「牛乳を飲むとお腹ゴロゴロ」の解消法は?

ミルク 食と健康

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「牛乳でお腹ゴロゴロ」の原因は「乳糖不耐症」か「牛乳アレルギー」か

牛乳は手軽にとれる良質な高たんぱく質源であると同時に、カルシウムやマグネシウム、リン、亜鉛といった必須ミネラルの補給源としても欠かせない食品です。毎日飲みたいところですが、「牛乳は苦手で、飲めない」という方が少なくありません。

多くの場合、牛乳を飲むと「すぐお腹がゴロゴロする」「すぐトイレに行きたくなる」「下痢をしてしまう」というのが「苦手」の理由のようです。これには、全く異なる2種類の原因があることがわかっています。「乳糖不耐症(にゅうとうふたいしょう)」と「牛乳アレルギー」です。

このうち後者の牛乳アレルギーは、「卵アレルギー」や「小麦アレルギー」「大豆アレルギー」「蕎麦アレルギー」などと並ぶ代表的な食物アレルギーの一つです。

特定の食物を摂取すると、体の免疫システムが、まるで細菌やウイルスが侵入してきたかのように過敏に反応してしまい、拒絶反応としてアレルギー症状が出るという病気です。

アレルギー検査を受けてアレルギーの原因を特定しておく

アレルギー症状が深刻な場合は、アナフラキシーショックといって、息苦しくなったり血圧が急に低下したりすることもあります。牛乳アレルギーを疑ったらできるだけ早く医療機関(お子さんなら小児科、成人の場合は内科やアレルギー科)を受診して、本当に牛乳アレルギーなのかどうか、アレルギーの原因は牛乳だけなのかを明らかにしておけば安心です。

最寄りの受診先をお探しなら、日本アレルギー学会の専門医・指導医一覧*¹が参考になります。

もう一方の「乳糖不耐症」は、牛乳の飲み方や一度に飲む量を調整することによって、「お腹ゴロゴロ」などの症状を防ぐことができます。また、牛乳はダメでも、牛乳を加工して作られるチーズやヨーグルトのような発酵乳製品、あるいは牛乳以外の原料でつくられたミルクだったらOKという方もいますので、今回はそのへんの話を書いてみたいと思います。

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乳糖を消化する酵素が足りず「牛乳でお腹ゴロゴロ」に

乳糖不耐症とは、牛乳や乳製品に含まれている「乳糖」という糖質を分解する消化酵素(ラクターゼ)が、全くないか少なすぎる、あるいは働きが十分でないことにより引き起こされる病的な状態をいいます。

ラクターゼの分泌が十分でなかったり、働きが活発でなかったりすると、牛乳を飲んでも乳糖をしっかり分解し、消化・吸収することができません。その結果として、牛乳を飲むと消化不良の状態となり、お腹がゴロゴロしたり、お腹が張っておならが出たりするのです。腹痛や下痢に見舞われることも珍しくありません。

乳糖不耐症という呼び名自体は、いかにも「病気」らしく聞こえますが、実体は病気と呼ぶほど深刻なものではなく、「体質」による病的な状態と理解されているようです。

乳糖不耐症でも少量ずつ飲めばOKの方も

体質ですから、同じ乳糖不耐症でも、症状の現れ方には個人差があります。どんなに工夫しても牛乳は一切ダメという方もいれば、少量なら平気だが、一気にたくさん、成人の場合で言えば250㎖以上飲むと症状が出るという方もいると聞きます。

少量はOKでも量が多くなるとダメという方は、ラクターゼの分泌が間に合わないために乳糖が十分に分解されず、お腹ゴロゴロなどの症状が出ると考えられています。

そのため、人によっては、1回分を数回に分け、少しずつ間隔をおきながらゆっくり飲むと、症状を抑えることができるようです。

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冷たい牛乳はダメでもホットミルクならOKの方も

また、乳糖不耐症の方のなかには、適度に熱を加えたホットミルクなら症状は出ないが、冷たい牛乳を飲むと「お腹ゴロゴロに」という方もいます。

ホット、つまり人肌程度(体温と同じ36~37℃)に温めた牛乳なら下痢などの症状が出ないのは、体温に近いほうがラクターゼの働きがより活性化して乳糖の消化が進むうえに、胃腸への刺激が少ないことも影響しているのだろうと考えられています。

