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20代で手首を骨折した原因に減食ダイエットが
骨粗鬆症(こつそしょうしょう)という病気をご存知でしょうか。かなり硬いはずの骨がスカスカになってもろくボロボロになり、ちょっとしたはずみで骨折したり、背骨が丸くなってきたりする病気です。
若い方にこの話をすると、「それって更年期を過ぎた年配の女性の話でしょ。私はまだまだ大丈夫」などと受け止められがちです。しかし、まだ若いからと言って安心していられません。
スリムになりたいからと、食事を極端に減らしたり栄養的に偏ったダイエットをしている方は、年齢に関係なく、骨粗鬆症に要注意です。
転びそうになり机に手をついたら手首を骨折
実際、取材で知り合って時折メール交換をしている20代後半の女性から先日届いたメールには、泣きべそ顔の絵文字入りでこう書いてありました。「仕事中に手首を骨折して、しばし仕事を休むことになりました」
早速電話して骨折したワケを尋ねると、「つまずいて転びそうになったので慌ててそばにあった机に手をついたら、手首が……」と、消え入りそうな声が返ってきました。
さらにショックだったのは、彼女の手首のエックス線(レントゲン)写真を診た整形外科医から、「骨に少しスが入っていますから、骨粗鬆症の予防も心がけた方がいいですね」と言われたことだった、とのこと――。
ということで、若いからと安心できない骨粗鬆症にまつわる話を要点をしぼってまとめたいと思います。
骨がもろくなり骨折しやすくなる骨粗鬆症
骨粗鬆症とは、骨を形成し、かつ強くする材料として欠かせないミネラルの量、いわゆる「骨量(こつりょう)」が減り、骨にすき間が増えて骨全体が弱く、もろくなってしまう病気です。
もろくボロボロになった骨は折れやすく、ちょっとしたことがきっかけで簡単に折れてしまいます。折れやすいのは、手首や大腿骨頸部(だいたいこつけいぶ)と呼ばれる太ももの付け根の骨です。
骨折しないまでも、もろくなった背中の骨、いわゆる背骨(せぼね)が体重を支えきれなくなり、やがて負担に耐え切れなくなってつぶれてしまい、背骨が丸まって猫背気味になったりもします。
さらに進めば、背中全体が曲がって身長が縮んでしまったり、円背(えんぱい)と呼ばれる状態になり、転びやすくなります。転んで大腿骨頸部を骨折するようなことにでもなれば、歩行がおぼつかなくなるだけでなく、日常生活に介護が必要になり、そのまま進行すれば寝たきりの状態になってしまうこともあるのです。
減食ダイエットが原因の骨粗鬆症が若い世代に増えている
このような骨の変化は、「年配の女性」、つまりエストロゲンという女性ホルモンの分泌が少なくなる更年期以降の女性に多く見られることはよく知られています。
食事などにより体内に送り込んだたんぱく質やカルシウムが骨になっていくうえでエストロゲンは重要な役割を担っているのですが、このエストロゲンが不足するのが原因です。
最近は、閉経後の女性だけでなく、彼女のようにまだ20代や30代で、生理が正常に続いている若い女性の間でも骨粗鬆症が増えていることが指摘されています。原因はいくつか指摘されていますが、特に骨粗鬆症になる危険性が高いことで注目されているのが、減食ダイエット、つまり食事制限によるダイエットです。
改めて確認してみたところ、やはり彼女も、社会人として働くようになってからごく最近まで、スリムなスタイルにあこがれる気持ちと、仕事の関係で食事時間が不規則になるのをこれ幸いと食事を抜くなどして、減食ダイエットを続けていたそうです。
女性に限らず男性の骨粗鬆症も
彼女のようにダイエットを目的に食事を制限して、たんぱく質やカルシウムといった骨の材料となる栄養素が不足した食生活を続けている方、あるいは過去に一時的にでも、そんな生活をしていた方は、早かれ遅かれ骨粗鬆症になるリスクが高いことを自覚する必要がありそうです。
そして、このリスクの高さは、若い女性に限った問題ではありません。肥満を気にして極端な食事制限をしていたり、インスタントやレトルト食品頼りで栄養が偏った食生活を続けている男性も、近い将来骨粗鬆症になりやすいことが指摘されています*。
骨密度検査を受けて骨粗鬆症のリスクを知る!
