病院でもらった薬を砕いて飲んでいませんか?

薬体調が悪い?
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処方された薬が飲みにくいときはどうしていますか

体調が思わしくなく病院やクリニック、あるいは歯科医院などを受診すると、医師あるいは歯科医師から薬の処方を受けることがよくあります。

ところが、その薬がそのままでは飲みにくというときはどうしているでしょうか。

飲みやすくしようと、たとえば錠剤をカッターでカットしたり、砕いたりしてはいないでしょうか。

あるいは、カプセルを外して中身だけを飲んでいるという話を聞いたこともあります。

「飲みにくいようならカットしたり、砕いたりして飲んでも大丈夫ですよ」などと、薬を渡してくれた薬局の薬剤師や病院の看護師から説明があれば、彼らは個々の薬剤について、その性質や特徴などを十分理解していますから、まず問題はないでしょう。

しかし、「このままでは飲みにくいから」と、自己判断で勝手に薬の形、つまり剤形(ざいけい)を変えて服用したりすると、思わぬ症状に見舞われることになりかねません。

かかりつけ医からいつも処方してもらっていて飲みなれている薬ならともかく、特に飲みなれない薬を手にしたときは、安心と安全のために、その薬の飲み方について医師や薬剤師、あるいは看護師に必ず確認しましょう、という話を書いておきたいと思います。

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薬が飲みにくいときの対処法で最も注意したい徐放剤

医師や歯科医師により、診断に基づいて処方される医療用医薬品は数多くありますが、飲みにくいときの対処法で最も注意したいのは、「徐放剤(じょほうざい)」と呼ばれるタイプの錠剤です。

正確には、「徐放性製剤」と言います。

徐放剤とは、「徐放」、つまり徐々に放出するという言葉どおり、薬の成分が少しずつ溶け出して薬の効果が長時間続くように、錠剤の表面に特殊な加工が施された薬剤のことです。

どんな薬も、服用して体内に入ると、血流にのって全身へと運ばれます。このときの、血液中の薬剤の濃度を「血中薬物濃度」と言います。

徐放剤は、この血中濃度が急激に上昇するのを避けることにより、副作用が現れるのを回避、あるいは副作用の症状をできるだけ抑える効果をねらい、錠剤表面に加工が施されています。

同時に徐放剤は、1回の服用により薬剤の効果が長時間持続するように加工されていますから、服用回数を減らすことができ、たとえば1日3回の服用を1日1回の服用でOKという場合もあるわけです。

これにより、薬剤を服用する手間がわずらわしいからと、飲み忘れたり、処方医に相談することなく勝手に服薬を中止してしまうようなことを防ぐ効果も期待できます。

結果として、薬物治療をより効果的に進めることができますから、病状が悪化するのを防ぎ、スムーズな回復へとつなげていくことができるというわけです。

飲みにくい薬は薬効が同じで剤形の違う薬に変更できる

徐放剤はカットしたり粉砕したりして服用すると、徐放性が失われてしまい、血中薬物濃度が急激に上昇して副作用が現れやすくなります。

そんな事態を招かないように、徐放剤を処方する際に医師は、患者またはその家族に、「この薬は、噛み砕いたり粉砕(ふんさい)したりせずにそのまま服用してください」と伝えてくれるはずです。

その際に患者側から、「錠剤は飲み込みにくくて……」などの訴えがあれば、処方医は薬剤師と相談して、散剤(こな薬)などの飲みやすい剤形で同じ薬効が期待できる薬に切り替えてくれるでしょう*。

処方医がかかりつけ医であれば、あなたの病状や治療に関することはよく理解しているでしょうから、処方薬の服用の服用方法について注意すべき点があれば、きちんと説明してくれるはずです。

とは言え、かかりつけ医も人間ですから、万が一のヒューマンエラーとして注意事項を説明し忘れることもありえます。

ですから、新しい薬を処方されたときは、その都度処方医に、「この薬は飲み方で注意すべき点はありますか」と忘れずに尋ねるようにするといいでしょう。

同時に、処方箋を提出した薬局などから処方薬を受け取ったときは、その説明書に「徐放」の文字がないかどうか確認することも大切です。

*処方薬の剤形の切り替えは、徐放薬以外でも可能。散剤をカプセル化する、あるいはカプセル剤を錠剤、粉薬、水薬に変更することもできる。

処方薬が徐放剤かどうかは薬剤名から見分けられる

自分に処方された薬が徐放剤かどうかは、薬剤名から見分けることもできます。

徐放剤は、その薬剤名のあとに下記の略字が付けられますから、処方された薬剤名にこのいずれかの略字が付いていれば、徐放剤として取り扱う必要があるということになります。

  • CR:controlled release(放出をコントロールする)/アダラートCR錠など
  • LA:long acting(長く効く)/フィルLA錠など
  • SR:sustained release(放出を持続させる)/ベザトールSR錠など
  • TR:time release(持続放出)/オキシコンチンTR錠など
  • L:long(長引かせる)/アダラートL錠など
  • R:retard(遅らせる)/デパケンR錠など
    ただし、ビオフェルミンR錠の「R」はresistance(耐性)を意味し、徐放剤ではない

しかしながら、数ある徐放剤のなかには、以下のような、薬剤名に徐放剤であることを伝える略字の付いていないものもあります。

  • オキシコンチン錠(持続性がん疼痛治療剤)
  • テオドール錠(気管支喘息・慢性気管支炎治療薬)
  • フランドル錠(狭心症・虚血性心疾患治療薬)

在宅などで経鼻栄養チューブや胃ろうや腸ろうカテーテルを介して栄養補給をしている方や、食事中に「むせる」「咳き込む」などして飲み込みがスムーズにいかないために薬は砕いて飲んでいるという方は、新たに薬を処方されたら、処方医に粉砕の可否を確認することをお忘れなく。

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薬が飲みにくいときは姿勢も工夫して

歳を重ねてくると唾液の量が減ることに加え、ものを飲み込む力、いわゆる「嚥下力」が徐々に衰えてくることもあり、剤形に関係なく、薬も飲みにくくなってくるものです。

そこで、市販されているらくらく服薬ゼリーを使ったり、オブラートに包んで水に濡らして飲み込むなど、皆さんそれぞれ工夫していることでしょう。

その際ですが、飲み込んだ薬や薬を飲みこむために飲んだ水やお湯が誤って気管に入ってしまう、いわゆる「誤嚥(ごえん)」を防ぐためにも、姿勢が大切です。

薬を飲むときは、ついつい顎(あご)を上げ、上を向いて飲んでいるのではないでしょうか。

しかしこの姿勢では、気道が開きますから、飲み込んだものが気管に入りやすくなってしまいます。つまり誤嚥です。

むしろ顎をグッと引いて、少し下向き加減に、背筋をピンと伸ばした姿勢で飲み込むようにすると、すんなり食道に入っていきます。

このとき、唾液が少なくなっている方は、薬を口に入れる前に、コップに1杯ほど(200㎖弱)の水かぬるま湯を、口を潤しながらゆっくり飲んでから薬を飲むようにすると、うまく飲み込めます。

是非、試してみてください。

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