拒食症や過食症を治すきっかけにまずは相談を

食べない食と美容

拒食症で食べられない、過食症で際限なく食べてしまう

明らかにやせているのに太るのが怖くて、あるいはダイエットのために食べられないからと、さらにやせてしまう病気があります。

「拒食症」として知られる「神経性やせ症」です。「神経性食欲不振症」ともいいます。

一方で、「過食症」として知られる「神経性過食症」という病気もあります。

こちらは「神経性大食症」とも呼ばれるように、一度に際限なく食べてしまい、そのことを後悔して食事を極端に制限してしまったり、吐いたり、下剤を使うなどして、食べたものを体の外に出してしまおうとする行動が目立つ病気です。

いずれも、極端なやせ願望のような心理的要因により摂食行動、つまり「食べること」を自分でコントロールできなくなる、いわゆる心身症*で、「摂食障害」と呼ばれています。

摂食障害などの心身症については、「心がSOSを発している状態」と説明されるように、本人だけの力で病気を克服することは難しく、まずは安心できる人に自分の今の状態を相談してみることが大切です。

そこで今回は、この摂食障害で悩んでいる方、あるいはそのご家族のために開設された、全国を対象にした「相談ほっとライン」についてお伝えしたいと思います。

*日本心身医学会は、「心身症とは、身体疾患のなかで、その発症や経過に心理・社会的因子が密接に関与し、器質的ないし機能的障害が認められる病態」と定義している*¹。
つまり、こころの状態から引き起こされた体の病気の総称で、気管支喘息や胃・十二指腸潰瘍、アトピー性皮膚炎などが該当する。

摂食障害全国支援センターが「相談ほっとライン」開設

摂食障害は10代から20代の女性に圧倒的に多く、国内で医療機関を受診して治療を受けている患者だけでも22万人を超えると言われています。

ただ、拒食症にしても過食症にしても、摂食障害の方には、治療により体重が増えることや体型(スタイル)が変わってしまうことへの不安などから、家族や知人が受診をすすめても頑なに拒む傾向があります。

そのため、摂食障害に悩みながらも治療を一度も受けたことがない、あるいは一度始めた治療を中断してしまうなど、摂食障害の潜在患者はかなりの数にのぼるものと推定されます。

こうした現状を改善したいと、千葉県市川市にある国立国際医療研究センター 国立国府台病院の心療内科は2022(令和4)年1月、摂食障害全国支援センター「相談ほっとライン」を開設しています。

摂食障害専用の相談窓口は、すでに全国4県(宮城県・千葉県・静岡県・福岡県)にある摂食障害支援拠点病院に設置されていますが、全国を対象とした相談窓口は今回の「相談ほっとライン」が全く初めてとのこと。

拒食症も過食症も、早期からの適切な治療によって症状の改善、ひいては回復さえも十分期待できる病気です。

「相談ほっとライン」での相談がきっかけとなって受診行動を起こし、摂食障害の早期発見・早期治療につなげることが期待されています。

摂食障害で悩む当事者だけでなく家族や関係者も相談を

摂食障害全国支援センター「相談ほっとライン」は、拒食症や過食症で悩んでいる当事者だけでなく、家族はもちろん、学校保健の関係者や医療・福祉領域の関係者からの相談にも対応している電話相談窓口です。

相談する際には、まず「相談ほっとライン」のホームページにある「よくある質問集(FAQ)」*²にアクセスし、そこにリストアップされている質問とその回答に一通り目を通し、それでも解決しない場合に限り電話で相談するよう求めています。

この「よくある質問集」には、「Q1」から「Q18」までの質問が並んでいます。

そのなかの、たとえば「Q13」には「治したいけど太りたくないです」とあり、そこをクリックすると「A13」として次のような回答が記されています。

A13 そのような気持ちになるのが摂食障害の特徴です。
ただ、治りたい気持ちがあるなら思い切って治療を受けてみましょう。
治療のゴールは病気からの回復であり、体型を太らせることではありません。

