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白味噌と赤味噌の違いは色や塩分量だけではない
幼い頃から当たり前のように、ほぼ毎朝、味噌(みそ)汁を飲んできました。当たり前すぎてこれまで味噌について深く考えることはなかったのですが、日本古来の発酵食品である味噌には、実はいくつか種類があることに改めて気づき、その違いを知りたくなりました。
まず味噌の種類ですが、頭に浮かぶのは、「米味噌」「麦味噌」「豆味噌」でしょうか。味噌は、大豆に麹(こうじ)と塩と発酵菌を混ぜて1年ほど、場合によってはもっと長い期間熟成(じゅくせい)、つまり寝かせて作ります。
この麹に、米麹(こめこうじ)を使うのが米味噌、米麹の代わりに麦麹を使うのが麦味噌で、豆味噌は米麹も麦麹も使わず、大豆と塩を原料に麹菌を植え付けた豆麹で発酵させて作ります。このうちの三つ、あるいは二つをブレンドした「調合味噌」もあります。
国内で生産される味噌の8割は白か赤の米味噌
東京生まれで東京育ちの私が毎朝のように味噌汁として飲んでいるのは米味噌ですが、国内で生産されている味噌の8割は、この米味噌だそうです(農林水産省)。
この米味噌には、大別して「白味噌」と「赤味噌」があります。両者の違いは、色以外では「塩分量ぐらいだろう」とずっと思っていました。ところが、そう簡単な話ではなく、上手に使い分けると健康に役立つことを最近知りましたので、今回はその話を書いてみたいと思います。
赤味噌には抗酸化作用と代謝を上げる効果が
健康長寿のスペシャリストとして著名な白澤卓二医師(白澤抗加齢医学研究所・所長)によれば、赤味噌と白味噌の最も大きな違いは、大豆と米麹の配分比率にあるのだそうです*¹。赤味噌は白味噌より大豆の配分率が高く、発酵した状態で熟成させる期間が長いとのこと。そのため、あのような濃い色になるのだそうです。
赤味噌特有のあの色は、「メラノイジン」と呼ばれる褐色の色素成分によるものです。メラノイジンは、熟成中に大豆たんぱくが分解してできるアミノ酸と米の糖質が結合してできます。ちなみに、醤油(しょうゆ)の褐色もメラノイジンによるものです。またパンやクッキー、焼き肉など、加熱調理によって表面に着く褐色の着色も、アミノ酸と糖質の化学変化で起こるメラノイジンによるものです。
若返りや若さをキープしたい方は赤味噌を
このメラノイジンは、強力な抗酸化作用があることで注目を集めています。抗酸化作用とは、体内で必要以上に増えるとさまざまな健康障害をもたらす活性酸素を分解し、無毒化してくれる作用です。この作用により血管の若返りも期待でき、心筋梗塞や脳卒中のリスクを減らせることも報告されています。
過剰になった活性酸素はシワやシミなどお肌の老化を促進させますから、肌を若々しく保つためにも、メラノイジンは見逃せない成分です。さらにメラノイジンには代謝を高める働きもありますから、朝食に赤味噌汁を飲めば元気に1日のスタートをきることができます。同時に、赤味噌に含まれるメラノイジンの代謝アップ効果により、エネルギー消費量を高め、太りにくい体質にする効果も期待できるというわけです。
熟成期間が長く、熟成が進むほど味噌の色は濃くなり、メラノイジンの含有量も多くなります。そのため「若返りたい人、若さをキープしたい人は、より濃い色の赤味噌を選ぶといい」と白澤医師は記しています。スーパーなどで赤味噌を購入する際は、パッケージで味噌の色を比べてより濃いものを選ぶといいでしょう。
白味噌にはGABA(ギャバ)が豊富でリラックス効果が
一方の白味噌には、赤味噌に比べ麹の含有量が多いのですが、その麹には「GABA(ギャバ)」と呼ばれる栄養成分が豊富に含まれています。
GABAは、正式な名称を「γ(ガンマ)-アミノ酪酸」といい、アミノ酸の一種です。もともと私たちの体内、主に脳や脊髄などの中枢神経系に多く存在していて、イライラして高まった神経細胞の働きを抑え、自律神経のバランスを整える働きをしています。つまりGABAには、ストレスを和らげたり、興奮した脳を落ち着かせてリラックス状態をもたらし、心地よい眠りを促す作用が期待できるわけです。
最近では、このGABAの含有量を強化して、「睡眠の質を高める」チョコレート、江崎グリコ GABA ギャバ フォースリープ[機能性表示食品(睡眠の質を高める)]が売り出されていることはご承知でしょう。あるいは、ハウスウェルネスフーズ ネルノダ [機能性表示食品 ]もGABAが多く含まれていて、睡眠の質の向上(眠りの深さとスッキリした目覚め)に役立つ機能(効能)や、仕事や勉強などによる疲労感や精神的ストレスを緩和する機能があることが報告されています。
疲れやストレスから解放されたいときは夕食に白味噌を
昨今のようなストレス社会を生きる現代人に、GABAは必須のアミノ酸と言っていいでしょう。1日フルに働いて疲れ切ったときは、大量のGABAが失われています。夕食に白味噌の味噌汁、あるいは白味噌を使った和え物などでGABAを補給してあげると、気持ちが落ち着き、熟睡につながるはずです。
白味噌のなかでも、京都を中心とする関西で好んで使われている「西京味噌」には、米麹が多く配合されていますから、高いGABA効果が期待できます。また、高血圧などで減塩食を続けている方にとって西京味噌は、塩分量が他の白味噌より少なめになっていますから、安心して使えるのではないでしょうか。
参考資料*¹:白澤卓二「ボケない食事」第8回;Hanada-2020年9月号,p.170-171
参考資料*²:国立がん研究センター「大豆・イソフラボン摂取と乳がん発生率との関係について」