骨粗鬆症の危険因子に心当たりのある方は、日頃の食事や運動を見直してみる必要があるのですが、その前に、体重を気にするように自分の骨量、正確には骨密度も気にすることから始めるのがいいようです。
骨密度の測定は、市区町村が実施している公的な検診(40、50、55、60、65、70歳対象)でも、また民間の人間ドック、あるいは健診センターなどでも、骨密度測定機器を設置している施設(一部の街の薬局やドラッグストアも)なら、比較的簡単に受けることができます。医療機関なら整形外科を受診するといいでしょう。
市区町村が行っている骨密度測定は、多くの場合無料で受けられ、個々の測定結果に応じて、必要な食事や運動に関する指導を受けられるのが魅力です。最寄りの保健所や保健センターに問い合わせてみるといいでしょう。
加えて、最近の健康ブームに乗り、体重だけでなく全身の筋肉量や内臓脂肪までチェックできるタイプの家庭用体組成計が各種売り出されています。そのなかには、タニタ 体重 体組成計のように、体重計に乗るだけで「推定骨量」を測定できるものもありますから、これを利用してみるのも一法でしょう。
骨粗鬆症のリスクをセルフチェック!!
もう一点、「FOSTA指標(骨粗鬆症リスク評価ツール)」を活用して骨粗鬆症になりやすいかどうかセルフチェックしてみる方法もあります。
FOSTA指標とは、アジア8カ国、800人の女性を対象に行われた調査で女性の骨量が年齢と体重に密接に関係していることが確認され、そこから導き出された骨量が低下するリスクを予測するツールです。
{体重(㎏)- 年齢(歳)× 0.2}の計算式での結果から、以下のように判定します。リスクが中等度以上であれば、一度骨密度の測定をしておけば安心です。
- マイナス4未満は「リスクが高い」
- マイナス4~マイナス1は「リスクは中等度」
- マイナス1を超えるようなら「リスクは低い」
ただし、この指標はあくまでも現時点での骨粗鬆症リスクを予測する目安となるもので、リスクが高いから骨粗鬆症になる、低いから骨粗鬆症にならないというものではないことをご承知のうえ、活用してください。
骨粗鬆症予防には骨の材料になるカルシウムを
一般に骨量は、成長とともに増え続け、20代から40代にかけてピークに達すると、それ以降は加齢とともに少しずつ減少していくことがわかっています。したがって、骨粗鬆症を予防するには日々の生活で以下を心がけることが求められます。
- 成長期にある女性は骨量のピークをできるだけ高くする生活を心がける
- 閉経が近づいたらそのピークを極力維持する生活を心がける
- 閉経後は骨量の減少を最小限に食い止める生活を心がける
そこで、まずは食事の面から骨量を維持して減少をできるだけ食い止めるには、骨の材料となり、その代謝を助ける栄養素を、毎日の食事からまんべんなく摂ることが大切になってきます。
その際に要となる栄養素は、カルシウム(牛乳やチーズ、ヨーグルトなどの乳製品、骨ごと食べられる小魚類、大豆製品、小松菜や菜の花などの緑黄色野菜、海藻類)です。
カルシウムの吸収に必要なミネラル類も
加えて、カルシウムは体に吸収されにくい栄養素ですから、カルシウムの吸収を助けてくれるビタミンD(かつおやまぐろなどの魚類、椎茸などのきのこ類)やビタミンK(納豆、ほうれん草)、またマグネシウム(ひじき、わかめ、バナナ)も積極的に摂るようにしたいものです。
なお、牛乳は手軽で貴重なカルシウム源ですが、「牛乳が苦手」という方は、こちらを読んでみてください。
それと、牛乳や乳製品は「一切ダメ」と言う方のカルシウム補給には、たとえば「厚揚げ」がいいといった話もこちらで紹介しています。
骨細胞を刺激して骨量を増やす運動も
骨折しにくい骨づくりには、骨に負荷をかけて骨量を増やす効果が期待できる運動も欠かせません。具体的には、骨細胞に体重という負荷がかかる運動としては、走る(ランニングやジョギング)、歩く(ウォーキング)が最適です。
なかでもウォーキングは、日常的に誰でも抵抗なくできる運動で、歩くスピードを調整することで骨にかかる負担を強くしたり(スピードアップ)、弱くしたり(スピードダウン)することもできます。
ただ、日常的にできるとは言え、戸外での運動は天候に左右されますから限界があります。また、1日の大半の時間を仕事に費やしている現状では、運動する時間を捻出することさえ難しいという方も少なくないでしょう。
そんな方は、室内でできる階段の昇降運動を習慣化するというのはいかがでしょう。市販されている踏台昇降用ステップ台を使えば無理なくできます。
その際ですが、下肢の骨に負担をかけることを意識して昇り降りすると、骨細胞に刺激が届き、骨を強くする効果がアップするとともに、併せてダイエット効果も期待できます。