大豆製品を多く摂取していると妊娠中も健康に!!

スポンサーリンク
大豆製品食と健康

大豆食品の摂取が妊娠中の健康を左右する

味噌汁を毎日飲んでいると乳がん予防になるという国立がん研究センターの予防研究グループによる研究結果があることを、先に紹介しました。

1日に2杯以上飲めば乳がんの発生率が下がり、3杯以上飲めば、1杯だけ、あるいはたまにしか飲まない人よりも、乳がんの発生率が40%低下する、といった内容でした。

ご承知のように、味噌は代表的な大豆製品です。

この大豆製品については、2月19日に公開された、日本人の健康寿命を延ばすために必要な予防行動や習慣をまとめた提言*¹のなかで、「多く摂取すること」が推奨されています。

大豆製品を多く摂取していると、乳がんの発症リスクが低下するだけでなく、
「妊娠中の脂質異常症*やインスリン抵抗性**、うつ症状の改善、不妊治療中の女性の妊孕性***の向上につながる可能性があります」
と、記されているのです。

*脂質異常症とは、血液中の脂質(いわゆる悪玉コレステロールや中性脂肪など)が一定の基準以上に増えた状態をいう。心筋梗塞や脳卒中を引き起こすリスクがある
**インスリン抵抗性とは、インスリンに対する感受性が低下しているためにインスリンの作用が鈍く、血糖値が下がりにくい状態をいう。この状態が続くと糖尿病になりやすいとされる
***妊孕性(にんようせい)とは、「妊娠するための力、妊娠を継続するための力」をいう

大豆製品が更年期症状の改善や骨粗鬆症(こつそしょうしょう)の予防など、女性にとってうれしい働きが期待できる食材であることはよく知られています。

しかし、女性の妊孕性、つまり「妊娠しやすさ」や妊娠中の健康状態に影響を与えていることまではあまり知られていなかったのではないでしょうか。

今回はその辺のことを中心に、今回発表された提言をもとに、大豆や大豆製品の健康への影響について書いてみたいと思います。

スポンサーリンク

健康寿命に関する提言で「大豆製品を多く摂取」を推奨

大豆や大豆製品に関する具体的な話に入る前に、今回まとめられた健康寿命の延伸に関する提言について、ちょっと触れておきたいと思います。

ところで、単なる「寿命」ではなく、「健康寿命」という言葉をご存知でしょうか。

この提言では、健康寿命を、
「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」
と説明しています。

早い話が、「健康で長生きする」ということです。
そのためには、ある特定の病気だけを予防していればいいという話ではありません。

さまざまな病気の枠を超え、年齢や性別、生活状況に見合うかたちで日々の行動や習慣を見直し、予防に取り組んでいくことが健康寿命を延ばすことにつながっていくわけです。

そのために私たち一人ひとりは、具体的にどのような行動や習慣をとればいいのか――。

この課題に、国立がん研究センターをはじめとする6機関の国立高度専門医療研究センターで作る研究グループが、「喫煙」「飲酒」「食事」など10項目の生活行動について、すでにエビデンス(科学的根拠)が確認された健康を左右する予防行動や習慣を、国内で初めて提言としてまとめているのです。

国内初「健康寿命を延ばすための提言」まとまる
健康寿命を延ばす、つまり健康で長生きするために必要な、エビデンスのある予防的行動や習慣に関する提言が公表された。国内にある6つの高度専門医療研究センターが共同でまとめたもので、喫煙や飲酒、食事、心理社会的要因など10項目ある提言のなかからいくつかを紹介する

植物性たんぱく質の代表格、大豆製品の摂取と大豆イソフラボン

今回の提言では、10項目のうちの一つ、「食事」については、
「年齢に応じて、多すぎない、少なすぎない,偏りすぎないバランスのよい食事を心がける」
ことを奨励しています。

そのために、日々心がけることとして「食塩の摂取は最小限に(男性7.5/日未満、女性6.5g/日未満)」「野菜・果物は適切に、食物繊維は多く摂取する」「魚を多く摂取する」「甘味飲料は控えめに」などと並び、「大豆製品を多く摂取する」ことが明示されているのです。