したがって、「牛乳を飲むとお腹がゴロゴロ」を避けるには、牛乳を体温程度に温めてから*、1回分を何回かに分けて、噛むようにして飲んでみてはいかがでしょうか。

*牛乳を電子レンジで温める場合は、牛乳200㎖を耐熱性で大き目のマグカップに注ぎ、ラップをして、500Wなら1分30秒を目安に温める。飲む前によくかき混ぜることを忘れずに。鍋で温める場合は、吹きこぼれに注意を!!

ヨーグルトや熟成チーズなど発酵乳製品を牛乳の代用品に

自分は乳糖不耐症だが、カルシウムを補給するためにもやっぱり牛乳を飲みたいという方もいるでしょう。このような方のために、最近は「お腹がゴロゴロしにくい牛乳」とか「おなかにやさしいミルク 」が何種類か市販されています。

このタイプの牛乳は、「ラクトースフリー牛乳」とも呼ばれているように、牛乳に含まれる乳糖の半分以上をあらかじめ分解したり、取り除いたりしてありますから、乳糖不耐症の方でも「お腹ゴロゴロ」の心配なく飲むことができます。

ラクトースフリーの牛乳を飲み続けていると、体内におけるラクターゼの分泌が徐々に増えていき、普通の牛乳も難なく飲めるようになるということもあるようです。

発酵乳製品なら「お腹ゴロゴロ」は予防できる

とは言え、牛乳を飲んで下痢をした経験のある方のなかには、気持ちの上でも「とにかく牛乳らしきものはダメ」という方もいるでしょう。そういう方は、牛乳の代わりにヨーグルトや熟成チーズで必要な栄養素を補うという方法もあります。

ヨーグルトは、乳酸菌で発酵させた発酵乳で作った発酵乳製品*です。発酵乳は、乳糖が乳酸菌によってすでに分解されていますから、よほど大量を一気に食べない(飲まない)限りは、ヨーグルトで「お腹ゴロゴロ」のような症状に見舞われる心配はありません。

また、「ゴーダチーズ」「チェダーチーズ」「カマンベールチーズ」「モッツァレラ」のような発酵された熟成チーズは、製造工程で乳酸菌や酵素、青カビや白カビの働きにより、乳糖のほとんど、あるいはすべてが分解されていますから、こちらも適量であれば「お腹ゴロゴロ」になる心配はありません。

*発酵乳製品とは、乳酸菌やカビ類などの微生物により発酵されたヨーグルトや熟成チーズのこと。発酵過程で乳糖の一部が分解されるため、消化・吸収されやすくなり、乳糖不耐症でも下痢などの症状が出にくくなる。一方で、牛乳、ヤギ乳、スキムミルク、エバミルク、練乳、生クリーム、アイスクリーム、シチュー、プロテイン(ソイプロテインは除く)には乳糖が含まれるため、乳糖不耐症の方は注意が必要。

乳糖不耐症なら大人向け粉ミルクの活用を

最近は健康意識の高い高齢者の間で、牛乳の代用品として「粉ミルク」への関心が高まっているのを受け、乳製品製造各社から「大人向け粉ミルク」が各種売り出されています。

水やお湯にそのまま溶かしたり、味噌汁などのスープ類、コーヒーや紅茶などに混ぜて、また料理に加えるなどしてたんぱく質やカルシウム類の補給に活用している方が多いようです。乳糖不耐症の方には、乳糖を可能な限り取り除いてある救心製薬の「大人の粉ミルク 」をおすすめします。大人向け粉ミルクについてはこちらで詳しく書いています。あわせてご覧ください。

オーツ麦が原料のオーツミルクも

また、栄養バランスが抜群なうえに食物繊維が豊富に含まれていることで最近人気が増している全粒穀物のオーツ麦を原料にしたオーツミルク なら、牛乳アレルギーや乳糖不耐症でも安心して飲むことができます。詳しくはこちらをご覧ください。

参考資料*¹:日本アレルギー学会専門医・指導医一覧