コロナ対策に「不織布マスク」が良い理由は?

不織布マスクニュースから

外出先で「不織布マスク」への着け替えを求められる

新型コロナウイルス感染症は、今また爆発的と言うべき深刻な流行のさなかにあります。

この元凶とされるのがインド由来の変異株、デルタ株。
米国CDCの研究で、感染力は従来株の2倍以上であることが確認されたと報告されています。

そんななか、感染対策としてのマスクをめぐり、街ではある現象が起きているようです。

美容室や映画館、レストランなどで、「マスクは不織布マスクに統一していますので、こちらに着け替えをお願いします」と、用意してある不織布マスクを渡しているのです。

店頭に、あるいは病院やクリニックの玄関に、「不織布マスクの着用をお願いします」との貼り紙をしているところも増えている、とのこと――。

いつも使っているマスクではなぜダメなの?

この現象に、布製やウレタン製のマスク、あるいは透明のマウスシールド愛用者のなかには、
「いつも使っているマスクではなぜダメなの?」との疑問を持つ方が少なくないようです。

好みの布地をわざわざ購入し、マスクを自ら手作りして楽しんでいる方も多いと聞きますから、「せっかく手間暇かけて作ったのに……」と不満に思っている方もいるはずです。

そこで、新型コロナウイルスの感染対策としてのマスクに、布製でもウレタン製でもない、不織布製のマスクがススメられる理由を探ってみたいと思います。

人と会うときは飛沫をブロックできるマスクを

ところで、今現在私たちが相手にしている新型コロナウイルスは、飛沫(ひまつ)を介しての「飛沫感染」と、ドアノブなどに付着している飛沫に触れた手で口や鼻にさわって起こる「接触感染」により感染します。

飛沫、つまり新型コロナウイルスに感染している人が咳やくしゃみをした際に周りに飛び散る細かな水滴、いわゆる「しぶき」には、このウイルスが含まれている可能性があります。

米国マサチューセッツ工科大学の研究チームが行った実験では、このウイルスを含む可能性のある飛沫は、咳では最長6メートル先まで、くしゃみでは最長8m先まで飛ぶことが確認されたそうです。

ウイルス単独ではマスクでブロックできないが

新型コロナウイルスそのものは非常に小さいものです。

医療機関のICU(集中治療室)などで医療スタッフが使用している高性能マスクを着用していても、鼻と口からの侵入や空中への飛散を100パーセント阻止するのは難しいようです。

しかし、幸いなことに実際は、感染者の鼻や口からウイルスが単独で飛び出すわけではありません。

唾液や気道の分泌物がウイルスを包み込んで飛沫として飛び散るため、サイズ的には大きくなっています。

そのため、マスクで鼻と口をしっかり覆ってブロックしていれば、ウイルスを含む飛沫を吸い込んだり飛ばしたりするリスクを減らすことができます。

そのため、感染対策の基本としてマスクの着用が求められているわけです。

厚生労働省も編み目の細かい不織布マスクを奨励

この場合に着用するマスクにはいろいろな種類があり、その素材もさまざまです。

そのなかで厚生労働省がすすめているのが、このところその存在が見直されている不織布マスク、いわゆるサージカルマスク(「医療用マスク」とも「外科用マスク」とも言う)です。

不織布とは、文字どおり繊維を織っていない布のことです。
熱や化学的な作用により繊維をピッタリ接着させ、シート状の紙のように加工されています。

この不織布を使って作られたマスクは、繊維や糸を織って作られている布製やガーゼ製のようなマスクに比べ、
編み目が非常に細かくなっています。

そのため、ウィルスを含む飛沫をブロックするフィルターとしての性能が高く、新型コロナウイルスの飛沫による感染を、完全とは言えないまでも、かなり防ぐことが期待できるのです。

不織布マスクの高い感染防止効果は実験で確認ズミ

実際、世界最高の解析能力を誇るスーパーコンピューター、通称スパコン「富岳(ふがく)」を使い、せきやくしゃみをしたときに吐き出される飛沫の拡散状況をシミュレーションした実験で、ウレタン製マスクや布製マスクより不織布マスクの感染防止効果がより高いことが確認されています。

