「かかりつけ医」を持つとどんなメリットが?

かかりつけ医体調が悪い?

いざというときに備え「かかりつけ医」を

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、これまではあまり耳にしなかった言葉が飛び交うようになりました。

その多くは「クラスター」や「ロックダウン」などカタカナ語が多いのですが、「かかりつけ医」も、コロナ禍以前に比べ、より頻繁に見聞きするようになっています。

たとえば、「感染が気になるときは、まずかかりつけ医に電話で相談を」とか、
最近で言えば「かかりつけ医でワクチン接種を」、といったかたちで――。

この「かかりつけ医」については、数年前から、厚生労働省や日本医師会などが、いざというときに困らないようにと、かかりつけ医を持つことを広く一般にアピールしてきました。

ただ、ここで言う「いざというとき」には、人生の最期を迎えたとき、いわゆる「終末期」とか「看取り」のニュアンスが強かったこともあり、「ああ、高齢者の話でしょ」となりがちではなかったでしょうか。

ところが今回の新型コロナウイルスにより、人々の認識もだいぶ変わってきたように思います。
「いざというとき」は年齢やその時々の健康状態に関係なく、誰にも時を選ばず突然やってくる、と――。

そこで今日は、この「かかりつけ医」について、かかりつけ医を持つことのメリットやかかりつけ医の選び方について、ポイントを書いてみたいと思います。

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「かかりつけ医」なら健康に関するすべてを相談できる

「ホームドクター」とも呼ばれる「かかりつけ医」については、厚生労働省や日本医師会、さらには関連する学会などがそれぞれの立場から独自の定義を発表しています。

そこに共通しているのは、
「身近にいて、普段から診察を受けていて、健康に関することであれば予防も含め、診療科の別なくどんなことでも、いつでも気軽に相談できる医師」といったところでしょうか。

ここにある「気軽に相談できる」ということは、人柄なども信頼できることにつながります。

かかりつけ医について、厚生労働省が、医療機関に通院している患者を対象に行った調査*¹があります。
その結果を見て気づいたことがあります。

多くの方が、「主治医」や「担当医」を「かかりつけ医」と同義語と解釈して、
「自分には複数のかかりつけ医がいる」と理解していることです。

「かかりつけ医」を決める5つの条件とメリット

本来「かかりつけ医」は、「健康に関することは、予防も含め、診療科の別なくなんでも相談できる」という点で、主治医や担当医とは一線を画すものです。

具体的には、東京都医師会がWebサイト*²で提示している以下の5点が、あなたが「かかりつけ医」を決める際の条件であり、これがそのまま「かかりつけ医を持つメリット」になろうかと思います。

  1. 近くにいる
    身近でいつでも気軽に相談でき、いざというときに往診してもらうためには、まず「近いこと」が重要
  2. どんな病気でも診てもらえる
    病気かなと思ったときに、どんな病気でも真っ先に相談できる医師がいれば、病状に適した医療がスムーズに受けられる
  3. いつでも診てもらえる
    病気は24時間365日、いつでもどこでも発生する。「かかりつけ医」を起点にした地域医療のネットワークがあれば、いつでも、どこでも、誰でも適切な医療を受けることができる
  4. わかりやすい説明を受けられる
    病状や治療法、検査に関する疑問に、わかりやすい言葉でていねいに説明してもらえる。必要な生活支援についても、地域の医療・保健・医療機関につなぐ役割を果たしてもらえる
  5. 必要なときにふさわしい病院や専門医を紹介してもらえる
    「かかりつけ医」は高度な診療機能を持つ専門病院や専門医と密に連携しており、必要に応じてふさわしい医療機関や医師を紹介してもらえる

かかりつけ医から病院や専門医を紹介してもらうと医療費の節約にも

上記メリットの「5」については、その時々の病状にふさわしい病院や専門医を紹介してもらう際には、かかりつけ医に紹介状を書いてもらうことになります。

この「かかりつけ医の紹介状」があれば、紹介された病院や専門医を受診する際の「特別料金」がかからなくりますから、医療費が安くなるというメリットもあります。

この特別料金は、「選定療養費」として、特定機能病院やベッド数が200床以上の地域医療支援病院を紹介状なしに受診した場合に、初診で5,000円以上(歯科は3,000円以上)、再診で2,500円以上(歯科は1,500円以上)の追加料金(自費)がかかるというものです。

ここでいう「特定機能病院」とは、高度な医療や研修、医療技術の開発を行う役割を担う病院のこと。
全国の大学病院やがんセンターなどが「特定機能病院」として指定されています。

