ」から認知症リスクも高くなる。脳を元気にする対策として、「外部の脳」である手や指先を動かして脳を刺激する脳トレとして、大人のぬり絵等を紹介する。

「認知症になったらどうしてほしいのか」親の意向を知る

わが国では、65歳以上で認知症と診断される人は、2012年には約460万人でした。

ところが年々増え続け、団塊の世代と呼ばれる1947年~1949年生まれの方が後期高齢者と呼ばれる75歳以上になる2025年には約700万人になると推計されています。

認知症の前段階とされる「軽度認知障害」と推計される患者を加えると、約1362万人に達し、65歳以上の約3人に1人が認知症あるいはその予備軍になると見込まれているのです。

高齢者と呼ばれる世代に入ったからには、認知症はもはや他人事ではなく、自分にとっていたって身近な病気であることを、まずはご両親に、しっかり認識してもらうことが、備えの一歩といっていいでしょう。

加えて、仮に認知症になれば、「今まで当たり前のようにできていたことができなくなる」といった事態が徐々に進行し、やがてこれまでのような自立した社会生活を続けていくことに支障をきたすようになってくることも知ってもらう必要があるでしょう。

その理解の上に、
「もしも認知症になったら、自分としてはどうしてほしいか」
つまり、自宅で介護を受けながら家族と一緒の生活を続けたいのか、それともそれなりの高齢者施設に住み替えるのを望むのかを、いわゆる人生会議*のかたちで親の意思として確認しておくことも備えの一つです。

*人生会議とは、もしものときのために、自分が望む医療やケアについて前もって考え、その意向を家族や医療・ケアチームとの繰り返しの話し合いを通じて伝え、理解を得る取組みをいう。

介護や医療にかかる経済的負担と「認知症保険」

親の認知症への備えとして考えておきたいのが、医療や介護にかかる費用などの経済的負担です。

場合によっては、民間の保険会社が提供している介護保険の一種である「認知症保険」への加入を検討してみることも、安心のためには必要となってくるのではないでしょうか。

認知症になると、状態や要介護度にもよりますが、その介護には通常の介護以上に人手が必要になりますから、経済的負担もそれなりにかさむことになりがちです。

少し前のデータになりますが、公益財団法人 家計経済研究所が2016(平成28)年に「在宅介護のお金と負担」に関する調査を実施しています。

それによれば、1か月に介護サービスにかかる費用の平均は、認知症がなければ平均1.6万円ですが、最も介護負担の重い重度の認知症になると7万円と、そこには5倍弱の差が生じてきます*²。

というわけで、否応なく認知症保険の必要性を実感させられるわけですが、親が認知症と診断された時点で慌てて加入しようとしても間に合わない場合が多いというのが現実です。

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「認知症保険」には子どもが契約者になれるタイプも

認知症保険は各保険会社が提供していますが、その多くは、認知症の診断を受ける前、あるいは要介護状態になる前であることが、保険加入の条件となっています。

たとえば、朝日生命の「認知症介護一時金保険D」という商品があります。

この保険は、子どもが契約者になり、親を被保険者にして加入できるのが特徴です。

しかも、ネット経由で加入することができますから、親が遠方で暮らしていても、親側の同意さえあれば、契約者の子どもが主体的に手続きをすすめられるのが魅力です。

この内容を見てみると、一時金が支払われるのは、
「加入から2年以上が経過した後、要介護1以上で器質性の認知症*と診断された場合」
という条件が付いています。

*器質性認知症とは、脳そのものに異常が生じるような「脳の器質の変化」を確認できる認知症のこと。アルツハイマー型認知症、脳血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症などが該当する。

90歳まで加入でき、100歳まで保障可能な「認知症保険」も

認知症保険を検討する際には加入者、つまり被保険者の年齢制限もチェックしておく必要があります。

加入可能年齢は保険会社によってさまざまです。
先程紹介したネットで入れる朝日生命の「認知症介護一時金保険D」には、40歳から75歳まで加入できます。

「人生100年時代」と言われるほど日本人の平均寿命は延びています。
2019年の平均寿命は男性81.41歳、女性87.45歳で、2019年に生まれた人のうち90歳まで生存する人の割合は、男性は27.2%、女性は51.1%と推計されています。

この点を考えると、40歳から90歳まで申し込むことができ、加入後は100歳まで更新可能で保障を継続できるというプラス少額短期保険の「家族のささえ」という商品も、魅力でしょう。

若年性認知症なら「就業不能保険」の検討も

なお、認知症には、働き盛りの世代で発症する「若年性認知症」があります。

発症年齢が若いだけに家族への影響が大きいのですが、この認知症治療のための入院や自宅療養で就業できない状態になった場合は、「就業不能保険」で収入減をカバーすることもできます。
この保険については、こちらの記事を参照してください。

収入が途絶えるリスクに備える「就業不能保険」は必要?
新型コロナウイルスの脅威は、「感染して働けなくなり収入が途絶える」不安を抱かせる。2人の子どものシングルマザーである友人から、「就業不能保険に加入すべきか否か」の相談を受け、「働けなくなったとき」の公的保障制度と「就業不能保険」について調べてみた。

参考資料*¹:日本認知症予防学会「新型コロナウイルス感染症関連」

参考資料*²:家計経済研究所「在宅介護のお金と負担 2016年調査」