「こむら返り」は足だけでなく手の指にも

ふくらはぎ運動と健康

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筋肉が突然強く収縮して「こむら返り」に

走ったりしていて急に足がつったことはありませんか? あるいは、いつもはしないような激しい運動をした日の夜、それも睡眠中に突然、足が強く引っ張られるような激しい痛みで目が覚めた経験はないでしょうか。いずれも、いわゆる「こむら返り」です。

こむら返りは、基本的には病気ではありません。何かの拍子に急に筋肉が強く収縮したかのようにけいれんを起こし、激しい痛みを伴う状態をこう呼びます。

このけいれん状態は、ふくらはぎや足の裏、足の指、太もも、ときに手の指と、全身の筋肉で起こるのですが、最も頻発するのはふくらはぎです。ふくらはぎの大部分を占めているのは「腓腹筋(ひふくきん)」と呼ばれる筋肉で、この腓腹筋の「腓」が「こむら」と呼ばれることから、「こむら返り」という名前がついたと、整形外科医から説明を受けたことがあります。

今回はこの「こむら返り」について、予防のためにできることを中心に書いてみたいと思います。

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「こむら返り」は運動で大量の汗をかくと起きやすい

筋肉が突然こむら返りを起こすのは、自分の意思とは全く関係なく筋肉が急に激しく収縮するためです。その原因としていちばん多いのは、過度の運動や不慣れな運動です。水泳中に起こることもあるでしょう。

私たちがバランスのとれた動きができるのは、脳や脊髄などの中枢から筋肉に向かう命令伝達システムが順調に機能しているからです。ところが、たとえば運動して大量の汗をかくと、筋肉内部のミネラルバランスに乱れが生じます。

数あるミネラルのなかでも特に大きく乱れるのは、筋肉の収縮や神経の伝達をスムーズにする役割を担うカルシウムとカリウムのバランスです。同時に、この二つのミネラルの調整役を担っているマグネシウムも、不足すると中枢からの命令伝達システムに不具合が生じます。

その結果、簡単に言えば、筋肉に向けて「収縮しろ!!」という命令が、本人の意思に関係なく出てしまい、命令を受けた筋肉が興奮して、キュキュッと収縮してしまうわけです。あるいは、中枢からの命令伝達機能に何ら異常がないのに、筋肉のセンサーが過敏に反応してこむら返りが起こることもあるようです。

血行不良による筋肉の酸欠も「こむら返り」の原因に

こむら返りは、体の冷えや急激な寒暖差により、特に下肢について言うなら、長時間座り続けていることによって、筋肉が血行不良(血液の供給不足)に陥ることでも起こります。血液の循環が悪くなって筋肉が酸素不足、つまり酸欠状態になると、筋肉が収縮しやすくなるのです。

私事ですが、ごく最近、この血行不良によるこむら返りを、利き手と反対側の手の親指で経験しました。突然親指がつって硬くなり、痛みが走ったときは、正直ちょっと焦りましたが、とっさに痛む指と手を軽くマッサージしたところすぐに治り、ホッとしたものです。

なお、高齢者では、フレイル*というほどではないものの、加齢に伴う筋力の低下、さらには軽度の脱水状態もこむら返りの誘因になると考えられています。夜間トイレに頻繁に起きるのを嫌って水分摂取を控えている方はご注意ください。

*フレイルとは、従来「虚弱」とか「老衰」と呼ばれていた「加齢により心身が老い衰えた状態」のこと。
筋力低下などにより足腰が弱って歩くのも一苦労となり、家に閉じこもりがちで、気分も落ち込んで抑うつ的になりやすく、日常生活に介護などのサポートが必要になるリスクが高い。

「こむら返り」が繰り返し起こるときは整形外科医に相談を

こむら返りの多くは一過性のものですから、あえて受診するまでもないでしょう。ただ、こむら返りが繰り返し起きたり、ふくらはぎだけでなく、足の裏や手の指など複数の筋肉で起こるようなら、安心のためにも一度整形外科医の診察を受けたほうがいいでしょう。

同時に、セルフケアも大切です。運動中や運動した日の夜、睡眠中に突然襲つてくるこむら返りのほとんどは、運動の前後にウォーミングアップとクールダウンをきちんと行えば問題なく防げますし、そうすることで当然痛みもスムーズに軽減されます。加えて、日頃から発汗に対する水分とミネラルの補給に努め、脱水や、夏なら熱中症の予防に努めることも大切でしょう。

