美容を妨げる老化物質「AGE」を体にためない

ステーキ食と美容
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老化を促進させる物質として注目の「AGE」

「街の薬局で本当の年齢を測ってもらえるらしいから、ちょっと行ってみない?」
友人からいきなりそう誘われたときは、からかわれているのではないかと思いました。

「本当の年齢なんて……。別に私、ごまかしてなんかいないわよ‼」
そう言い返しながら、ハタとひらめいたことがあります。

おそらく彼女は、AGE(エージーイー)のことを言っているのだろうと――。

AGEとは、Advance Glycation End Productsのこと。
日本語では、「終末糖化物質(しゅうまつとうかぶっしつ)」とか「老化たんぱく」と呼ばれています。

私たちの体を作っている屋台骨ともいえる「たんぱく質」と貴重なエネルギー源である「糖質」が同時に加熱されてできる、キツネ色をした「オコゲ」とも言われる物質のことをいいます。

AGEは、食事などで摂った余分な糖質が体内のたんぱく質と結びついてできることもあれば、焼きおにぎりやよく焼いた、いわゆる「ウェルダン」のステーキのような料理、また意外なところでは、果糖の多い野菜ジュースやフルーツジュースのような飲み物に比較的多く含まれていることもあります。

いずれにしても、体内にため込んだAGEは細胞を劣化させて病気の原因となるだけでなく老化を促進させてしまうという、まさに老化の元凶ともいうべき物質です。

皮膚の細胞を傷つけて、シミやたるみ、くすみ、シワを作り出したり、毛根細胞にダメージを与えて薄毛を招くこともありますから、美容上も大敵といえる物質です。

今回は、老化の元凶として注目を集める、このAGEという厄介な物質について、自分たちで対処できることについて書いておきたいと思います。

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AGE測定器なら体や肌の老化の度合いがすぐわかる

まず気になるのは、老化を促進させたり美容の妨げにもなるとされるAGEが、現時点で自分の体内にどのくらいたまっているのか、ということではないでしょうか。

AGEの体内蓄積レベルを測定するには、採血して調べる方法もありますが、専用の測定器が開発されていて、自分のAGE値を比較的簡単に知ることができるようになっています。

この測定機器にはいくつかタイプがあるのですが、光を当てると発光するというAGEの特性を活用して測定するメカニズムは、どの器種も同じようです。

たとえば指先を測定器に挿入すると、機器に搭載されている「AGEセンサー」が皮膚に蓄積しているAGEが発する光の強弱を読みとって解析し、AGEの体内蓄積レベル、つまり「糖化度(とうかど)」をスコアとして示してくれる仕組みになっているのです。

このスコアから、自分の本当の体内年齢である「ツル―エイジ(true age)」がわかるというわけです。
ツル―エイジは「糖化度年齢」とも呼ばれています。

この糖化度年齢を実年齢と比較して、マイナスの値が出るかプラスの値が出るか、気になるところです。

採血による痛みを伴うこともなく、2~3分もあれば結果が得られますから、自分の体や肌の老化の度合いが、歳相応なのかどうかを知っておくためにも、一度測定してみてはいかがでしょうか。

なお、最近は「肌年齢」を自分でチェックできるチェッカーやアプリが出回っています。
この点については、こちらの記事を参照してください。
→ 「肌年齢」は心身の健康状態のバロメーター

AGE測定は街の薬局や糖尿病クリニックで受けられる

では、一体どこで測定できるのか、費用はどのくらいかかるのか、という話になります。

冒頭の会話にもあるように、最近ではこのAGE測定器を店頭に置いている薬局が目につくようになりました。

薬局ならどこでも、というわけではありません。
院外処方箋(いんがいしょほうせん)を取り扱っている調剤薬局、それも大手チェーン店に限られるようですが、一度最寄りの薬局で尋ねてみてはいかがでしょう。

検査費用は、無料のところもあれば有料(1回税別で1,000円ほど)のところもあるようです。

薬局以外では、糖尿病の診療科があるクリニックや病院にはこの測定器を置いているところが多いと聞きます。

こちらの場合は、測定後、医師から測定結果を反映した生活習慣に関するカウンセリングやアドバイスを受けられるというメリットがあります。

検査とカウンセリング&アドバイス込みで、料金は3,000円前後のところが多いようです。

それと、地域差はありますが、自治体が開催する健康関連のイベントやセミナー会場などで、あるいは毎月10日を「糖化の日」と定め、AGE値の測定を無料、あるいは割安で実施している市区町村もあります。

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AGEがたまりにくい食生活を心がける

AGE測定の結果、自分の体内年齢(糖化度年齢)が実年齢よりプラスに出た方は、すでに体内に蓄積されて老化を早めているAGEの作用をブロックしてくれるような薬があればと、誰もが考えることでしょう。

その種の医薬品も開発が進んでいると聞きますが、まだ研究段階のようです。

したがってすぐできる対策としては、AGEを体内に送り込まない食事を心がけることにより、この先さらにAGEを体内にため込まないようにすることです。

加熱をせずに食べられる生野菜や刺身、冷ややっこなら安心

すでにおわかりのように、AGEは、たんぱく質と糖質が「同時に加熱されて」できる物質です。
したがって、生野菜や刺身類、冷ややっこのような、加熱をせずに生(なま)のまま食べることができる一品なら、AGEの体内への取り込みを少なく抑えることができます。

一方で、AGEのもとになるたんぱく質を豊富に含む食品、たとえば肉類や魚類、乳製品なども、栄養バランスの面から考えると、いっさい摂らないというわけにもいきません。

これらの食材については、調理段階で加熱すればするほど食品中のAGEがどんどん増えることがわかっていますから、調理方法を工夫すれば、体内へ送り込むAGEを極力少なく抑えることは可能です。

具体的にAGEの含有量を調理法別にみてみると、最も増えるのは「揚げ物」です。

揚げ物より焼き物、焼き物より電子レンジでの加熱、レンジでの加熱より蒸し物か煮物でより少なく、最もAGEが少ないのは野菜や果物、魚といった生鮮食品を生のまま、といったところです。

揚げ物にはクエン酸、豚や牛肉はしゃぶしゃぶで

フライなどの揚げ物が大好きでやめられないという方もいるでしょう。

その場合は、AGEを減らす効果が期待できるクエン酸を含む酸味(すっばい)の強いレモン汁や酢(ビネガー)などを軽く振りかけて食べるといいようです。
あるいは、みかんやグレープフルーツなどの柑橘類を添えて食べるのもおススメです。

豚肉や牛肉はしゃぶしゃぶにする、あるいは食物繊維が豊富なきのこ類や海藻類と一緒に摂ることによって、AGEの排泄を促すのもいいでしょう。

この他にも、AGEを体内にためこまない工夫はいろいろあります。
その方法については、AGEの研究では世界的権威として注目されている山岸昌一医師(昭和大学医学部内科学/糖尿病・代謝・内分泌内科学部門主任教授)が以下の本で、詳細かつ具体的に解説されていますので、是非参考にしてください。
老けたくなければファーストフードを食べるな 老化物質AGEの正体 (PHP新書)
老化物質AGEためないレシピ ──ウェルエイジングのすすめ』(パンローリング株式会社)