「かつお節」は本当に発酵食品なの?

かつおぶし食と健康

かつお節はどれもが発酵食品というわけではない

「かつお節(ぶし)」は、味噌や納豆と同じ発酵食品だと、長い間ずっと信じて料理に活用してきました。

ところが、「かつお節には、発酵食品とそうでないものの2種類があるらしい」――。

この話を聞いてからは、かつお節やその削り節パックを購入するときは、パッケージの裏側に記されている栄養成分表示表をより慎重にチェックするようになりました。

とは言うものの、発酵食品かそうでないかに関係なく、かつお節が手軽に利用できる貴重なたんぱく源の一つであることに変わりはありません。

また、ちょっと風味を添えたいときも、これがあると助かります。

そんなこんなでかつお節は手放せないことから、
この際にと思いつき、改めてかつお節について調べてみましたので、ポイントを書いておきたいと思います。

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店頭に並ぶかつお節の8割以上は発酵食品ではないタイプ

まず、かつお節には発酵食品とそうでないものとの2種類がある、という話から――。

ご存知のように、かつお節の原料はかつおです。

この「節(ふし・ぶし)」の仲間には、さばを原料にした「さば節」もあれば、「まぐろ節」や「いわし節」もあります。
このうち最もポピュラーなのは、やはりかつお節でしょう。

かつお節は、製造工程や味わいの違いにより、大きく「荒節(あらぶし)」と「本枯節(ほんかれぶし)」の2つに分けられるそうです。

まず、漁獲したての生のかつおの頭や内臓、尾を取り除いたものを60~90分グツグツ煮詰め、たんぱく質を濃縮して凝固、つまり固まらせます。
そのうえで冷却し、さらに煙でいぶして余分な水分を取り除いたものが、いわゆる荒節です。

スーパーなどで店頭に並ぶかつお節の80%以上が、この荒節です。

だしの素やめんつゆなどの加工調味料は、用途が広くて便利ですが、これらの原料に使われているかつお節も、ほとんどが荒節です。

また家庭で重宝しているパック入りの「かつお節削り節」や「花かつお」の原料も、荒節が多いようです。

商品のパッケージ裏にある栄養成分表示表の「原材料名」のところに「かつおのふし」とあれば、「荒節を使ったかつおぶし」ということになります。

カビで発酵、熟成させた本枯節(ほんかれぶし)

一方の本枯節は、荒節にカビ(かつおぶし菌)を使って発酵、熟成させた「発酵食品」です。

最低3か月、場合によっては1年、2年と発酵、熟成させるのですが、その間に荒節の表面のタールや脂肪分が分解されて取り除かれるため、うまみ成分が増すのだそうです。

手がかかっているぶん価格は高くなりますが、風味がよく、味にコクがあることから、高級料亭などでは好んでこの本枯節を原料にした「かつお枯節削り節」などを使用しているそうです。

商品のパッケージ裏に明記されている栄養成分表示表の「原材料名」に「かつおのかれぶし」または「かつお・かれぶし」と記してあるのが、本枯節のかつお節で、これが発酵食品ということになります。

一般家庭でも、食通の方のなかには、自宅に削り器を用意し、自分の楽しみとしてかつお本枯節の削りたての芳醇な香りを楽しむ方もいるようです。

この削りたての香りが食欲をそそる効果もありますから、コロナ禍の影響でこのところ食が進まないという方が家族にいるようなら、試してみてはいかがでしょうか。

発酵食品で免疫力を高めることが感染対策に

ところで、コロナ禍の今、かつお節のような発酵食品が改めて注目を集めているのはなぜでしょうか。

答えはもうおわかりでしょう。
「腸内環境を整えて免疫力を高める効果を期待できるから」です。

何しろ私たちの腸管には、体全体の免疫細胞のおよそ70%が集まっています。

腸内にある免疫細胞の一つひとつが本来の働きを存分に発揮できるように、発酵食品などを活用して腸内の環境を健康な状態に保つことができれば、間違いなく免疫力の維持・アップにつながることになります。

ちなみに「免疫力」とは、「疫(病気)を免れる(まぬがれる)力」のことです。

今でいえば、新型コロナウイルスのような外敵の侵入刺激に敏感に反応して、自分の身を守ろうとする、いわゆる「生体防御力」のことになります。

免疫力が高く保たれていれば、感染から身を守ってくれる効果が期待できます。

仮に感染を受けたとしても、高い免疫力と適切な対応により、発症を防ぐことができるでしょうし、発症しても、軽症で経過することも期待できるでしょう。

そこで、免疫力を高める食事面での工夫として、発酵食品を積極的に摂ろうというわけです。

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たんぱく質が濃縮されたかつお節には30種類のアミノ酸

発酵食品としてよく知られているのは、ヨーグルトや納豆、味噌(特に白味噌)、チーズ類あたりでしょうか。
最近は、米麹(こめこうじ)でつくる甘酒や発酵調味料の塩麴(しおこうじ)、天然酵母のパンやクッキーなども人気のようです。

今回取り上げたかつお節の一部、かつおの本枯節が発酵食品の仲間であることは、まだあまり知られていないように思います。

それと、そもそもかつお節は、1回にそうたくさんの量を使うものではありません。
量は限られますから、発酵食品としての効果はあまり期待できないと考える方もいるかもしれません。

しかし、荒節にしても本枯節にしても、かつお節の主成分はアミノ酸が豊富なたんぱく質です。

かつお節に含まれるたんぱく質は、製造工程の最初の段階において3~4倍に濃縮されていて、100g当り約70~80gも含まれているとのこと。

また、そのアミノ酸は、体内で合成されないために毎日の食事から摂る必要のある必須アミノ酸9種類を含む20種類に及び、かつお節10gで1日に必要なアミノ酸の約1/3を摂取できるそうです*1。

良質なたんぱく質をコンスタントに摂り続けるには欠かせない一品です。

食が進まないときの「ねぎとかつお節の手巻きご飯」

とりわけ我が家には、がんの経験者、いわゆるがんサバイバーがいます。

ひととおりの治療をなんとか終えてそろそろ8年になりますから、このままいけば「10年生存率」もクリアできるだろうとは思っているのですが……。

油断はできません。
体内のどこかに潜んでいるかもしれないがん細胞の侵襲に正常な細胞が負けないように、日々の食事を託されるパートナーとしては、「質の高いたんぱく質」の補給に日々努めています。

それだけに、かつお節でだしをとったり、料理に混ぜたり、かつおのけずり節をサラダや煮物に振りかけたりと、ふんだんに使っています。

それと、これはシナリオライターとして人気を集め、作家としては直木賞も受賞した向田邦子さんからの受け売りですが、「ねぎとかつお節の手巻きご飯」というのもよくやります。

長ネギの白い部分を2㎝ほどの千切りにした、いわゆる白髪ねぎとかつおのけずり節、さらにパリッと焼いて八つ切りにした海苔を用意しておきます。

炊き立てのご飯を海苔にのせ、そこにねぎとけずり節を混ぜたものをのせてから醬油を少し垂らしたら、海苔で包んでいただきます。

食が進まないときでも、趣が変わり、おいしくいただけますので、一度試してみてください。


参考資料*¹:一般社団法人全国削節工業協会Webサイト