(引用元:摂食障害全国支援センター:相談ほっとライン「よくある質問集(FAQ」*²

摂食障害で相談する前に準備しておくこと

この「よくある質問集」には、「電話相談前に準備していただきたいこと」として、相談に対応する摂食障害治療支援コーディネーターと呼ばれる専門家(保健師、心理士、看護師、精神保健福祉士)が質問する次の8項目がリストアップされています。

  1. 相談者:本人・母・父・その他の家族・学校関係・友人
  2. お住まいの都道府県、市町村
  3. 患者さんの年齢・性別
  4. 身長・体重
  5. 学年・職業
  6. 特にお困りの症状
  7. 医療機関に通院中かどうか・通院中ならその医療機関名
  8. 医療機関の紹介を希望するか

摂食障害で特に困っている症状は?

これらの質問、特に「6」の「特にお困りの症状」については、どのような症状に困っているのか、その症状はいつから何をきっかけに現われ、どのように変化してきたのかを事前に振り返ってメモしてから電話をすれば、相談はよりスムーズに進むはずです。

また、「相談ほっとライン」は、以下のTwitter、Facebook、instagramなどでも摂食障害に関する最新情報を随時発信しています。

相談・問い合わせの電話をする前に、これらのSNSもチェックして準備しておけば、より的確な支援を受けることができるはずです。

  • 摂食障害全国支援センター相談ほっとライン Twitter(こちら
  • 摂食障害全国支援センター相談ほっとライン Facebook(こちら
  • 摂食障害全国支援センター相談ほっとライン Instagram(こちら

摂食障害全国支援センター相談ほっとラインの電話相談・問い合わせ先は、047-710-8869です。

相談受け付け日は、毎週火・木・金曜日(4月1日から)の午前9時~午後3時(祝日・年末年始、お盆休みは除く)となっています。

県内に摂食障害支援拠点病院がある方の相談先は

摂食障害の方には、心身両面からの治療に加え、人間関係などの社会面からも治療的アプローチが必要ですが、すべての側面から専門性の高い治療ができる医療機関はごく限られているのが現状です。

そのため、摂食障害で悩んでいる方が一人でも多く相談と支援をよりスムーズに受けられるよう、県内に摂食障害支援拠点病院がある宮城県、千葉県、静岡県、福岡県にお住まいの方は、まずは以下に紹介する県内拠点病院のホームページにアクセスして相談窓口に問い合わせてみるよう要請しています。

  • 宮城県摂食障害支援拠点病院(ホームページ
    相談窓口は東北大学心療内科内に設置されていて、メールでの相談も受け付けている
  • 千葉県摂食障害支援拠点病院(ホームページ
    相談窓口は国府台病院(市川市)に設置されていて、FAXでの相談も受け付けている
  • 静岡県摂食障害支援拠点病院(ホームページ
    相談窓口は浜松医科大学附属病院精神科内に設置されている
  • 福岡県摂食障害拠点病院(ホームページ
    相談窓口は九州大学心療内科内に設置されている

なお、「摂食障害」という言葉に抵抗を覚えるという方もいるでしょう。そんな方は、最寄りの精神保健福祉センターのような専門機関に相談されてもいいと思います。詳しくはこちらを。

悩みやこころの不調は放置しないで相談を
悩みが続いたり、訳もなくイライラする、気持ちが落ち込む、といったこころの不調が長引くと、こころの病気につながる可能性がある。人に言えないでいる悩みや不調のサインに気づいたら、まずは最寄りの相談窓口にアクセスし、話を聞いてもらうことをすすめたい。

参考資料*¹:日本心身医学会編:いわゆる心身症の定義,心身医学,31(7),1991,p.574

引用・参考資料*²:摂食障害全国支援センター:相談ほっとライン「よくある質問集(FAQ)」