また地域医療支援病院は、専門外来や入院医療、救急医療を担って地域医療の中核となり、地域のかかりつけ医を支援している医療機関が該当します。

「かかりつけ医」最大のメリットは診療の継続性

すでにおわかりのように、「かかりつけ医」を持つメリットは、健康に関することなら内科とか外科といった領域の別なく、なんでも気軽に相談できることです。

かかりつけ医を持っていないと、突然体調に異変を感じたようなときに、「病院に行くべきかどうか」「行くとしてもどこを受診したらいいのか」などと迷うことになりがちです。

そうこうしているうちに、病状が悪化して重症化してしまうということにもなりかねません。

それと、こんなことはあまりあってほしくないのですが、意を決して病院やクリニックを受診したものの、そこでは対応してもらえず、別の病院へ行くように言われてしまうということもあるでしょう。

その点かかりつけ医は、自宅や職場の近くにいて、自分の健康状態を継続して診てくれています。
この診療の継続性により、何かあれば自分にとって最適と思われる方法で迅速に対応してもらえます。

その対応において、必要とあれば最寄りの専門医や専門の医療機関につないでくれます。
その点でもかかりつけ医は、頼りになる存在なのです。

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女性は50歳を過ぎたら「かかりつけ医」を決めておく

かかりつけ医に関しては、全国のかかりつけ医が多く参加する団体である「日本臨床内科医会」が、Webサイトで、「50歳以上の女性のみなさまへ」と題し、こんなアピールをしています。

(日本女性の健康寿命*と平均寿命には約13年の開きがありますが)この期間は、「健康上の理由で日常生活が制限される」状態で過ごしていることを意味します。
女性の場合には、更年期以降エストロゲンというホルモンが減少します。それが女性特有の病気**の引き金になっています。健康寿命を延ばすためにかかりつけ医に相談しましょう。

(引用元:日本臨床内科医会Webサイト「50歳以上の女性のみなさまへ」*³)

*健康寿命とは、「日常的に介護を必要としないで自立した生活ができる期間」をいう。
日本人女性の平均寿命は86.4歳だが、健康寿命は73.6歳で、そこには約13年の開きがある。
**エストロゲン減少による女性特有の病気としては、よく知られる更年期障害以外に、骨代謝異常による骨粗鬆症や骨折、心筋梗塞等の循環器疾患、脂質代謝異常による動脈硬化、認知機能の低下などがある。

「かかりつけ医機能研修制度」を修了した医師を

そこで、かかりつけ医の選び方ですが、日本医師会は、国民に信頼される医師を地域に増やしていこうと、2016年4月から「かかりつけ医機能研修制度」を新たにスタートさせています。

その研修内容は、在宅医療、緩和医療、感染対策、リハビリテーション、摂食嚥下障害、生活習慣病、認知症、栄養管理(食事療法)、医療倫理と、かなり広範囲にわたる医療をカバーしています。

加えて、症例検討の項目に「家族内の問題」を加えるなど、心身の健康問題のみならず、患者の人間関係を含む生活全般の相談にも対応できるような研修内容になっています。

研修修了者には、都道府県医師会から研修修了証書、あるいは認定証(有効期間3年間)が発行されます。

この修了証書あるいは認定証は、在籍する病院やクリニックにおいて提示することが認められていて、患者がかかりつけ医のクリニックなどを受診した際に参考にすることができるようになっています。

研修修了者名を公表している医師会も

また、クリニックなどのWebサイトで表示することも認められていますから、かかりつけ医を決める際に選択基準の1つとしてチェックしてみるのもいいでしょう。

なお、都道府県の医師会によっては、栃木県医師会*⁴や群馬県医師会*⁵のように、かかりつけ医機能研修修了者が在籍する医療機関名や修了者名をWebサイトに掲載し、広く住民に紹介している医師会もあります。

最寄りの医師会のWebサイトをチェックしてみてはいかがでしょうか。

参考資料*¹:「2014年度診療報酬改定の結果検証に係る特別調査」「明細書の無料発行の実施状況」調査概要

参考資料*²:東京都医師会Webサイト「かかりつけ医とは」

参考資料*³:日本臨床内科医会Webサイト「50歳以上の女性のみなさまへ」

参考資料*⁴:栃木県内「日医かかりつけ医機能研修制度」修了者一覧

参考資料*⁵:群馬県内「日医かかりつけ医機能研修制度」修了者一覧