大豆は栄養学的には、肉類に匹敵する良質のたんぱく質を多く含んでいます。
昔から「畑の肉」とも呼ばれているように、大豆やその製品は植物性たんぱく質の代表格です。

大豆イソフラボンと女性ホルモンに似た働きをする「エクオール」

大豆と聞いて、とっさに頭に浮かぶのはポリフェノールの一種である「イソフラボン」でしょう。
特に、大豆の胚芽部分に多く含まれているイソフラボンは、「大豆イソフラボン」と呼ばれています。

この大豆イソフラボンの一種である「ダイゼイン」は、腸内細菌の力により「エクオール」と呼ばれる成分に変換され、女性ホルモンのエストロゲンに非常によく似た働きをすることが知られています。

このエクオールが、妊孕性や妊娠中の健康を左右することが確認されているというのです。

同時に、大豆製品を多くとることにより、女性に限らず、また妊娠にも関係なく、脂質異常症のリスクが低下すること、また女性では特に脳梗塞や虚血性心疾患の発症リスクが低下すること、さらには乳がんのみならず肺がんの発症リスクも低下する可能性があることが記されています。

大豆製品だけ多く摂取すればいいという話ではない

ただし注意したいのは、大豆製品を多く摂取すれば誰もがエクオールをつくれるわけではないということです。

エクオールをつくれる人は、大豆製品を多く摂取していることに加え、野菜類や海藻類、きのこ類など食物繊維が豊富な食材も、同時に多く摂取していることがわかっています。

逆に、エクオールをあまりつくれない人は、大豆製品の摂取が少ないだけでなく、外食が多かったり、コンビニなどの調理済み食品、またラーメンをよく食べている人に多いことも研究で確認されています。

多様な食品を摂取して、栄養的に偏らないバランスのよい食事を心がけることの大切さを改めて自覚する必要があるということでしょう。

また、同じ大豆食品でも、味噌や醤油、納豆などの発酵性大豆食品の摂取量が多いほど、死亡全体のリスクが低下すること、特に循環器病による死亡リスクが低下することも確認されているそうです。

大豆イソフラボンサプリメントの摂取は慎重に

このように、大豆製品を多く摂取すると、特に女性にとってさまざまなメリットがあると聞くと、
「だったら大豆イソフラボンのサプリメントを……」
と考えがちではないでしょうか。

しかし提言は、「大豆イソフラボンサプリメントの摂取には注意が必要」と警告しています。

そのうえで、日本の食品安全委員会が2006年、日常の食事で大豆や大豆製品を摂取していることを前提に、それに加えて大豆イソフラボンサプリメントを上乗せする場合は、安全のため、上乗せ摂取量の上限を1日30㎎に設定していることを紹介しています。

また、同委員会は、日本人の食生活における日常的な大豆イソフラボンの、安全と考えられる摂取目安量の上限は、1日70~75㎎と設定しています。

主な大豆製品1食分の大豆イソフラボン含有量(目安量)は、もめん豆腐1/2丁(110g)で55.0㎎、納豆1パック(50g)で65.0㎎、油揚げ1/2枚(75g)で52.5㎎、大豆飲料(豆乳)125mlで69.0㎎とされている(厚生労働省の資料*²を基に概算)。

加えて、閉経後の女性を対象にイソフラボン摂取に関する調査を実施したところ、子宮内膜症の増悪が確認されたことから、サプリメントとしての摂取制限が設けられたとの、イタリアの話も紹介しています。

これらのデータを踏まえ、提言は、イソフラボンサプリメントの摂取について、こう締めくくっています。
「妊婦、乳幼児については、十分な科学的エビデンスがないことなどから、大豆イソフラボンを特定保健用食品として日常的な食生活に上乗せして摂取することは推奨されません」

なお、提言では「妊娠中の身体活動が早産や器械分娩のリスクを減らすとともに、産後うつの発症リスクも減らす」エビデンスもあることを紹介し、妊娠中に体をよく動かすことを奨励しています。

参考資料*¹:「疾患横断的エビデンスに基づく健康寿命延伸のための提言(第一次)」

参考資料*²:厚生労働省「大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A」