特に、慣れない運動をしたり、いつになく激しい運動をした後には、発汗状態に応じた水分の補給と食事によってミネラルを補給することにより、筋肉内で起きているカルシウムとカリウムのバランスの乱れを補正したり、マグネシウム不足を補うようにするといいようです。マグネシウムを豊富に含む海産物や葉物野菜、大豆製品についてはこちらを。

「こむら返り」を防ぐ第一歩は栄養バランスのよい食事

このとき注意したいのは、ミネラル類を補給するだけではなく、ミネラルとのチームプレーにより体の代謝を整えるうえで潤滑油のような働きをしているビタミン類も、不足しないようにとることです。具体的には、新鮮な肉類や魚類、大豆類などのたんぱく源に旬の野菜を添えた栄養バランスのよい食事を、毎日、三度三度規則正しくとることです。

加えて、間食にカルシウムの多い牛乳を飲んだりチーズ類を食すとか、マグネシウムを多く含むアーモンドなどのナッツ類を食べるといいでしょう。食後のデザートに旬の果物(カリウムの多いバナナなど)を加えるようにすれば、なお理想的です。

ところで、この「栄養バランスのよい食事」というのがあまりに漠然としていて、栄養学的な知識でもないとわかりにくいという方には、「まごたち食」をお勧めしたいと思います。

「まごたち食」とは、「まごたちわやさしい」を意識して副食(おかず)を食べるようにすれば、食材選びで迷うことなく、必要な栄養素をバランスよく摂ることができるという食事のことです。「まごたちわやさしい」とは、「豆類(ま)、ごま(ご)、卵(た)、乳製品(ち)、わかめなどの海藻類(わ)、野菜類(や)、魚類(さ)、椎茸などのきのこ類(し)、いも類(い)」の9種類の食材の頭文字を並べたものです。

「まごたち食」で「栄養バランスのよい食事」を
「栄養バランスのよい食事を心がけてください」と言われた経験はないだろうか。新型コロナウイルスから身を守るためには栄養バランのよい食事をして免疫力を高めるように言われたりもする。この「栄養バランスのよい食事」が「まごたち食」なら簡単、という話を。

水分補給する際は「糖質」に注意を

なお、水分補給にはとかくスポーツドリンクを選びがちでしょうが、多くのスポーツドリンクには、糖質が含まれていますから注意が必要です。

たとえば500ml入りのペットボトルの場合、1本に30g前後の糖質、つまりブドウ糖、果糖、ショ糖(砂糖)などの炭水化物が含まれています。これを角砂糖に換算すると、なんと6~8個分、スティックタイプのシュガーなら8~10本分にも相当しますから、カロリーの問題が気になります。

また、同じ糖質のなかでも特に果糖(果汁タイプに多く含まれている)やショ糖は、体内で脂肪に変わりやすく、肥満につながりやすいことも覚えておきたいものです。

ペットボトルで水分補給をする際は、ペットボトルに明記されている栄養成分表を見て、糖分のことが書いてないからと油断しがちなのですが、必ず炭水化物をチェックしてみることをお忘れなく。また、最近増えている「糖質オフ」「糖質ゼロ」の飲料には、人工甘味料が入っていますのでご注意ください。

「糖質オフ」飲料に人工甘味料の落とし穴!?
「甘さはほしいが太りたくない」の声に応え「糖質オフ」の飲料が増えている。飲んで甘いのは、人工甘味料が入っているからだ。人工甘味料入り飲料や超加工食品の摂りすぎは糖尿病のリスクを高め、妊孕性にも影響する。甘さは人工甘味料ではなく麹で代用してはどうか。

睡眠中の「こむら返り」は保温対策で防ぐ

こむら返りに冷えによる血行不良が影響している場合は、入浴して体を温めることや、就寝前に下肢や手の指など、こむら返りが起きた部位を軽くマッサージして血行を促すことを習慣化するといいようです。

就寝中にこむり返りを繰り返すようなら、血流を妨げないようにつくられたウォーマー、たとえばふくらはぎ 専用 ミーテ ライトロングをつけて寝るのもいいでしょう。