この実験では、不織布マスクを着けた場合では、くしゃみや咳、会話等で発生する飛沫のうち、
50マイクロメートル(㎛)以上の大きな飛沫ならほぼ100パーセント、
5マイクロメートル以下のエアロゾルと呼ばれる微粒子もほぼ70%はブロックできたそうです。

新型コロナウイルスの粒子そのものの大きさは直径約0.1マイクロメートルです。

ただし、ウイルスを含む飛沫の直径は5マイクロメートルほどありますから、不織布マスクの新型コロナウイルスのブロック効果は大きいと考えていいようです。

ちなみに、マイクロメートルとは想像のつかない単位ですが、1マイクロメートルは100万分の1メートル、すなわち0.001ミリとなります。

マウスシールド単独ではコロナ対策にならない

この実験では、マスクなしのフェイスシールドだけを着けた場合(額から鼻まで覆われている)の、咳やくしゃみ、会話に伴う飛沫の拡散状況もシミュレーションしています。

その結果、直径が5マイクロメートル以下の、「エアロゾル」と呼ばれるウイルス微粒子はほぼ100パーセントがもれ、50マイクロメートル以上の飛沫でも、約半分がもれ出て周囲に拡散することが確認されています。

この点について、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会会長の尾身茂氏は、こう説明しています。

「フェイスシールド単独では、マスクと違い、他の人の飛沫を吸い込むことを完全に防ぐことはできないし、自分の飛沫の拡散を防ぐ効果もマスクほどは期待できません」

そのうえで、こう警告しています。
「フェイスシールドはあくまでもマスクの補助的なものと認識して使用してほしい」

このことから考えると、フェイスシールドよりかなり小さなサイズの、口元と鼻先だけをかろうじて覆っているマウスシールド(「マウスガード」とも言う)に、ウイルスブロック効果はほとんど期待できないことが、容易に想像できるのではないでしょうか。

マウスシールドはテレビ界では人気のようで、タレントが着用しているのをよく目にします。

とりわけ公共放送のNHKでは、局側が提供しているのではないかと疑うほど、登場する多くのタレントや一般人が、感染対策に有効ではないとされるマウスガードを着けています。

しかし、感染対策の啓蒙という意味でも好ましくなく、やめた方がいいと思うのですが、いかがでしょうか。

不織布マスクを選ぶなら国産で3層構造の製品を

ところで、「不織布マスク」として市場で売られている製品にはさまざまあります。

なかには、衛生環境があまりよくない工場で生産されているものもあります。
不織布自体が粗悪だったり、耳に掛けるひもがはずれやすかったりと、品質に問題のあるものも出回っていることも指摘されています。

マスクは、私たちの体、正確には鼻や口を介して気管から肺へと取り入れる空気の、いわばフィルターの役目をしているものですから、衛生的かどうかには気を配りたいものです。

マスクを購入する際は、パッケージに「全国マスク工業会・会員マーク」があること、あるいは医療用マスクの米国規格基準「ASTM-F2100」などに適合していることなどが、明記してあるものを選ぶことをおすすめします。

また、同じ不織布マスクでも、2層以上のもの、できれば3層構造で、目が詰まっていて、形状的にも顔にしっかりフィットするものがいいでしょう。

熱中症予防には同じ不織布でも黒より白いマスクを

なお、最近は黒い不織布マスクも出回っています。

ただ、マスクを着用したときの顔の周りの温度が最も高くなるのは黒い色のマスクで、一番低いのは白いマスクであることが実験で確認されています。

真夏シーズンの熱中症予防には、同じ不織布でも黒より白のほうがいいようです。

ウレタン製や布製マスクは3密を回避できる場所で

不織布製マスクは、編み目が密になっているだけに呼吸しにくいことは否めません。

また、お気に入りの布製やウレタン製マスクが手放せないという方もいるでしょう。

しかし、ウレタン製マスクのウイルス除去率は他のマスクに比べて極端に低く、1%以下であることが感染症専門家が自ら実施した実験で確認されたことを報告。

ウレタンマスクを着用するときは、「不織布マスクをしてその上に重ねて使う」ことをススメています。

3密、つまり「換気の悪い密閉空間」や「多くの人が密集している場所」、さらには「お互いに手を延ばせば届くような密接した場面」で、会話したり、発声するようなときは不織布マスクを着用し、それ以外のときは、お好みのウレタン製や布製のマスクに替えるといった具合に、自由に使い分けるのもいいと思います。